ヘッセン王子登場2
「久しいの。」
「義母上! この縄を解いてください! それと白雪姫に会わせてください!」
「義母と呼ぶな。まだその方と娘は婚姻したわけではない。」
ドラキュラ伯爵は(これがヘッセン王子か)と冷めた目で見ていた。
(こいつのおかげでどれだけ振り回されたかっ。)
「その前にヘッセン王子、茨姫はどうした?」
「え……と、それはその。」
「今はどこにおる?」
「……私の城です。」
「不貞か?」
「違いますっ!!」
「不貞と言えば……。」
女王が視線を移すと、大きな扉が開かれた。
観音開きの分厚くて大きな扉が両側から大きく開けられると、そこには二人の子どもの手を引いたラプンツェルが立っていた。
ヘッセン王子は「ヒュッ」と変な息を飲む。
「ぱぱー!」
「ぱぱー!」
「ぱ、ぱぱ? どういうことだ? ラプンツェル!」
「……あたしのこと、覚えてたんだ。」
ラプンツェルの目がすっと細くなった。
「その方がその娘を捨てた時には腹に子がおったようだぞ?」
「ええっ?」
「ぱぱー、なんでぐるぐるまきになってゆの?」
「ぱぱー、リムとおんなじかおー。」
双子はぐるぐる巻きの王子の周りをきゃっきゃとはしゃぎながらぐるぐる回った。
バターになりそうだ。
確かに、並べてみると王子と双子の男の子の顔とそっくりだ。言い逃れはできない。
宰相が深々と頭を下げた。
「女王陛下に奏上いたします。これはあきらかな我が国に対する侮辱行為。この度の不法入国と併せ白雪姫との婚約の解消を提案いたします。」
「そうだの。」
「ままま、待ってください! 私は白雪姫を迎えに来たんです! 白雪姫に会わせてください!」
その言葉を聞いたラプンツェルは握った手をぷるぷると震わせた。
「あたしを……あたしたちを迎えに来なかったくせにっ。単なる気まぐれで、あたしは子どもができてどんなに苦労したかっ!」
「だってあの時はもう白雪姫と婚約していたし、君は平民だから結婚できないし……。」
「クズ……。」
カーミラの小さな呟きが存外に広間に響いた。
「あら、失礼いたしました。」
カーミラは扇で口元を隠しながらにっこりと笑った。
そこへ白雪姫が一人の男を引きずるようにして現れた。
「……あいつは……。」
ドラキュラ伯爵が小さな声で呟くと、カーミラも目を見開いて頷いた。
「私は、ヘッセン王子との婚約を解消してこの人と婚約します!」
高らかに宣言する白雪姫の言葉に、広間に動揺が広がる。




