日本崩壊
1976年7月5日
その日、人類は再び取り返しのつかない選択をした。
アメリカ合衆国とソビエト連邦
この二つの超大国の緊張は、第2次アリューシャン列島危機とアラスカ危機を境に代理戦争や諜報で対決してきた間接的な攻撃では手に負えないほどの緊張を迎え、
ついに世界は第3次世界大戦へと突入した。
戦争開始直後、一番初めに火種が飛んだのは欧州だった。西欧と東欧の間で始まった欧州戦争では、二次大戦後では考えられない、数百台のも装甲車や戦車が戦場を駆け巡り、上空ではジェット戦闘機やミサイルが飛び交う戦いとなった。だが、そんなものが小さく見えるような事態になった。
1978年4月21日午前11時26分頃、フランス共和国首都パリ
ソビエト連邦が一発目の核ミサイルをエッフェル塔の目の前に落とした。その威力はすさまじく、パリの中心部は一瞬にして荒野と化した。
この核攻撃に対しアメリカも報復として核の引き金を引き、モスクワやスターリングラード、レーニングラードなどのソ連の主要都市へ次々と落とした。
やがて、世界中の空は流星のような軌跡で埋め尽くされ、地上ではそこら中からきのこ雲が上がり始め、死を運ぶ鉄の雨と化した。
そして、これは日本も例外ではなかった。
1976年9月12日東京
1976年9月15日大阪
この二つの都市に白い閃光が降り注いだ。
日本経済の中心地だった巨大都市は、爆風と熱線によって一瞬にして消滅した。
高層ビル群は崩れ落ち、道路は溶け、人々は跡形もなく消えた。
10月10日と20日には名古屋と福岡が
12月24日と25日には千葉と札幌に使用された。
かつて人で溢れかえっていた都市は、灰と瓦礫に包まれた平原と化してしまった。
日本政府は第3次大戦開戦直後、国家緊急事態宣言を発令し、首都を東京から横浜へと移した。
だが実際に核戦争になると、非難に間に合わなかった政治家や幹部は一瞬にして消え去り、国家という枠組みも、崩れかけた砂の城の様に貧弱になっていた。
数千万の命が一瞬で消えた現実は、政治も経済も、そして人の心すらも破壊した。
通信は途絶え、物流は完全に麻痺し、秩序が徐々に失われ始めた。
そして1979年。
日本という国家はついに限界を迎え、崩壊した。
その後、日本列島は内戦の時代へと突入する。
核攻撃から逃れられた日本人らは、それぞれの「正義」と「生存」を掲げ、武器を手に取った。
地方ごとに勢力が乱立し、かつての都道府県の協会は意味を完全に失った。
文明は後退し、都市は廃墟となり、人々は略奪と防衛の中で生き延びるしかなかった。
一方、世界は戦争を続けていた。
だが1980年、ついに均衡が崩れた。
ソビエト連邦の中央政府が完全に機能を停止し、統制を失った軍は分裂し、戦線が崩壊。
1980年12月21日にソビエト連邦は全面降伏した。
それによってついに第3次世界大戦も終わり、アメリカ合衆国率いる資本主義諸国が勝利した。
しかし、その勝利に意味はほとんどなかった。
この戦争で10億9000万人以上の軍人や民間人を巻き込み、両陣営問わず、すさまじい戦争の跡が双方に残ってしまい、スイスやスウェーデンなどの中立国でも両陣営からの軍事的圧力で戦争に参加させられ、スイス銀行の中身が空っぽになるまで兵器購入のための資金として利用しつくされ、バルト海の制海権を取るために全ての港が軍港としてアメリカに接収され、その軍港だけでなく沿岸都市にも被害を被るという、理不尽すぎる始末を受け、被害を受けなかった国はもう一つもなかった。
そして時は流れ、2019年
荒廃した日本列島の中で、一つの「異質な地域」が存在していた。
「関東平野」
かつて壊滅したその地は、驚異的な速度で復興を遂げていた。
放射線物質がほとんど見られなくなった後、旧東京都を中心に旧埼玉や旧神奈川など関東地方一帯で、生き残った技術者や元官僚、軍関係者たちが結集し、再建を開始した。
1990年代には道路網が復活
2000年代には基本的なインフラは整い、電力、水道が当たり前に使えるようになった。
この驚異的なスピードで再建を急ぐ関東地域には、東北や中部から戦後難民が流れ込み、治安と食料、そして秩序を求めてやってきていた。
人口は爆発的に増加し、やがて都市化が進み始めた。
2010年代、かつての東京の跡地には、高層ビルが林立していた。
それは単なる復興ではなく、新しい国家の誕生だった。
行政施設が整備され、政府が再構築される。
そして2016年、新たな秩序がようやく完成した。
翌年
ついに国名が定められた。
――関東中央連邦
旗が掲げられ、人々は再び「国家」と言う概念の下に集められた。
2018年になると
関東連邦の国防を担う軍隊が創設され
正規軍である「中央連邦軍」と
都市の治安維持を担う「東京自警団」
それらを統括する総合防衛省が設置され、関東中央連邦は名実ともに一つの国家となった。
だが、その平和は内向きのものに過ぎなかった。
日本列島の他地域は、依然として混沌の中にある。
関東中央連邦が今後、どのような道に向かうのか。
その答えは一つ、「日本国復活」だった。
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