表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ごり押せッ!袁紹ちゃん!  作者: 姫笠


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/19

第4話 袁紹ちゃん、虎牢関でごり押す。②

前線では、連合軍と董卓軍が激しくぶつかり合っていた。


 ガキンッ!!

 ズバッ!!

 ドゴォッ!!


金属音と、肉を裂く鈍い音。

怒号と悲鳴が入り混じり、戦場は混沌に包まれている。


「押してるぞ!」

「このまま前へッ!」


士気の高い連合軍に、董卓軍は対応しきれない。

陣形が崩れ、兵たちが後退し始める。

一歩、また一歩と。

じりじりと――確実に。

前線は、虎牢関へと近づいていた。


曹操軍の先頭。

そこに立つのは――曹操配下の猛将、夏侯惇。

槍を構え、前へと踏み込む。


夏侯惇「フンッ!!」


一閃。


槍が横薙ぎに振るわれる。


 ドゴォッ!!


董卓兵が、まとめて吹き飛ばされる。


夏侯惇「ハアッ!!」


さらに一歩。


突き。


 ブシュッ!!


槍先が鎧を貫き、兵が崩れ落ちる。

その動きに、無駄は一切ない。


「夏侯惇様が道を開いたぞ!」

「続けッ!!」


その背を追うように、曹操軍が一気に押し上げる。

そして――ついに。

虎牢関、城門前。

夏侯惇が、最前へと到達した。

目の前には、巨大な門。

鉄で補強された、重厚な扉。

夏侯惇「城門前を確保したッ!!」

声を張り上げる。

周囲の兵たちが呼応する。

夏侯惇「これより、城門を破壊――」

槍を構え、門へと向けた、その時だった。


 ギイイイッ……


低く、重い音。

門が――内側から、ゆっくりと動いた。

夏侯惇「……?」

眉をひそめる。

次の瞬間。


 ドゴオオオッ!!


爆音。

まるで弾かれた小石のように――城門前にいた連合兵たちが、一斉に吹き飛んだ。

地面を転がり、血を撒き散らす。

夏侯惇「――ッ!?」

槍を構えたまま、立ち尽くす。

何が起きたのか、理解が追いつかない。

だが――


空気が、変わった。それだけは分かる。

重い。

圧が、のしかかる。

呼吸が、わずかに詰まる。

やがて――門の奥から、ゆっくりと影が現れる。

まず、視界を覆ったのは――巨大な馬。

常識を超えた大きさ。

筋肉が盛り上がり、地を踏みしめるたびに土が沈む。

たてがみは燃えるように揺れ――その肌は、血のように赤い。

異様な存在。

ただの馬ではない。


そして――その上。

ゆっくりと、視線を上げる。

漆黒の鎧。

光を吸い込むような重厚な装甲。

その手には――巨大な方天戟。

ただ持っているだけで、空気が震える。

さらに――兜の隙間から覗く、目。

それは――人のものではなかった。

ぎらりと光る、獣のような眼光。

すべてを見下ろす、絶対的な強者の視線。


誰もが、息を呑む。

そして――理解する。


“これが”――中華最強。


『呂布』であると。


呂布は、ゆっくりと夏侯惇を一瞥した。

その視線は、まるで獲物の値踏み。

やがて――無言のまま、馬から降りた。


 ドスン……


重い着地音。

地面がわずかに沈む。

呂布「……最初に死にたいのは、お前か?」


挑発の色すらない。

ただの確認。


夏侯惇「――たわけッ!!」

迷いを振り払うように叫ぶ。

槍を抱え、地を蹴る。

一直線に――呂布へ。

夏侯惇「ハアッ!!」

鋭い突き。

だが――呂布は、方天戟を軽く持ち上げる。


 ギイイイイインッ!!


槍が、大きく弾かれる。

夏侯惇の体勢が、一瞬崩れる。

その隙を――呂布は見逃さない。

そのまま、頭上から力任せに、方天戟を振り下ろした。


 ドゴオオオオンッ!!


かろうじて槍で受け止める。

衝撃が、地面にまで伝わる。

意識が一瞬、飛んだ。

夏侯惇「――ぐうッ……!」

膝が沈みかけるのを、必死にこらえる。

両腕が、軋む。

だが――倒れない。

夏侯惇は、無理やり体勢を立て直した。

荒い息。

それでも槍を握り直す。

夏侯惇「化け物がッ!!」

叫び。

怒りと意地を込める。

夏侯惇「これでも喰らえッ!!」

踏み込む。

突き。

さらに突き。

連続の刺突。

目にも留まらぬ速度。

だが――呂布は、片手で方天戟を振るった。

まるで風車のように。


 ガキンッ!!

 ギィンッ!!


すべてを、弾く。

そして――ふいに、動きが変わる。

呂布の足が、わずかに踏み込まれた。

次の瞬間。


 ドゴッ!!


鈍い音。

呂布の蹴りが、夏侯惇の腹部に叩き込まれる。

夏侯惇「グハッ!!」

息が、強制的に吐き出される。

体が浮く。

そのまま――


 ドサッ!!


地面へ叩きつけられた。

砂が舞い上がる。

夏侯惇は、転がるようにして距離を取る。


呂布は――ゆっくりと歩く。

一歩ずつ。確実に、距離を詰める。

その途中。

ふと、地面に視線を落とした。

そこに転がっていたのは――折れた矢じり。

呂布は、それを無造作に拾い上げた。

呂布「……この程度か」

呟く。

興味を失ったような声音。

呂布「下らん」

そのまま、立ち上がろうとする夏侯惇へ――無造作に、投げた。


 ヒュンッ


風を裂く音。

次の瞬間。


 ブシュッ


夏侯惇「ぐおおおッ!!」

絶叫。

矢じりが――吸い込まれるように、左目へ突き刺さった。

鮮血が噴き出す。

夏侯惇は、思わずその場に膝をついた。

左目を押さえ、うずくまる。

呂布は、その様子を見下ろしていた。

ゆっくりと。

確実に、歩み寄る。

その一歩一歩が、死を刻むように。

そして――頭上へ。

方天戟を、ゆっくりと振り上げた。

とどめの一撃。

それが――今、振り下ろされた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ