現在位置を特定しますわ
ここでリームまで目を覚ましてしまった。
「ピヨピヨ」
羽をバタバタさせるけど、まだ上手く飛べないらしい。
肩に乗りたいのかな? と思い乗せてあげようとすると、頭に乗った。
「ズに乗るなよ貴様・・・・まぁ、いいか」
ズの字が違うし。
私は、北極星を探した。
北極星を使った伝説ある世界だから、北極星はあるはず。
「えっと木を切った時に見えた年輪からおおよその北を割り出して――あとは動かない星を・・・・メグもあっちの空に動かない星が無いか探してくださります?」
「おっけ! 北極星だね!! ――えっと北斗七星と、カシオペアの――」
「メグ、この惑星に北斗七星とカシオペア座はないですわ」
「え?」
「ここは貴女のいた惑星とは、全く違う位置にあるんですわ」
「な、なんでそんなことわかるの? アリシアさんは、惑星の位置が視えるの?」
「あの星の集まり――」
私は、この惑星の天の川に当たる物を指さす。
「――あれが、貴女のいた場所で言うところの天の川になるのだけれど――仮に『星の川』と呼びましょう」
「あれがどうかしたの?」
「貴女のいた場所の天の川って、真ん中に黒いスジが走っていたでしょう? ――星が無いように見える部分ですわ」
「んー? 都会っ子なんで天の川なんてみたことないけど、写真にはあったような気がする」
「天の川にあったようなスジは、宇宙のガスや塵なんですわ」
「えっ、そうなんだ!? 星がないわけじゃないんだ!?」
「この惑星が、貴女のいた場所の銀河にあるかはわかりませんけれど、あの星の川には、ガスや塵の姿がほとんどない」
「ほんとだ・・・・ほぼない」
「さらに、あの辺り、凄まじく星が密集して楕円みたいになっているでしょう?」
「うん、光るどら焼きみたい。――どら焼き食べたい」
「ドラヤキですわね。そのうち食べれるようにしてあげますわ――」
メグが「マジで!?」って叫びながらこっちを見た。
「――銀河の中心には多くの星が集まりますの。つまりこの惑星は地球に比べて、随分この銀河の中心側に有るってことですわ」
「・・・・アリシアさんは、ちょっと星を見ただけで、そこまでわかるんだ・・・? ――やっぱメグはアリシアさんに絶対服従する。逆らいません」
メグが枕元においていた弓を取って「ベーンベーン」と鳴らした。
それは楽器じゃないんだよ?
「じゃあ、北極星を探しますわよ。貴女のいた場所での見つけ方なんて通用しないから、とにかく眼力で動かない星を見つけますの」
「ラジャ!!」
私はリームを頭に生やしたまま、北の空を睨んだ。
リームも私達の真似をして、北の空を睨む。
リームは何をしてるのか分かってないだろうけど。
2人と1匹でしばらく星を観察していると、微動だにしない星をメグが見つけた。
「あった! アリシアさん、あれじゃない!? あのよく光る星の真ん中!!」
メグが指を指す方向、そこにはまるでオリオン座の真ん中の三つ星のような星々が。
その真中が微動だにしない。
メッチャ目立ってる。すんごいわかりやすいな、この惑星の北極星。ありがてぇ。
「ありがとう! ――よし、あっちが北ですわね!」
私は地面に北の方角を残しておく。これから何度もお世話になるだろう、大事な基準だ。
「これで、惑星での自分のいる南北の座標が割り出せるようになりましたわ」
「へ・・・?」
私はテントを出て地平の位置を確認し、木々を横切るように目印の横棒を設置した。そして、それを基準に北極星の角度を測る。
「37シア度」
私はしばらく計算。記憶とアイデアには自信があるけど、計算は苦手。
「地球基準なら、おおよそ26度くらいですわね」
私は頭に「?」を生やしているメグに説明するために、地面に円を書いた。
そして赤道から上を3分割して、赤道から3と4分の1辺りを指さした。
「赤道から極までのちょうど3と4分の1辺りですわ。このくらいに、わたくし達はこの辺りにいますわ」
「な、なんでわかるの!?」
それを説明したら地球人だってバレるんだよねぇ。
「緯度は北極星の角度でわかるものなんですわよ。王都の学園で習ったんですわ」
「この世界の学問も、すごいんだねぇ」
この位の知識は、この世界にもあるはず。
「というかアリシアさんは、そんな小さな器具で自分が惑星のどこにいるのか調べちゃうんだ・・・・!?」
「まぁ、簡単ですので。――目標の場所は北西ですわね。それに恐らく、それほど遠くないですわ。――そして西に竜の住む長い山脈もありますし、間違いなく西の向こうに砂漠がありますわ――さらに山脈があるなら、干上がった塩湖もあるはずですわ」
攻略本で見た地図を思い出す。間違いないはず。
「そうなの?」
「ゲームのキャ――セレイっていうハーピーがいるのですけれど。その娘の発言で、故郷は西の冷たい海、お魚いっぱい。沢山の枯れ草って証言があるんですわ」
「えっ、冷たい海が砂漠の証拠なの? 暑い海じゃなくて?」
「ほら、海が冷たいと、雲ができなくて雨が降らないんでのよ」
「あっ! 海が冷たいとそうなるの!? 砂漠ってそうやってできるんだ!?」
「そう。だから砂漠の条件は、温度ではなく降雨量。――ならここは大気循環の下降域のはず」
「塩湖かぁ、お塩やっと手に入るんだね。お肉が美味しくなるんだねぇ」
塩もだけど、それだけじゃない。
塩湖にあるのは、硝酸ナトリウム、塩化カリウム、リン、炭酸ナトリウム――珪藻土、あとはホウ砂も有ればい欲しい。
塩湖には欲しい資源が沢山ある。必ず行かないと。
「そして、さらにわかることが有りますわ。こっちは長さを決める要素の1つにします」
「なになに?」
「この惑星の一周の長さですわ」
「ふぁーーーーーーーーー!?」
甲子園のサイレンみたいな音が、メグの口から発射された。
リームが「ビクゥ」私の頭から降りて、お尻に隠れて、「何あの人、怖い」って目。
「大体ですけれどね。とりあえずまぁ、惑星での位置が分かるってことは、どのくらいの長さで惑星の何分の一、進んだかを割り出せますわ。たとえば512分の1進んだなら、512倍すれば惑星の円周です」
「あーーー!」
『アハ体験』をしたようである。
もちろん精度の問題はあるけれど。
「その測り方も学園で習ったの?」
「いえ、これは今考えましたわ」
「・・・・今かぁ」




