12. 主食は米
「なぁ、エレ。後ろの運慶・快慶は何なんだ?」
竈を製作中の俺に、マダガスカルが不思議なことを言う。
「ウンケイ・カイケイって何だ?」
もしかして、俺の連れの双子のことをいっているのだろうか?
自分たちの話題かと、首をかしげながら双子が外に出てきた。すぐ傍まで近寄ってきてくれたので、ちょうどいい日陰が出来た。作業が捗りやすくなる。
俺は質問しつつも、更に赤土を練りこんだ。
「そこの仁王像みたいな、妙な格好のアニキどもだよ」
相変わらず訳のわからないことを言う。
俺は木枠の中に、大甕を設置して燃焼室にする空洞を確保すると、先ほどの焚口との間に襤褸布を詰めた。双子も一緒に押し込み始めた。どうやら手伝ってくれるようだ。
俺は振り向いて、暇そうなマダガスカルに声を掛けた。
「ニオーゾーって何だ? 双子は俺の兄貴じゃないぞ。おまえ、暇なんだったら手伝え」
俺は木枠の中に並べるための平石を集めるのに、マダガスカルを巻き込むことにした。双子は木枠の補強をしてくれている。
「いいか、竈を頑丈にしたいのと赤土を節約するために石を埋め込むぞ。この位の大きさの平たい石を探してくれ」
指示を出すと、素直に一緒に探してくれた。マダガスカルのくせに意外に役立つ。
平石を並べ、粘った土を流し込むと、双子が竈突きを一緒にしてくれた。マダガスカルも煙突を作ったり、角を取ったり仕上げ用の土を配合したりと色々手伝ってくれたので、思いの外、早くに竈は完成した。
林で枯れ木を拾ってきて、四人でドキドキしながら竈の初火入れをした。
手作りの竈でもって、羽釜で炊いた御飯は美味かった。
羽釜を出してきたときに、マダガスカルが何か言いたそうにしていたが、結局何も言わなかった。何がそんなに気になったのだろう。竈に羽釜は米を炊く基本だと思うが。羽釜が珍しかったのだろうか。変なマダガスカルだ。
残った米は握り飯にして四人で分けた。マダガスカルは今夜も野宿をするようだ。握り飯を抱えて帰って行った。
良い一日だった。何かを忘れている気がしてならないが、何だろう。気のせいだろうか。夕方になったので、俺は仕事をしに双子と出かけた。
翌朝、早くからマダガスカルがやってきた。そして、飯を食いながら言った。
「なぁ、昨日の奴らは何だったんだ?」
ああ、それか。忘れていたのは。双子を紹介すんの忘れてた。




