ロビン・フッド登場7
「三才……? まさか。」
「そうです、陛下。白雪姫と婚約しているのと同時期にこの女性、ラプンツェルの元へ通っていたんですのよ。しかもっ、今はヴラドを狙ってっ……!」
「カーミラ、今それは関係ないよ。それよりラプンツェル、女王陛下の御前だ。侯爵の腕を離したらどうだ?」
「あたしと子どもたちの安全を保証していただけますか?」
「保証しよう。」
ラプンツェルは侯爵の腕を離した。そしてぺこりとお辞儀をした。
「はじめまして、女王陛下。ラプンツェルと申します。」
カラバ侯爵はその隙に後ろにすすっと離れた。そして猫が侯爵を守るように前に出た。
「そなた、本当にヘッセン王子の子を?」
もともと嫌っていたヘッセン王子に隠し子がいたという事実に、女王からさらなる嫌悪感が伝わってくる。
「はい、でも生まれる前からお会いしてないので、王子のことはなんとも思っていません。……そりゃ待っていた時もありますけど、今ではどちらかというと愛情も憎しみもなく、存在感皆無ですね。」
ラプンツェルが照れたように笑い、続けた。
「今は安心安全に子どもを育てたいのが望みです。ドラキュラ伯爵さまにカラバ侯爵さまのお屋敷を紹介していただいて、とても感謝しています。」
「使用人としてであろう? なぜ侯爵の腕を離さなかったのじゃ?」
女王の質問にラプンツェルは意気込んで言った。
「あたしが子どもを産んだのは十八才の時なんです。王子のことは好きだったけど、やっぱり恋はしたいじゃないですか。伯爵さまも侯爵さまもとても素敵な方々ですしー。」
「二人とも妻帯者なのよ!」
「ですからカーミラ様、貴族たる者、愛人の一人や二人いてもおかしくはないでしょう? 束縛が強いと嫌われますわよ。ほっほっほっ。」
「なんですって!?」
「もう良い。」
女王がぴしりと言った。
「本当にヘッセン王子の子がいるのだとすれば、このままにしておくこともできまい。とりあえず王城での預かりとする。いいな? 侯爵、伯爵。」
「わかりました。」
「御意。」
侯爵家から出ることに少し不満顔のラプンツェルが、じとっとカラバ侯爵を見た。
侯爵がビクッと跳ねる。猫は威嚇をするように、しっぽで『ぱんっ』と床を叩いた。
女王の不興を買って王女と引き離され、また粉屋に戻るのは絶対にごめんだ。せっかく女王が引き取ってくれたのだ。カラバ侯爵はビクビクしながらラプンツェルが余計なことを言わないようにと願っていた。
すると侯爵の足元からするりと進んだ猫がラプンツェルに近づき小さな声で囁く。
「……王城にはお金持ちの貴族がたくさんいますよ。」
「頑張って働きます!」




