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ゼロから嗜む、文明作り!  作者: 毘沙門 子子


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磁石がないですわ

「ちょ、・・・引かないでくださいまし!」


 そんなことしたら、陰キャするよ!? 引きこもって顔も合わせないムーブしだすよ!?


「だ、だって法律で!」

「こ、ここは日本じゃありませんのよ」

「あれ? 日本じゃなきゃ作っていいの?」

「そ、その国の法律にもよりますわ。そしてここはどこの国でもない」

「なるほど、ここは、無法地帯」

「ま、正にそうですけれど。銃を作らないと、私達はここでは生きていけませんわ」

「そんなやばい場所なんだ? でも材料とかどうするの?」

「ほとんどを木で作りますけれど、――鉄は川や海岸で磁石で・・・・」


 あ。


「磁石がないですわ!」


 現代では簡単に手に入る磁石。だけど天然物はレアアイテム。

 作るのは超大変。

 というか磁石が無いと強力な電力が起こせないから、永久磁石が作れない。

 磁石を作るのは、強力な電気が必要。強力な電気を起こすには、磁石が必要。


「詰んだ」

「というか待って、この世界にも銃あるの?」


 え? ――あっ! そっか、銃は必要だけど、変に思うよね!

 なんでファンタジーみたいな世界の住人が、銃を知ってんの? って感じだよね!?

 ――どうしよう!


「メ、メグを通して、み、見えるんですわ・・・・異世界の知恵が」

「え?」

「知恵の神の加護ですわね!」

「そっかぁ――現代人のウチにも銃とか作れないのに、ファンタジー世界のアリシアさんに作れちゃうんだねぇ――魔法とかで作るのかな?」

「ち、違いますけれど」


 どうやって作るかなぁ。――銃は銅でも出来るから、銅が見つかったらいいけど。


「銅はなぁ・・・見つけるのは鉄より大変なんだよなぁ」


 硬貨にされる位には、レア金属。

 磁石どうしよー・・・そうだ! 魔術で作れないかな。

 鉄だと鍛造になって大変だろうけど、作れないことはないし。


 私は、磁石の原子の状態をイメージをする。


「――よし。〖金属生成(ヴェルス・ティル)〗――26 イェルン!」


 出現した鉄の棒を、合わせてみる。


 駄目でした。

 なんかこう、ゲーム内の機能は使えないかな。


「ウィンドウ! ステータス!! オプション! ギアマーク!!」

「な、なにしてんの?」


 メグに奇っ怪な物を見る目を向けられただけで、なにも起こらなかった。

 起こったのは私の羞恥プレイだけだった。


「なにか開くかと思いまして」

「アリシアさんなら、新しい扉を開く時は言ってくれたら手伝うかも」

「それを開くつもりはないですわ」


 まあ、Loveナレクにステータス画面とかなかったしなぁ。

 でも、好感度確認画面とかは有った。攻略対象キャラの表情で好感度が分かるやつ。

 狂帝っていうキャラだけは、表情変わらなさすぎて、狂帝攻略中は、好感度確認画面の意味無かったけど。


 狂帝は、私がLoveナレク.sideMで、唯一攻略できなかったキャラ。

 いやほんと、攻略方法が全く分からなかった。

 SNSも大分荒れてたなぁ。

「一番イケメンなのに攻略できない!」って、世の乙女のほとんどが涙ながらに匙を投げたキャラ。


 あと、好感度確認画面があったとしても、あれは主人公の聖女専用かもしれない。

 アリシアは脇役だしなぁ。

 主人公は無尽蔵にアイテムを持てたけど、私は駄目みたい。脇役だからか・・・。


「諦めよう」

「諦め、早!」


 というわけでベッドを触って、煙成分のせいで手がただれないかとか調べて、あとは近くの木を、生成した斧で伐って、生皮を剥いで紐を作ったら、次は料理。


「竹水以外に飲める水作りですわね」


 竹水はなにぶん取れる量が少ない。


「煮沸すればいいんじゃないの?」

「それだけじゃ飲めませんわ」

「え!? それで菌は死ぬんじゃ!?」


 やっぱり知らなかったか。それだとお腹壊す可能性が結構あるんだよ。


「この水は川から汲んできたのでまだマシですけれど、煮沸して菌が死んでも、菌が出していた毒素は残ってますわ」

「あーーー!」

「不純物も多いですし、土とか泥とか幾ら菌がいなくても飲みたく無いでしょう。内臓にも負担がかかります」

「なるほど・・・」

「本当はもっと完全にろ過したいのですけれど、ろ過装置がないので」


 私はアリシアのドレスの裾を土器に掛けて、水を通す。ドレスの布がろ過装置だ。

 高級なシルクなので、かなり綺麗になるはず。


「あああ! きれいなドレスがビシャビシャに!」

「ほっとけばそのうち乾きますわ」


 そうして、次に水に炭の棒を幾つか放り込む。

 昨日竹水を沸かした時にできた、竹の炭だ。


「えっ!? なにしてるの! 炭!?」

「この炭が、毒素を吸着してくれるんですのよ」

「炭すごっ!」


 炭は凄く細かい穴が空いてるから、それが大抵の毒は吸着してくれる。

 本当は蒸気処理とかして活性炭にしたいんだけど、今は竹炭で十分だろう。


 お湯を沸かしながら空いた時間に、メグと一緒に小屋を出て、生成した斧で薪にするための木をこる。


「アリシアさん、そんな小さく木を欠けさせても倒れないよ?」

「いえ、この小さな切り口は、受け口と言うんですわ。こうしておくと、受け口の傷にたいして、直角に木は倒れるんですの」

「おー・・・! マジかぁ」

「これから何度も木を伐ると思うので、覚えておいてくださいまし」

「はーい!」


 そうしていると、重要な植物を発見した。


「マニラ麻ですわ!」

「良い物なの?」


 これは重要植物。


「強靭な繊維植物として知られ、昔からロープなどに使用されて来たんですわ」


 現代地球でも、強度が必要な縄に使われてる。

 その強度はファイバー素材と比べても遜色ない。


 その後、焼いていた粘土を取り出す。


「いい感じですわ」


 真っ黒で光沢を得た器が出てきた。


「おおお!? えっ、カッコイイ! これはもう、どう見ても陶器! というか真っ黒でカッコイイ!」

「ざっとこんなもんですわ」

「この真っ黒から、ちょっと青みがかって、赤い粘土の地が見える荒々しい見た目!」

「青みは、黒曜石の鉄分が偏ったのかも知れませんわね」

「いい仕事していくぅ!!」


 という訳で、飯食って寝た。

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