JP-SWARTS
2015年4月7日
東京都新宿第2特別区
防衛省海上幕僚監部地下――大型会議室
各報道機関の記者たちが、隙間もないほどに詰め掛けていた。
フラッシュの準備や録音機器の確認が進められ
何かが始まろうとしていた。
数分後、ステージの裏から一人の男が歩いてきた。
黒に近い濃紺の制服を身にまとい、無駄のない歩幅。
その後ろには護衛がついてきていた。
次の瞬間――
バシャッ、バシャッ、バシャッ!
一斉にシャッター音が鳴り響いた。
光が男を包み込むように瞬いた。
男は一切表情を崩さず、ステージ中央へ進み、設置されたテーブルにゆっくりと腰を下ろした。
男がマイクを手に取ると
「キィィィィィン……」
不快なハウリング音が会場を切り裂いた。
ざわついていた空気が一瞬で凍りつく。
全員の視線が男へと集中した。
その男は静かに口を開いた。
「........本日はお集まりいただき、ありがとうございます」
低くよく通る声だった。
「防衛省所属、作戦本部長、荒川総悟です」
50歳
元は海軍に所属し、駆逐艦の艦長として関東統一戦争時代、数々の戦場となった海の上を潜り抜けてきた男だった。
その名は、一部の軍関係者の間ですでに伝説に近いものとなっていた。
だが一般には、まだほとんど知られていない。
「では、本題に入ります」
余計な前置きは無かった。
記者たちのペンが一斉に走る。
「本日ここに、新たな部隊の結成を宣言します」
「この部隊は、中央連邦軍、ならびに東京自警団とは独立した指揮系統を持ち、総員はわずか90名。構成員は、連邦軍および自警団の中から選抜される。選ばれるのは、例外なく最高水準の兵士のみだ」
記者たちの中で一瞬の沈黙が走った。
そして荒川はわずかに視線を下に背け、再度話し始めた。
「部隊名は――」
「JP-SWARTS。(通称、日本特殊作戦部隊)」
その瞬間、海上の空気が変わった。
関東連邦のこれまでにない、史上初の少数精鋭部隊の編成だった。
「質問を受け付けます」
そう言うとすぐに手を上げ始めた。
「海原新聞です」
中年の記者がメモ帳とペンを手に取って立ち上がった。
「その部隊は、いつ頃から実践投入される予定でしょうか」
そう質問を受けると、荒川は即答せず、一瞬だけ考える素振りを見せると
「詳細な時期は現時点では公表できない」
記者たちの表情にわずかな不満が浮かび始めた。
ところが、次の言葉でその顔は消えた。
「だが、90名が揃い次第、即時運用可能だ」
ざわめきが再び広がり
シャッター音がまた激しくなり始めた。
「埼玉テレビです」
若い記者が録音機を手に持って立ち上がった。
「その部隊は、具体的にどのような任務を行うのでしょうか」
荒川は今度は迷わなかった。
「主な任務は、敵陣地への奇襲、破壊工作、指揮系統の錯乱が基本的な軍事作戦だ」
「つまりは、戦争の“流れ”そのものを変える任務が多く実施される」
その一言に、海上の空気が重く沈んだ。
それ以降、手をあげる者はいなかった。
荒川はゆっくりマイクを持ち直すと、最後にこう言った。
「この部隊は、諸君らが想像するような戦果には収まらないだろう」
「編成が完了するまで...しばらくお待ちください」
そう言い残し、振り返ることなく会場を後にし始めた。すると、シャッター音が鳴り響き、
次々と記者が立ち上がって、今後の部隊の予算や人事について質問をし始める記者らが現れ始めた。
ただ荒川は護衛に守られながらステージから離れた。
そして、このJP-SWARTSの設立が
これから起きる全ての戦いに繋がっていく。
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