ロビン・フッド登場2
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そもそも王子は興味本位でバジーレ王国に赴き、茨で守られた城を見た。
その段階では彼は茨姫のことは伝説だと思っていた。
有名な観光地を見て満足し、街に行って食事を摂った後に、もう一つの観光名所である教会に立ち寄った。
教会で名前を名乗ると、なぜか司祭たちが慌て出して奥の部屋へ通され、枢機卿が見事な剣を恭しく持ってきた。
「あなたこそが百年後に現れる、選ばれた王子です。」
「は?」
「この計画書にあるのです。ほら、日付を見てください。きっかり百年後ですよね?」
「計画書……。」
「はい、剣もどうぞ。計画書をよく読んで城に行ってください。」
「ええー、今行ってきたばかりなのに?」
「よろしくお願いしますね。これで肩の荷が下りますわい。」
「え、ちょっと。めんどくさいんだけど。」
「あー……。じゃあ城のもの、お好きなものをなにか一つ持ち帰ってもいいですよ。その剣も差し上げます。では、さあさあ行ってきてください。」
枢機卿たちが満面の笑顔で圧をかける中、ヘッセン王子は仕方なく再び城へ戻った。
目の前の茨は、剣が触れるだけで千切れ飛び、城に向かって道ができていく。
大きな扉の前に来た時、改めて計画書を読んだ。
そこには「眠っている茨姫に口づけすると眠りから醒め、城の人間たちも動き出す」と書かれていた。
正直「やばいなー」と思った。白雪姫という婚約者がいるのにいいのかなぁ、と。
(白雪ちゃん、怖いんだよなぁ……。)
だがまあ茨姫は美人だと言うし、なんだか教会に人違いされているような気もするが、自分が伝説の王子になるのも悪くないと思った。ヘッセン王子は意を決して城の中にずんずん入り、眠っている茨姫に口づけをして呪いを解いた。
確かに美人だけれども、言うなれば百年前の美人。古臭い重いドレスを着た茨姫は目を開けてぼーっとしている。
呪いが解かれたの同時に動き出した城の者たちも一様にぼーっとしていた。
部外者である自分が城の中にいて騒ぎになるのも面倒くさいと思った王子は、城の中のものなにか一つ……、と見回したが埃をかぶりくすんだものしか見当たらず、じゃあこれにするか、と姫を抱き上げて馬に乗った。そしてすぐにバード王国に帰った。
しばらく隠しておこうと城門を入ってあまり使わない裏口から茨姫をお姫さま抱っこして入ると、白雪姫が仁王立ちで待ち構えていた。
焦った王子の口から出てきたのは『茨姫を口づけで起こしたのだ。』
てへ。
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