白雪姫再び
翌日、ラプンツェルは二人の子どもを連れて王城へやってた。
使用人用の部屋へ案内され、荷物を置いて安堵の息を吐いた。部屋の中は家族で住み込みができるように家具も揃っている。
「さあ、今日からここがあたしたちのおうちよ。」
話しかけた双子はうとうとと眠そうにしている。無理もない。砂漠の国に生まれてから何度目の引越しになるだろう。
「あそこにベッドがあるわ。少しお昼寝しようね。」
ベッドに寝かせると、子どもたちはごろごろと転がった後、すやすやと眠った。
ラプンツェルは幼い二人の子どもの頭を撫でながら、小さく呟く。
「お母さん、頑張るからね。」
*
白雪姫は退屈を持て余し、厨房の裏にある畑に来ていた。
料理で使うちょっとしたハーブや果樹が植えてある。そろそろスモモが食べ頃ではないかと忍んで来たのだ。
まだ小さいメロンを横目に見ながらスモモの木に近づく。すると、スモモの木の下に小さな二人の子供がいた。
「あなたたち、どこの子!? スモモ泥棒じゃないでしょうね!?」
ばっと振り向いた三才ぐらいの男の子と女の子。
(あら、どこかで見た顔?)
薄茶色の髪の毛と瞳。綺麗だけれどなんとなくぼんやりとした顔。
(うーん、どこで見たんだっけか。)
「なに? スモモ食べたいの?」
二人の子供が小さく頷く。
「仕方ないわね、ちょっと待ってなさい。」
白雪姫は「よいしょ」と背伸びをしてスモモをもいだ。
尊敬の眼差しで見る子供たちにスモモを渡し、畑の脇にあるベンチで一緒に食べた。
「あなたたちはなぜこんなところにいるの?」
二人はこてっと首を傾げた。
可愛いかも。
「名前はなんて言うの?」
男の子が「リム」、女の子が「ラム」と名乗った。
「お母さんは?」
「……らぷ……。」
「らぷ?」
小さな子どもに『ラプンツェル』は言いにくいらしい。舌足らずに一生懸命言おうとするが、うまく言えない。短気な白雪姫はイライラしてきた。
「じゃあ、お父さんは?」
「ヘッ……。」
「ヘッ?」
そこに女性の大きな声が響き渡った。
「リム! ラム! どこに行ったの⁉︎」
「おかあちゃま!」
子どもたちが声の主の方へ走っていく。
「あなたの子どもなの?」
「はい。」
「この城は広いんだから目を離しちゃ危ないわよ。」
「……あなたは?」
「はあ? 誰に向かって口聞いてんの? 自分から名乗りなさいよ。」
「ラプンツェル……です。」
「ああ、なるほど『らぷ』ね。」
*
塔の上の鏡の間。
《裏の畑で白雪姫とラプンツェルが睨み合ってます。》
*




