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ゼロから嗜む、文明作り!  作者: 毘沙門 子子


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30/41

メグが驚異的ですわ

 私達は、恐らく水の侵食でできたであろう、元・川と思われる谷底を進む。

 追い風なのはいいけど、それでも毛皮が吹き飛ばされそうになったりする。

 スギタさんが、ラクダンナーなの手綱を引きながら、マントが飛ばないように庇って尋ねてくる。


「・・・・こ、この谷、なぜこんなにずっと風が吹いてるんだ?」

「か、風は、温度差で起こるものですわ。ならサバンナと砂漠の温度差でしょうね。昼の今は、砂漠側の空気が温められて上昇し、サバンナの空気を砂漠側が吸い込んでるんですわ。そして狭い場所だと風はより強くなる。ホースの先を狭くするあんな感じですわ」


 すると、ラクダンナーに乗ったままのメグが頷く。

 ちなみに、キャメリーナには私が乗ったままで、タカヤマさんが手綱を引いてくれている。


「そういえば、風が吹いてる日に窓をちょっとだけ開けると、風が強くなるっけ。メグちゃん、扇風機代わりにしてた」

「そういうことですわ」


 さらに、この傾斜が風をバ◯キルトしてる。


「でも、この先って本当に砂漠なの!? ずっと植物がもっさり生えてるよ!?」

「この風が言ってます。――この先は砂漠だと! この辺りはまだ、サバンナの湿気を含んでいるから植物が育つんですわ」


 突風に吹き飛ばさそうになりながらも、なんとか歩いていると――背の低いイソギンチャクみたいな生き物がいた。

 メグが警戒する。


「・・・・なにあれ」

「食虫植物みたいなものでしょうね。飛んでくる虫や植物、胞子や種子を、ああして触手で捕らえて栄養にしてるんでしょう」


 Loveナレク.sideMⅡにも出てきた。


「怖いやつ?」

「いえ、あれは怖くないですわ」


 ただの背景で、モンスターではなかった。


「と言うか、怖いのは――」


 背後から風切音。


「メグ、しゃがみなさい!」


 言いながら、ラクダンナーの上のメグの頭を押して低くさせる。


「な、なに!?」


 頭の上に起こるさらなる風。

 振り返れば、モモンガ――いやヒヨケザルだな。キモイ。

 そんな生き物が皮膜で風に乗って、こっちに滑空してきていた。


「ゲイルモンキーというモンスターですわ!」

「モンスターだと!?」

「モンスターですか!!」


 スギタさんが大木槌を構えて、タカヤマさんが竹槍を構える。

 メグも背中の弓を取り出す。私も、弓を構えた。


「気をつけてくださいまし! 奴の魔法、真空(トムルム)。魔法で真空を作り出して攻撃しますの! 風が強いので、できた真空に一気に空気が集まり、威力が増強されてますわ。近くでやられると、衝撃で内臓破裂の危険もありますわよ!!」

「え・・・・」

「内蔵破裂・・・だと!?」

「そんなに危険なんですか!!」

「ゲイルモンキーは、あのイソギンチャクを捕食するんですの。普段はナマケモノみたいにエネルギー消費を抑えていて、量は食べません。移動するときはああして風の力を利用します」

「とことん省エネ!」


 魔法さえなければ、全く恐ろしくない生き物なのに。

 しかも魔法で使う体力まで風で補うから。どんだけ省エネなんだよ、環境省から表彰物だよ。

 私は背中の矢に手を掛ける。

 そして弓につがえ、頭上を風に乗って駆け抜けていく、キモイ生き物に向かって放った。


 駄目だ、かすりもしやしない。


「――風が強すぎて、弓が真っすぐ飛びません・・・・こんな環境でどうやって弓で戦えと」


 スギタさんの木槌も、タカヤマさんの竹槍も当たりそうにない。


 私は遠距離でないと戦えない。アリシアと寂シアは、接近戦が苦手なんだよ。

 粉塵爆発はこの風じゃ無理だし――というかマグネシウムとかアルミに着火できる熱を用意できない。松明もすぐに消えてしまうだろう。


 私が歯ぎしりしていると、メグも弓を構えていた。

 そうして目をつむり・・・・。


「・・・風を感じろ――」


 ・・・・呟いて、目を開いた。


 私たちの視線が、メグに集中する。


 そうしてどこを見ているかわからないメグの瞳の視線にゲイル・モンキーが入ってくる。


「――風に乗れ。・・・・この線―――ッ!!」


 言って矢を放った。

 メグの放った矢は風に乗り、まるで風そのものに導かれるように軌道を変え、うねり―――ゲイルモンキーを貫いた。


「・・・・なっ!?」

「こ、これは」

「うそでしょ」


 スギタさん、タカヤマさん、私は唖然。

 こ、これが、天才って言うもの?


「にししっ! アリシアさん、見てた!? メグミちゃんやったよ!」


 ・・・いや、そんな「やったよ」で済むレベルじゃないんだけど。


「す、凄まじいですわ、メグ」

「やった! アリシアさんに褒めてもらった!!」


 本当に凄まじい物を見た。


 無邪気に「ナデナデ」を要求してくる脅威の生き物の頭を撫でて、進軍を再開した。


 やがて日が暮れる前に、なんとか谷越えにも成功。


「やっぱり・・・」

「うわぁ、マジだった。アリシアさんの言う事、ピタリと的中してるし!」

「実は、半信半疑な部分もあったが」

「知識の桁が違いますね。アリシアさんは」


 私たちの視界に広がったのは、岩石砂漠だった。


「きっとあっちに干からびた塩湖がありますわ。風の裂け目からまっすぐ北西へですわ」


 ゲームの地図的にも間違いない。


 私達は旅を再開。


「今日の太陽を概算した太陽の高さはおおよそ+30シア度だから」

「それ、よく覚えてるねぇ」


 私が、分度器で図っていると、メグがちょっと呆れてた。

 忘れたら大変じゃん。


 緯度は地球で言ったら25~30度を目指す。この惑星でも恐らく一番乾燥する地域。

 だから緯度を測りながら進む。


 一応、方位磁石で方角を見ながら進んでるけど。


 方位磁石を見ると、ほぼ真南に太陽が来たので、砂漠の大地に映る自分の陰を見る。


 自分の陰を見れば、さっきまで伸びていたのが、ちょっと短くなり始めた。

 ほぼ真昼だ。

 私は太陽の角度を512度分度器で測る。


「えっと太陽の高度が115。夏至補正が30。差し引き85――赤道基準の直角128から引いて・・・・緯度40シア度になりましたわ。オーケー、順調ですわね」

「学校で勉強したことって、役に立つんだねぇ・・・」

「貴女も覚えておきなさいな、512とメグの世界の円周360の変換式は512度をに変換される変数をaとして――」

「やめてメグちゃん数学アレルギーなの!! 数学の先生に嘘つかれた!! 数学って役に立たなかったんじゃないの!? 数学の先生が『数学は、数学の先生になるくらいしか役に立たない』って言ってたのにぃ!!」


 まあ天文は数学が大事だから。

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― 新着の感想 ―
数学はと言うか中学、少なくとも高校の勉強はその分野行かないと使わないよね 古典とかぜってぇ使わねぇ()
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