終末の国
終末の国
ぼくたち貧しい国の若者は新本に行く。そこにいけば生きて行けるからだ。船に乗って北へと進むと、そこはとっても未来的な島国になる。
新本。そこは色々な事情により、老人しかいなくなった島である。そして、毎年のように老人が死に、毎年のように一定の年齢を経た人間が送られ、老人としてこの新本で一生を終える。
ぼくたちはそこへ介護士として赴く。しっかりと勉強はしている。それに今は機械の補助もあるので、それほど厳しい仕事ではない。でも、新本にいたはずの若者たちは老人と関わろうとしないし、世界中から送られてくる老人のことなど家族はお構いなしなのである。
「新しいひとかえ」
おばあさんはぼくを見てそう言った。
「はい。カムチャツカと言います」
「そうかい。若くて元気な子だ」
老人はぼくたちの多くのお金を払う。仕事をしてきて余ったお金を全て払ってから死んで行くからだ。ここで手に入れたお金で貧しい国の若者は裕福な国に渡る。だから、この国には10年もいない。
この国のあらゆることは全て機械が行っていた。コンビニなども機械が対応するし、僕たちの出番なんて本当はないはずだった。
でも、ぼくたちの役目は老人を介護するだけではない。
「どこか悪いところはありますか?」
「頭が悪いのう」
「ぼくも悪いです」
あははは、とぼくたちは笑う。
ぼくたちの重要な役割は、老人たちの慰み物になることだった。こうやって会話をして、機械の介護に対する不安を無くすのが目的だそうだ。もう一つ、ぼくたちはAIのプログラミングの講習も受けている。これは昔、この国で老人とAIが結託して破壊行為を行ったために監視する役割をぼくたちに任せているみたいだった。でも、こんな機械と老人と、数人の若者だけの世界で破壊行為をするだけ虚しいとぼくは思う。
老人はすやすや眠った。
老人のベッドの周りには家族の写真すらない。それはとても寂しいことのように思えた。老人はこの島国で死ぬ準備をしているのだとぼくは思っている。だから、過去に関するものを一切持ち込まない。
ぼくは老人の顔を見つめた。皺だらけで猿のような、怪物のような顔。
それはぼくたちの未来の姿である。
その瞬間、ぼくを吐き気が襲った。
いつか辿り着く未来がこれほど醜いとは。
だから、裕福な国の人々は老人をこんな姥捨て山に隔離したのか。
後何年、ぼくは老人の顔を見続けなければならないのだろうか。




