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ゼロから嗜む、文明作り!  作者: 毘沙門 子子


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17/42

発動ですわ

「とにかく、一酸化炭素をもっと!」

「う、うん!」


 私とメグは2つの鉄塊を押し返しながら、炭を投入して燃やし続ける。焔爪と凍牙にはもうこっちの存在に気づかれたんだ、全部ぶち込んで、炎の行きをいを増した――でも。


「ねえ、アリシアさん。この鉄やタングステンって、いつか消えるんだよね?」

「ですわ。この足元に置いてある鉄球が消えたら、10秒後ですわ・・・・消えたら一目散に左右に避けるんですわよ。奴の体当たりで残ったタングステン塊は吹き飛びますわ――恐らく、ヤツの本気の体当たりにはこのタングステン塊1つでは耐えられません――そして、体力を温存しておきたいので、これ以上の魔法の使用は避けたいです」


 魔法を使うと、体力を消費する。

 体力を消費するってことは、運動ができなくなるってこと。このまま洞窟を塞いでいても、いずれ鉄やタングステンの塊は維持できなくなる。

 その時体を動かせないほど疲れていたら、何もできない。だから塊の維持はここまで。


「え・・・・この量の鉄塊が!?」


 これは鉄じゃなくて、タングステンだけどね。

 奴の体当たりがまた来た。私とメグは、意味があるのかわからない押し返しを続ける。


 ――と、足元の鉄球が消えた!


「10! 9! 8! ――3! 2! 1――躱しあさばし!」


 焔爪と凍牙の本気の体当たりが、残るタングステン塊に炸裂、洞窟の外へ吹っ飛んだ。

 あれに巻き込まれたら、私達じゃ即死だった。


「メグ、決着を付けますわよ!」

「う、うん!」


 焔爪と凍牙と正面から対峙する私とメグ。


 焔爪と凍牙も無傷じゃない。

 一酸化炭素によるダメージは相当食らってるはずだし、ナトリウムによる爆発を内臓に受けたのも効いてるはずだ。

 焔爪と凍牙が咳き込んだ、血を吐いている。


 他のダイアハウンドの援軍は来ないようだ。恐らく一酸化炭素中毒で死ぬか、気絶したのだろう。

 そして、まだ生きていても、意識を失ったなら放置すれば死ぬ。


 私は、魔法で鉄の盾と鉄の剣を作る。


「わたくしが囮になります。メグは弓を射てくださいまし!」

「えっ、まって、囮はウチのほうが――!」

「わたくしはこいつの攻撃パターンを知ってるんですの! 早く!!」

「う、うん!!」


 焔爪と凍牙なんて大層な名前が付いてるけど、相手はしょせん犬だ。

 奴の攻撃は、左右にステップしてから、突進して焔爪かによるひっかきか、凍牙による噛みつき。

 私は焔爪と凍牙の左右ステップに、完璧に盾を向けながらその時を待つ。


 メグの矢はまるで焔爪と凍牙には通用せず、弾き返され続けている。


「ごめん、アリシアさん・・・ウチ役に立たない! ・・・・」


 悔しいのか、申し訳ないと思っているのか、歯を食いしばって震えている。

 涙まで流している。


「・・・・役に、立てないよぉ・・・」


 大丈夫だよメグ、泣く必要なんてない。


(それにしても焔爪と凍牙が、なかなか攻撃してこないな)


 相手の動きが読めてるから、完璧に左右ステップに対応してるからか。攻撃してこない。

 どうしても側面を取ってから、襲いかかりたいんだな? ・・・・ならさせてやる。


 私は焔爪と凍牙の動きに、ワンテンポ遅らせて振り向いた。


「来た!!」


 焔爪と凍牙が前足を大きく振りかぶり、顎(あぎと)を開いて跳んできた。

 ここだ!!


「〖金属生成(ヴェルス・ティル)〗――11、マグニルムル!!」


 私は、奴の顔の通り道にマグネシウムの霧を創造。

 そうしてマグネシウムと、奴の焔爪が振れた瞬間!


 ド―――――――――ッ!!


 大爆発が起きた!


「あ、アリシアさん、なにこれ・・・か、火薬!?」

「粉塵爆発ですわ! ――それもマグネシウムの粉塵爆発! 核爆弾の次に威力があるとされる、燃料気化爆弾にも使われる物質による爆発!」

「か、核爆弾の次・・・・」


 とは言っても、核爆弾とは比べるべくもない威力だけど。


 私の背後で、鉄塊が消滅したのを感じた。


 焔爪と凍牙の片方の頭がグチャグチャになっている。さらにもう片方の頭も半分グチャグチャだ――ふらついている。

 メグが矢を番えていた弓を下ろす。

 私も、剣と盾を降ろしかけた。


「流石にもう」


 でも――、奴は倒れなかった。

 踏ん張ると、空に咆哮した。


「ドォォォオオオォォォオオオオオオン―――ッ!!」


 前に遠くで聞いた時の遠吠えとは、桁違い。

 音の塊が、私とメグの腹の底を揺らした。


「う、うそ・・・!」


 メグの声が掠れている。

 私の足も震えている。


 だが、焔爪と凍牙は、警戒心をMAXにしたのか、私達の周りを回りだす。


 低く唸っているけど、私が盾を相手に向け続ける限り、襲ってこなかった。


「ア、アリシアさん、どうしよう! ――ウチの矢もアリシアさんの背中から貰った矢も最後の一本だよ!! もう攻撃手段が・・・・! ウチが、役に立てなかったからぁ・・・!」


 私は唇の端を釣り上げた。


「勝ちましたわ」

「え?」


 焔爪と凍牙が、激しい咳を始める。

 そうして、大量の血を吐いた。


「塩基Do(エンキドゥ)―――発動ですわ」


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