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幻想世界レスエンティア  作者: 三之月卯兎
二章
42/62

新顔

「この子がね、今日一緒に潜ることになったフュンフ君」


あれから数日後、俺たちは迷宮前にいた。

数日間でいろいろあった。

まず、ルラの常識の無さに四苦八苦。

いや、可能性としては考えていたが実際に起こると対処に困るものだ。

知識があり会話もできるので油断していた。

下の処理などすることになるとは思わなかったぞ、まじで。

一応に常識を叩き込んだので今後は大丈夫と思いたい。

見た目と中身、口調といろいろずれているが常識に関しては幼女以前だった。


それは置いといて、今は目の前のエルフの女メイムだ。

マクシミアの要請でこの女とオークのナナシを連れて行くことになった。

本来であれば部外者である彼らを連れて行くことは不可能なのだが何をしたのが責任はマクシミアが取ると本人が直々に話を通したらしい。

ちなみに、迷宮に入る前の検問所はまだ封鎖されており、システムの復旧は見通しが立っていない状態だ。

本来は、復旧まで探索者の出入りを禁止するのだが、特別に許可が下りている。

流石はマクシミアといったところか。


あれから7日ほど経っているが未だに帰還していないチームもあるとのこと。

前回の脱出の際に模造人形を吹っかけたチームは帰還しているのだから、俺のせいではないな。

戻っていないチームは、『白銀の翼』『至高の戦士団』『静かなる雷鳴』

と、聞いたこと無い名前ばかりだ。

というか、今までソロ活動だったのでチーム名なんて気にしなかっことなかったからな。

ソロでもチーム名つけてるヤツは居たらしいが。トリトリとか。

で、チームを組む上で団体名登録が必要なんだそうだ。


今回のうちのチームの名前は『ドブ君と愉快な仲間たち』

命名、エルフの女。もとい、メイム。

「ドブ君」が俺のことらしい。

なんでだよ!?意味わからん。

チーム構成。

俺、エルフの女、ナナシ、ルラ。

完全に色物チームである。

ルラを連れて行くのは問題になるかと思ったが、ギルド受付のおっさん曰く『死んでも事故責任。当人と保護者が問題なければ言及はしない』ということで、あっさりと登録できてしまった。

大抵の場合、冒険に体力に問題である子供を連れて行くのは足手まといになり、戦闘に到っては自殺行為のようなものだからしてる登録する奴が居ないだけとのこと。納得だ。


ただでさえ、異端扱いだった俺が人外×2+幼女というチーム構成。

そこに加えて目の前に居る謎の少年。


「初耳なんだが?」

「あたりまえでしょ?言ってないもの」


おい!!


「どういう経緯だか教えて欲しいんだが?」


こめかみが引きつるが、今回はこいつらを連れてくのも仕事なので我慢する。


「ほら、ねずっちのチームってさ、戦力的にバランス悪いじゃん。戦力外が2人も居るし」


こちらを指差すメイム。その先にいるのは俺とルラ。

「ドブ君」に続いて「ねずっち」も俺のことですかね?


「攻撃に関しちゃ、アタシに任せておけばいんだけどね、ナナシがあんたらを守るとしら、アタシを護る奴がいなくなるでしょ?そこで、このフュンフ君がアタシを護るってわけさ」

「あのなー。お前らを連れていくのはついでで、俺はなるべく戦闘を避ける方針なんだよ。だから人数は少ないの方がいいんだよ」

「冒険の醍醐味はエンカウンター&デストロイよ!!」


なんだそりゃ?ナナシもオークとは別物だが、この女も話に聞くエルフとはまったく別物だ。

魔法扱う高い知能なんていう要素が欠片も感じられない脳筋思考。


「つまりは、戦うことを前提に彼を連れてきたと?」

「そうよ!」

「で、お前はどのくらいの強さなんなんだ?」


メイムの横のにいるフュンフに話しを振る。

ここいらでは珍しい黒髪に黒い瞳に黒い鎧。そして大きな盾を持っている。

顔は整っていて、まるで作り物のような印象を受ける美少年だ。


「戦うのは初めてですが、見てたので大丈夫です」


キリッした顔で返答してくれた。


「『初めて』って不安要素しかねーじゃねーか!!」

「大丈夫です、問題ありません」


キリッと返答してくれた。


「大丈夫よ、アタシがいるんだし」


そっちも会話になってないぞ、こら。お前は護って貰うとか言ってなったか?


「メイムさん、ホントに大丈夫なんですね?」


ナナシも不安になったのかメイムに尋ねる。


「えぇ、大丈夫よ。アンタは、そこの二人を護りながら可能であればアタシの援護をしなさい。この子はアイツから借りたのよ。肉姫と同じことができるから安心しなさい」

「肉姫と同じですか・・・」


ナナシはフュンフを暫く見つめたあと天を仰いだ。


「同志、彼は大丈夫です」


いや、待てよナナシ。今明らかに『あちゃー』って顔してたよな?

肉姫と同じって、『肉姫』って何者よ?


「彼は立派な盾となるでしょう」


改めてそう宣言した。


「問題があるなら、おぬしも戦えばよかろう」


後ろから、ルラの声。


「あのな、俺は、なるべく戦わない主義なの」


戦力としては劣るかもしれないが、それでも一層、二層で遅れをとるつもりは無い。

逃げることを信条にしてるのは確かだ。

だが、それ以上に今回は戦えない理由がある。


俺は、今、再びルラを背負っている。

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