銃ですわ
※この作品は、銃の所持を唆したり煽ったりするものではありません。
日本で銃の製造や所持をすると、厳しく罰せられます。
また危険な薬品や火薬の製造も、法律で罰せられる可能性があります。決して真似しないで下さい。
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混合した青銅の素を、魔法で作った銃のバレルの型に投入。魔法の型は消えちゃうけど、別に構わない。むしろ消えてもらえると、型を外す工程が要らないから有り難い。
細かい調整は、あとでスギタさんにやって貰う。
あと、スラグは大事に回収。
「あれ? スラグってゴミでしょ? 捨てないの?」
「これだって大事な素材ですわ。ここから抽出できるものが、ガラス以外にも様々にありますの。科学に必要ない元素なんてありません」
「そこ、試験に出る?」
「貴女の人生を試す時に、役に立つかも知れませんわね」
「試練に出そう」
メグが唸りながら、尋ねてくる。
「銃のバレルが銅で大丈夫?」
「大丈夫ですわ。昔なんて、大砲ですら、ほとんどが銅製。厚めに作れば、十分な強度が得られます」
「銅強い」
「流石に、まだ鋼で作るような科学力はまだありませんし、銅が見つかって良かったですわ」
鉄をサラサラレベルまで溶かすには、相当な熱が必要。ちょっと溶かしたくらいじゃ、型に上手く流し込めない。
ちなみに魔法で用意した型は、薬室と長いバレルと、コッキング用のレバーの3つ。
ここが銅なら、あとはなんとかなる。
今回はレバーコッキング。仕組みが簡単。それにレバーコッキングは格好いい、スピンコッキングができるからロマン。ロマンは大事。
でも金属のレバーが無いと、スピンコッキングができないから、レバーも銅に。
「薬室になる銅の蓋の型には黄鉄鉱を収める窪みを、作っておきますわ」
ここが、今回の銃のキモ。
ただ、今回は銅で作らないといけないのが、もう1個有る。
銅の板(青銅)。
これをゼンマイバネにする。
そこからも銅をコトコト煮込んで。
30分ほど。
「さぁ、全ての素材ができましたわ」
「思ったより早かった!」
私が作業をしている間、メグは弓で魚を獲ってたみたい。
メグの手を見ると、魚がぶら下がってる。
なにあれ。サーベルタイガーみたいな牙が下から生えてるんだけど。食べられるのかな?
「アリシアさん、これ今夜白身のフライにして! 懐かしの料理なの! ――アリシアさん料理上手いから!」
お父さん忙しかったから、ずっと料理をしてたからかなぁ。
「メグも上手いじゃないですの」
「ウチはなぁ・・・お母さんが料理上手かったからなぁ。ウチはアリシアさんほどじゃない」
「というかその魚、見たことない魚ですけれど・・・・食べられるのかしら?」
「火を通せば、きっと行けるよ!」
まあ、あんだけ立派な牙があるんだし、毒とかじゃなく、牙メインで生きてるんでしょう。
「じゃあ、今夜それをフライにするので、この銅板を叩いてくださいな」
私は水に浸けて柔らかく(銅は熱して水に浸けると柔らかくなる)した銅の鉄板をメグに渡す。
メグは嬉々としてハンマーを握った。
「わーい、今夜は白身魚のフライだ~」
という訳で魔術で鉄の台とハンマーを作ってメグに銅を叩いてもらう。
メグが「トーン、カーン」という音を鳴らしながら、尋ねてくる。
「これ何に使うのー?」
「ゼンマイ型のバネですわ」
「バネかぁ。なんでウチは、バネのためにこれを叩くの?」
「その銅板をギュッと引き締めて、靭やかさを与えるためですわ――固くなってきたら、もう一度、炉に焚べて赤くしてくださいな。そのあと水に入れればまた柔らかくなるので、叩いて下さい。できるだけ均一な厚さになるようにお願いしますわね」
じゃあ、メグが銅板を作ってくれている間に、
「一旦、組み合わせて試射しましょう」
私は銃の部品をえっちらおっちら組み上げる。
組み上がったら、鉛の弾丸を5つ生成。現代のアサルトライフルの弾丸みたいな長細いやつ。ただし薬莢はない。火縄銃みたいに、火薬と弾丸が別々。
銃自体に一体化していて取り出せない弾倉に、弾丸を投入(第1次世界大戦くらいまでの銃は、弾倉と銃身が一体化してた)。
弾丸は5発しか入らないけど、大昔の銃なんてこんなもん。
レバーを前に押して、弾丸を薬室に送り込む。
火薬を軽く染み込ませた火縄に、火を点ける。
「え、火縄銃なのに弾丸を幾つも保持できるなんて、なんかハイテクじゃない?」
「作っているのは火縄銃じゃないですわよ。縄で火をつけるのは、今だけですわ」
黒色火薬団子を薬室に投入。
レバーを戻せば、黒色火薬の一部がはみ出た。
あとは、はみ出た黒色火薬に縄で火を点ければ――
パァン!!
「よし、的に命中ですわ!」
「おおお。本当に銃だ!! しかも結構真っ直ぐ跳んでる~! 火縄銃って真っ直ぐ飛ばないって聞いてたのに」
「ちゃんとライフリングバレルにしましたから、真っ直ぐに飛びましたのよ」
八角ポリゴナルライフリングという、単純な仕組みのライフリングバレルだけど。
「そういえばなんでライフリング(?)があるとまっすぐ飛ぶの?」
「ライフリングが弾丸を回転させ、ジャイロ効果を与えてまっすぐ跳ぶんですわ」
「あー・・・。野球のジャイロボール?」
「それと同じ理屈ですわ」
「なるほど、昔の火縄銃はナックルボールだから真っすぐ飛ばないのか! わかりやすいね!」
私には、野球にたとえられると、わかりにくくて堪らないけどね。
「メグ、そろそろ銅を叩かなくて大丈夫ですわ」
「はぁい~!」
私は銅板を細く切る。
銅板に、魔法で作り出した鉄のナイフの刃を押し付けながら、ハンマーでナイフを叩けば切れていく。
そうしたら銅を最後に熱して、魔法で出した鉄の棒に巻き付けて、ゼンマイの形にする。そうして水で急速冷凍。
「銃のサイドに石英を埋めた銅の円盤を銃のサイドにくっつける。ゼンマイでこの円盤が回転するようにする」
で、四角い黄鉄鉱を、薬室に作った窪みにはめ込む。
「それ大丈夫なの? 黄鉄鉱ってサイズがかなりマチマチじゃない?」
「大丈夫ですわ、こうして皮を噛ませれば、フリーサイズですわ」
「な、なるほど・・・!」
「・・・で、火薬団子を入れて――コッキング」
レバーでコッキングすると、ゼンマイを巻く仕組みにしてある。
「あとは、引き金を引けば、ゼンマイが解放されて、石英を付けた円盤が何度も回転する。そうして薬室にはめ込んでいる黄鉄鉱と、石英が打ち合わされる、」
本当は鉄をこすり合わせたいんだけど、今は無理なんで石英の物量。
「すると火打ち石のように火花が発生して――!」
火薬に着火――
パァァァン!!




