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ep 64 Against The Clock⑨

現在過去分を加筆修正中です。

ep 5まで修正済みで、今後も順次修正していきます。

よろしくお願いします。

 「呪いなど…私がそんな非情な女に見えますか?」

 

 「俺を始末する気満々な時点で非情な女だよ」

 

 女性は残念そうに溜息をついた。

 

 「貴方が倒したあの男__刃路火瀧は実に真面目な魔法使いです。あの子がもう少し融通の効く男なら、こんなことにはならなかったでしょうに」

 

 「…そういうことか」

 

 町中は言葉から真意を読み取ることができる。今の言葉で何かを感じ取ったらしい。

 

 「弟があんたを止めようとしたから恋人であるその子を人質にして、更にその子の魂とあんたの魂を…何らかの方法で”繋げた”。あんたが死ねばその子も死ぬようにな。なるほど、これでは俺はあんたに手出しできない」

 

 「私の記憶を読んだのですか?…いえ、それなら魂をリンクさせた方法もわかるはず。貴方、わけがわからないわ」

 

 驚きの色を隠せないでいる女性____刃路火瀧の姉なので刃路姉とでも呼称しよう___が面倒くさそうに吐き捨てた。その態度は町中の言葉が真実であるという裏付けになっていた。

 

 「しかしだ、あんたを殺さなければいいんだよな?…ああ、これは大変だ。あんたは俺を殺そうとしている…そんなあんたを俺は殺さずに制圧しなきゃならない…。戦闘ってのは、覚悟したほうが勝つんだ。殺す覚悟というのは、ああ、もちろん戦闘技術がある前提だが、殺す覚悟というのは相手を負かす上で最も強力な意志だ。どんな手を使ってでも勝つという意志。それが戦闘では重要なんだ。あんたは背中に拳銃を隠し持っているが…たしかにいい手だ。だが、それを抜いた時、あんたは成す術なく無力化されることになる」

 

 刃路姉が素早く背中に手を回し、銃口を町中へと向けた。

 

 「”俺達”によってな!!」

 

 町中の叫びを合図に私は飛び出した。

 刃路姉は私を驚愕の表情で一瞥した。刃路姉との距離約50メートル。私なら2秒とかからない距離だ____が、脚が空回りするような感覚を覚えて動けなくなった。刃路姉の魔法か。

 破裂するような音が鳴り、刃路姉の銃口が跳ねた。弾丸は町中の頭へと真っ直ぐに飛んでいく。町中はその場から動く気がないようだった。私が防ぐための魔法を練っていると__

 

 「煩累は彼方へ消えゆく」

 

 町中の朗々とした声が響き、それによって私を縛っていた魔法が解かれたのを瞬時に理解した。私は走り出し、練っていた防御魔法を町中の前に張った。直後にキンッ!キンッ!と弾丸が弾かれた音が鳴る。刃路姉は近づいてくる私をもう一度見た。その目からは動揺しているのが見てとれた。

 刃路姉に肉薄し、瞬間、刃路姉は私の頭に手を向けた。

 

 __が、遅い。

 

 私は突き出された手の手首を持ち上げ懐に入り、鳩尾に軽く固めた右拳を打ち抜いた。

 

 「ごぁっ!!」

 

 刃路姉は吐き出すような声を上げ、膝から崩れ、私の右手側へと倒れた。彼女の横にいた刃路火瀧の恋人は正座を崩し、へたり込むような格好で私を見上げながら「え…?え…?」と声を漏らしていた。何が起きたかわからなかったようだ。

 

 「ふぅ」

 

 私は息を吐き、町中へと視線を送ると、町中はどこか誇らしげに私に向かって親指を立てた。

 

読んでくださりありがとうございます。

もしよろしければ、ブックマーク、評価、コメントなどいただけると嬉しいです。

よろしくお願いします。

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