↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゼロから嗜む、文明作り!  作者: 毘沙門 子子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
33/43

ガスマスクですわ

「近代化に必要なのは、電力(エネルギー)。金属(材料)。火薬(軍事/工業力)だ。スカルン鉱床と火薬で材料と軍事工業は揃った。あとはエネルギー――強力な磁石が欲しいなぁ」


 とりあえずこれで、塩湖で欲しい物は手に入った――帰りはカルデラを通ろう。風の裂け目の近くにカルデラがある。


 と、帰っている途中――ふと思い出す。


 そうだ。たしか塩湖の端には、アレが有る可能性・・・・。


「アニメで大好きになった私の推し宝石――フォスフォライト!」


 アニメで「脆い脆い」言われてたけど、そりゃ当たり前、リンの鉱石なんだもん。


「『水35L、炭素20kg、アンモニア4L、石灰1.5kg、〝リン800g〟、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、その他少量の15の元素……』」


 私が呟いた、有名な人間の構成物の説明。

 ここで言われている通り、リンは、人間の体で鉄より多い構成物。フォスフォライトはつまり、元・生き物の体なんだ。


 ちなみにリンを生き物の体から取り出すのはメチャクチャ大変、一番大変とも言われるレベル。

 硝石作りから解放されたのに、リン作りが立ちふさがるのは勘弁して。

 というわけで、塩湖の端を掘ってみる。

 閉じ込められた海に、生き物が沢山いただろう頃の地層。


「なにしてるのアリシアさん?」

「宝石を探してるんですわ」

「宝石?」


 ふと視える、ほぼ透明でわずかに薄い青の宝石・・・・!

 ピッケルの先で削ればあっさり削れる! よし、脆い!!


 フォスフォライトもゲットだ。


 その後、カルデラに寄って、ドラゴンに見つからないようにこそこそ。


「長居したくないので、手分けしましょう。スギタさん、タカヤマさん辰砂を探してくださりますか? ――このマスクを付けて、それでも硫黄の匂いがする場所には近づかないように」


 私がタカヤマさんに望遠鏡を渡すと、タカヤマさんが首を傾げる。


「辰砂とは?」

「赤い石で――」


 するとスギタさんがマスクを付けながら、頷く。


「安心しろタカヤマ、辰砂なら見たことがある」

「本当ですか! それは助かります」

「だが、どういう地形にあるのかがわからないな」


 私は、スギタさんに答えた。


「地下水に削られたような地形を探してくださいまし――ただ、窪みにあるかもしれないので、そういう場所だったら入らないでくださいまし。望遠鏡で確認するだけにして下さい――そしてもし、硫黄の匂いがしていて、急に匂いがしなくなったら、息を止めて一目散に逃げてください」

「大丈夫、その辺りは私が心得ています。じゃあ行きましょうか、スギタ」

「ああ。ドラゴンにも注意しよう」

「あまり長居したくないので、陽が頂点に来る頃には戻ってくださいな」


 2人は、手を振って答えてくれた。


 こうしてスギタさんとタカヤマさんが、2人で辰砂の探索に向かった。

 男同士、2人、何も起きないはずはなく。

 なんて2人のお尻を眺めながら、心のなかでナレーションを付けて、メグを振り返る。


「メグはここにいて下さいまし」

「えっ? ――メグちゃんも、なにかするよ?」

「ここから先は、危険ですので」


 私は口を覆うマスクを付ける。


「そういえば、タカヤマさんとスギタさんにも渡してたけど、そのマスクなに?」

「ガスマスクですわ」


 私は大げさにも見える巨大なガスマスクを、しっかりと付けた。

 メグが、目を見開く。


「ガ ス マ ス ク!? ――え、毒ガス!?」

「これからメグが前に言っていた、温泉地に行くんですのよ」

「硫 化 水 素!!」

「ですわ」

「即死する奴じゃん!! アリシアさん死んじゃうじゃん!! やだ!! ウチも行く!! 緊急事態の時は、メグちゃんがアリシアさんを背負って逃げるの!!」

「そういう知識だけはしっかりと付けて・・・・大丈夫ですわ。死にませんわよ」

「アリシアさん死んだら、メグちゃんもどうせ野垂れ死ぬんだから、一緒に行くの!」

「わたくしが死んでも、タカヤマさんと、スギタさんがいますわ」

「やだ! 一緒に行くの!!」

「無理ですわ!」

「なんでッ!!」

「マスクが、もう、これ1つしかありませんわ」

「・・・・わざとだね?」

「まぁ、わざとですわ。――でも本当に大丈夫ですわよ」

「そのマスク、信用なるの?」

「まあ、多分」

「多分!?」

「ジャングルで見つけたパンヤって言うのがあったでしょう?」

「あー。糸にしようとしたら、繊維が短いし、ボロボロに砕けるし、無理だった役に立たなかった綿」

「その役立たず・・・を、綿を灰にして、さらにそれを水にとかして炭パンヤに染み込ませた、かなり強い硫化水素対策ですわ」


 それをバナナの皮の繊維で編んだ(メグが)布に、詰めた。


「どうしてそれが対策になるの? しっかり説明してくれないなら、メグはアリシアさんをここでロープでキャメリーナに縛り付けて帰るからね」

「・・・・それじゃぁ火薬が作れなくなるじゃないですの」

「まず、硫化水素ガスを炭の多孔質が捕らえます――さらに灰水のアルカリが、硫化水素を中和して酸性から中性にしますの」

「えっと、えっと」


 メグが目をあちこちに彷徨わせながら、なんとか理解しょうとしている。


「あ、そっか。――なるほど・・・・確かにかなり無効化できそう」

「あとは、管の辺りは静電気を帯びていて、静電吸着も起こしますわ」

「せーでんきゅうちゃく?」

「下敷き髪の毛を立てたことは?」

「あるある!」

「あんな風に物体を吸着するんですわ。ガスを吸った粉の1つも通しません」

「おお・・・なんか本格的だ」

「あとですわね。――最後の手段、逃走」

「え、逃げられるの?」

「ええ。タカヤマさんもご存知でしたけれど、硫化水素はまず、嗅覚を破壊してきますの。なので臭いがしなくなった瞬間、即座に息を止めて引き返せば、助かる可能性があるんですのよ」

「か、可能性かぁ」

「あと、わたくし、窪地とかガスの溜まる場所をそもそも歩くつもりもないですわ」

「な、なるほど」

「まあまず、死ぬことはありませんわ。アリシアを信じなさいな――それよりドラゴンが怖いので、メグこそ気をつけてくださいまし」

「うん・・・・わかった。じゃあメグはここでリームとラクダンナーとキャメリーナのお世話してる。――早く帰ってきてね!? ずっと心配してるメグがいるってこと忘れないでね?」

「もちろんですわ」


 というわけで私は湯の花採取に向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。