ep 61 Against The Clock⑥
遅くなってすみません。
続きは2026年5月11日(月)に予定通りアップします。
・過去分を加筆修正中です。現在ep 4まで修正済みです。
今週はわりと時間があるので順次直していきます。
よろしくお願いします。
いや…。
(彼が敵だとしても私を泳がせておくメリットがない。彼は敵じゃない)
敵ではないのなら直接確かめればいい。
嫌な予感が消えないまま、町中とのトーク画面から受話器ボタンを押した。
…出ない。
20コールするまで待ってみたが、出ない。応答なしと画面に表示された直後にもう一度かけてみた。
やはり出ない。
『今どこにいますか?』とメッセージを送ったが既読がつかない。
町中が私に何かを隠しているであろうことは間違いなさそうだが、先ほど感じた感覚と関係あるのかは定かではないし、敵でないなら町中の事情は後に回してもいいだろう。
問題は”町中が応答しないこと”だ。
「何かあったか…?」
調査を一旦切り上げて神宮へ行くしかない。
町中がいればいいが…。
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「あれ?かえちゃんおかえりー。もう用事は済んだの?」
正宮に辿り着き辺りを見回してみたが、天ちゃんと火球使いの彼が階段で並んで腰を下ろしているだけで、他には誰もいない。
「天ちゃん、町中さんを見なかったかい?」
天ちゃんは座ったまま不思議そうに細い人差し指を顎に当てる。
「んー?あー、あのムキムキスーツの子だね。かえちゃんと一緒だと思ってたけど、どうしたの?」
「彼と連絡が取れなくなった。電話はかけなおしてこないうえメッセージも既読にならない。彼が連絡の必要がないと判断しているなら、私の指示通りここへ戻ってきていると思ったんだが」
「戻ってきてないみたいだよ」
尚も不思議そうに天ちゃんは小首を傾げる。
「何かあった?」
天ちゃんに伝えて何か変わるのかという疑問が湧く。天ちゃんは神だ。想いを見守るのが仕事であり、答えを導くのはいつだって自分自身であることは理解している。
しかし天ちゃんは神ではあるが、友人だ。今抱えている悩みくらい聞いてもらってもいいかとも思えた。
「先ほど彼にメッセージを送った後に、そうだな…例えるなら悪魔に背中から抱擁されたような…薄寒い感覚に襲われたんだ。誰かから攻撃されたのかどうかはわからないが」
「悪魔の抱擁…かぁ…」
膝を抱えてぼそりと言う天ちゃんの隣の彼が、何かを訴えるように目を見開いてこちらを見ていることに気づいた。
「かえちゃん」
呼ばれて天ちゃんに視線を移すと、天ちゃんはまっすぐ私の目を捉えていた。全てを見てきているのに、何も知らないかのような純粋無垢な瞳で。
「なんだい?」
「”意思”だよ、かえちゃん」
私は思わず眉を寄せた。天ちゃんの言葉が短すぎて、何を言ったか一瞬わからなかった。
「天ちゃん、何を__」
言いかけて、止まった。
止まった口とは裏腹に、思考はフル回転した。
意思…。
……意思。
…意思!
__私の脳に衝撃が走った。
携帯をポケットから取り出してメッセージをもう一度見返した。
「なるほどね。そういうことか」
読んでくださりありがとうございます。
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