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幻想世界レスエンティア  作者: 三之月卯兎
ネタバレ番外編
49/62

「最後に君たちに大切なことを伝えておこうと思う」


団長は終始変わらず両手を手組んだままっス。


「この依頼を受けるにあたって放棄はできない。

 互いの首まわりを見たまえ」


言われるがままに近くの相手の首周辺を確認したっス。

鎖骨の上、うなじ、喉など、場所と色は違うものの似たような模様が入ってたっス。


「自分にも入ってるんスか?

 これ自分じゃ、気が付かねえっスよ」


首回りなんて鏡でもない限り気づけねえっス。

自分で見ること不可能な位置じゃねえっスか。


「ここ」


スィーのお嬢ちゃんが自分の左顎下を指して教えてくれたっス。

何なんスかね。

団長が用意したもんなんて嫌な予感しかしねえんスが。

こんなの嬢ちゃんにも入れたんスかね?


「なに?」


半目でと自分を見返す嬢ちゃん。

警戒されてるっスね。

初対面でジロジロと見られたら当たり前スけど。

これ、ナナシさんのいってたジト目ってやつっスね。

メイムのさんにしょっちゅうされてたんで間違えないっス。

姉さんと違った愛らしさがにじみ出てるっスよ。

そんなこと考えながら嬢ちゃんの首回りをしげしげと眺めたっスけど模様見当たらねっス。


「これ何なの?あーしのどこ?」


ポニテ女はうなじっスね。

あの位置だと鏡で見ようと確認は不可能っス。

ポニテ女には、ちゃっかり駄メンが対応してるっス。


「団長、これなんスか?

 お嬢ちゃんには無えんスけど?」


「彼女は同行してくれる者だからね。

 君たちと違って罪は無い」


はい、嫌なワードきましたよ。

『罪は無い』つまり罪人しか入ってねえってことっすよね?

でもって、罪人だけにしか必要ない模様。

しかも、自分これに似たの知ってるっス。


「ここに君たちと同じ模様の入った紙がある」


団長が立ち上がりながら取り出した紙には確かに似たような模様が入ってるっス。


「これに命令を送ると」


そう言って、団長が紙を手放し頭の前で手を構え何かしら念じると


ドンッ!!


模様が光り爆破したっスよ。

あー、見たことあるわけっスよ。

ハイドさんの仕掛ける起爆符と同じようなもんスね。

魔力込めると爆破するっていう便利もんス。

火薬も必要なく威力は発動者の魔力と模様の複雑さに比例するってやつっス。

ハイドさん鬼畜なんで手袋に印章を仕込んで敵や地面殴りつけて押印し、爆破するという碌でもない戦闘方法をしてたっスよ。

多少の遠隔操作ができ、任意の場所を爆破できるっていう利点があったんすけど、ハイドさんが使ってた場所が主に迷宮内なんで他から非難が上がってたッス。


「どういうことだ!」

「なんでそんなのが入れられてんの!?」


問いただそうと団長に掴みかかろうとポニテ女と赤髭が動いたっスけど、先程の爆破した構えをとられて動けなくなってるっスね。

下手に手を出そうとすれば首を爆破されて終了っスからね。

まぁ、その為のものであるだろうし。


「言ったはずだよ。放棄はできないと。

 君たちがこの依頼を放棄した場合、この術式が君たちの首を吹き飛ばすと思いたまえ」


逃げ防止の処置。

そりゃそうっスよね。

罪があろうとこの街を離れることができるなら、身を隠してしまえばそれまでっスからね。

西に向かったフリして逃げる奴がいてもおかしくねえっス。

駄メンと少年は驚きすぎっスよ。

この二人もしかして逃げるつもりだったんスかね?

見積甘いっスね。

慌てふためいて首回りを擦ってるすけど、印は術で入れたもんだろうから無駄っスね。


「団長。追うにしても重要な任務に見えるんすけど何で自分らなんスかね?

 騎士団の皆さんの方がいいんじゃねえんスか?」


推測はしてるけど、とりあえず聞いてみるっス。


「我々の任はここ王都の防衛だからね。

 その軍が動くとなると国家の威信にもかかわる。

 国を跨げば政治的対応が必要になるだろう。

 アレだけの大がかかりなことを起こした連中だ。

 他からも追手がかかるだろう。

 いたずらに大きく事を広げるわけにはいかないということだ」


あー、追うのは自分らだけじゃないってことっスね・・・。

そして騎士団は動かないと。

ただでさえ追うのが面倒なのに、早い者勝ちと。

とはいえ、あの一行相手にそうそう勝てるとは思わねえっスけど。


「おい、団長さんよ。

 公にしたくない話だってことは分かったが、それに対する報酬が罪の帳消しだけとは低すぎないか?」


「不満だというのであれば、今すぐその首のモノを起動してもいいのだがね?」


「そうじゃねえよ。

 ここにいる連中に命預かったから行って来いっていうのも無粋だろ。

 どうせなら、自主的に追いたくなるもんぶら下げてくれよ」


赤髭の言葉に一考する団長。

顎に手を添えたまま数秒。

そして、部屋の中の一同を一通り見渡した後


「そうだね。

 君たちが無事に戻れたあかつきには君たちそれぞれの願いを私が可能な限り叶えようじゃないか」


ワッと盛り上がる一同。

その空気に一応乗っておく。

でも、自分らっての役割って、どちらかというと後発のための先遣隊っスよね?

どこまで本気でとらえていいんスか?



団長の部屋を出た自分らには出発半日の猶予を与えられたっス。

今は街の外壁門の近くを揃って歩いてるっス。

日が沈んだあとに街にいた場合、しょっ引かれて爆破すると念を押されたっスよ。

話するのは騎士団の所でも良かったんスけど、団員ではない自分らがいるとアイツらデカい顔してくるんで仕方ねっス。

普段テキトーな癖して部外者がいると何だかんだと言ってくるあいつらは何なんスかね?


赤髭に案内されて着いた先は冒険者が使ってるのとは別の場所。

ちょいと裏道にある寂れた酒場っス。

さて、この顔ぶれで何の話をするんスかね?

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