シンデレラ登場
青空が広がり、春の花が咲きこぼれる気持ちのいい日、白い東屋の中で二人のお姫さまが優雅にお茶会を開いていた。
「シンデレラ、玉の輿おめでとー!」
「ありがとう! 白雪ちゃん!」
行儀悪く、かちーんとティーカップで乾杯をする。
白い肌に金色の髪、青い瞳のシンデレラが来ているようだ。華奢で儚げな風情は守りたくなるように美しく、白雪姫と並ぶと、花に負けないほどの輝きを放っている。
「ねえシンデレラ、詳しい話を聞かせて。どうやったの?」
「ガラスの靴をね、置いてきたの。」
白雪姫がふん?と首を傾げる。
「私を変身させてくれた魔女がガラスの靴を用意してくれたの。でも固くて痛いじゃない? ヒールとか割れそうだし。だから、ドレスで隠れて見えないだろーっていつもの靴を履いていったの。ぺたんこの履き慣れた靴。でね、魔女から夜中の0時に帰れって言われてたから王子に挨拶もできずに帰ったわけよ。」
白雪姫はふんふんと興味深そうに聞く。
「でね、置き土産にガラスの靴を一個置いて行ったの。もちろん、もう一個は私が持って、ね。」
「わざとなの?」
「当たり前じゃない、普通、慌てて脱げたなら両方置いてくるでしょ。走りにくいから。ガラスの靴を私が一個持っていることで『来たのはこの私、シンデレラですよ〜っ』て証拠になるじゃない?」
白雪姫は手を叩いてけらけら笑った。
「シンデレラったら腹黒〜。」
「白雪ちゃんには言われたくないわ。でも賭けだったわよ、王子と踊れるかどうか、そして追いかけてガラスの靴に気づいてくれるかどうか。ヒヤヒヤよ。」
まあそれでも誰かいい人がいれば王子に拘らなかったけど、とシンデレラは続けた。
「私は白雪ちゃんとは違って貧乏貴族の娘だし。白雪ちゃんと友達になれたのも奇跡みたいなものだし。」
*
《つくづく、白雪姫とシンデレラのお相手がかぶってなくてよかったですよね。》
薄暗い部屋の中、鏡が女王に話しかけた。
「あの二人は仲がいいのか?」
《白雪姫が森にいた時、小人が作っていたかぼちゃ畑で出会ったようです。シンデレラがかぼちゃを盗もうとしていた時に白雪姫が箒を持って追いかけて。》
「そこからどうやって仲良くなるのじゃ?」
《似たもの同士のニオイじゃないですかね。それよりもうすぐドラキュラ伯爵夫妻がおいでになりますよ。》
最近、頭痛に耳鳴りが加わってきた。鏡が《更年期とストレスでしょうね》と言うので、指を鳴らして普通の鏡に戻した。




