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幻想世界レスエンティア  作者: 三之月卯兎
二章
35/62

確認

冗談なのかはたまた本気なのかマクシミアはとてつもない請求書を残して去っていった。

そして、その理由がハイドラットが瀕死状態であり高価な蘇生薬を使ったということだ。

正直信じられない。

自分には違和感など無いし、見たところ怪我など無い。

冗談だったのではないだろうかと疑ってしまいたいところだ。


「冗談じゃないんだろうな・・・」


ボヤいてみる。

あんな言動や、ちゃらけた行動はしているがなんだかんだ内面はしっかりしている人物だ。

ここ数年のギルドの運営に当たって彼の成してきたことは数多にある。

そして、周りが教えてくれるだろうと。

どういうことだろうか?

少し考えたが、外に出てみればわかるだろうと悩むのをやめた。

部屋を見回す。

壁際には本棚で並び多様の本が詰め込まれている。

テーブルの上に置かれた多様のものは雑然としており何に使うか不明なものばかりだ。

向こうに見える机には大量の紙束が詰まれており、書きかけの書類がある

床には、書き捨てられたのであろう丸められた無数の紙くず。

ここが治療し施設ではないことは明らかだ。

マクシミアが居たことや置かれているの物かさ推察するにここはギルドの奴の私室なのだろう。

なぜ、そんなところに運び込まれているのだろうか。

瀕死であったというのなら医術専門の施設に運ぶべきだ。

なんにせよ動けるのだから野郎が使っているベットに長居をするつもりはない。

引っ付いているルラを剥がすとハイドラットはベットから起き上がった。

そのとき違和感を感じた。

些細なことのように思えるが、何かが違う。

逆に、違和感がないことが違和感のような何か。

ふと、今更だが自身が着ている上着が意識がなくなる前に着ていたものとは別物であることに気がつく。

着心地が違う。

襟を摘んで改めてみると生地の色も少し違う。


ぐぅ~~~


そんなことをしていると腹の虫が鳴った。

考えてみれば迷宮出てから何も口にしていない。

朝方帰ってからは、疲労で寝るのを優先した。

昼過ぎには調理するのが面倒になって、帰りに三番区の屋台で買えばいいと思いギルドへ出かけた。

で、その帰り道でルラに服を着せねばと物色しているところにオーク襲撃事件。

実際にハイドラット襲撃してきたのはエルフだったが。

エルフから逃げるために挑発したのまでは覚えているがその後の記憶がない。

マクシミアがいうことを信じるならばそこから瀕死状態に陥るわけだ。

あの時は夕方だったわけだが、窓の外は暗い。

時間がどれだけたったかは不明だ。

そういえば、マクシミアは去るときにギルド酒場で誰かが待っていると言っていた。

ということは酒場が営業している時間なのだろう。

誰が待っているかわからなかったのでそのまま帰ろうかとも思ったが、腹を満たすついでだ。

行くことにする。


「おーい、ルラ起きろ」


寝ているルラを揺すって起こす。

ここに放置して行くという選択肢もあるがこいつも飯を食っていないし、また何処かに行かれても困る。

ルラは見慣れぬ服を着ていた。

フリルの付いたワンピースだ。

いつまでも裸で放置するわけには行かないので何かを着せようと思っていたが、こういった服は考えていなかった。

ルラの銀髪に青を基調としたワンピーズはよく似合っている。

実用的なものを好むハイドラットでは、選ばないであろうチョイスである。

誰の趣味だ?


「おー、おぬし起きたか」


目を覚ましたルラが眠そうに手の甲でごしごしと擦りながら言う。


「これから飯にするんだがどうする?」

「飯とはなんじゃ?」


あ~、言葉が通じているし口調も年寄りじみているので忘れていたが、こいつはを一般的なものを知らない節がある。

迷宮で出会って間もないので全然把握していないが、ルラが知っているもの、知らないものをを常識レベルまで確認しておく必要があると改めて認識した。


「食いもんだよ。腹減ってんだろ?」

「おー、食い物か。このあたりじゃとレッドキャップあたりが手頃かの」

「ちょっと待て」


期待するような目のルラに鼻頭を摘み静止をかける。

レッドキャップとは、このあたりに生息する魔物である。

血を好む習性があり、数で群れる厄介な生き物である。

ギルド討伐部門においても中位におかれる討伐対象だ。

全然、手頃ではない。

そもそも、食わない。


「いいか、これから行くとこはな、頼むと食い物が出てくるんだ」

「なんと!!」


驚いた顔でルラが見上げてくる。

むしろ驚いたのはこちらだ。

そういえば、自身が魔竜ルブラスカであるようなことも言っていたな。

こいつの一般知識は、獣並と考えておこう。



ルラに急かされて部屋を出ると案の定知っている場所だった。

3つほど向こうにある部屋がマクシミアの執務室だ。

今いるこの場所は冒険ギルドの2階だ。

階段を降りれば一般のクエストの受付がある。

2階にいけるのはギルドの職員か、許可を貰った特別な冒険者だ。

主にギルドで功績を挙げてる者。

そう考えるとあのオークはなぜあの場所にいたのだろうか?

亜人というより魔物に分類されるオーク。

それがギルドの2階にいたことは実に不可解である。

催促に「下に向かう」と告げると目の前をルラが跳ねるように階段を下りてゆく。

背後から見ていても浮き足立っているのがわかる。

食事が楽しみなのだろう。

首元からチラチラと見える首輪のせいで小動物を連れて散歩しているような気分である。

そんなことを考えながら階段を降りていると勢いよく声をかけられた。


「ハ、ハイドラット?!!」


なにやら慌てた様子である。

何事かと思って見れば顔に覚えのない2人である。


「「お前、生きていたのか!!」」


いるはずのないものを見てしまったような顔をしたまま近寄ってくる。

そして、彼らはハイドラットの存在を確かめるかのように掴んだ両肩に力を込めた。


「本物なのか?」

「なんだ、お前ら?」

「いや、俺らは街でお前さんの惨状を目の当たりにしてな・・・」

「まさか、あんな状態だったのに・・・」


彼らがハイドラットを見る視線には先ほどの驚きとは別のモノが含まれているように思える。


「なあ、俺はいったいどんな状態だったんだ?」


マクシミアが答えなかった質問を目の前にいる輩にしてみる。


「覚えてないのか?」

「ああ」


ハイドラットが返事をすると二人は、顔を見合わせて頷きあう。


「あの怪我だ」

「頭部を徹底的だったからな・・・」

「どういうことだ?」


嫌な予感がする。


「アンタは、頭部半壊の状態でここに担ぎ込まれたんだ・・・」


予想を上回る惨状だったことを告げられた。

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