表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/37

悔恨

「冬さん!」

絵佐野が冬に話しかける。戦原は無視して前を走っていた。冬はそちらを向く、絵佐野は違う道を走っていた。冬が注意しようとする。

「僕は裏から奇襲を仕掛けます!では!」

絵佐野はそう言い、走り去っていった。冬はため息を吐いて戦原と並走する。戦原は表情を変えず走り続けている。

「戦原隊長。絵佐野丙都が裏から攻めるようです」

冬は報告する。戦原は表情を変えずに冷酷に言い放つ。

「逃げたか」

「総員聞いたな、絵佐野の穴は俺が埋める。皆通常の作戦通り動くように」

「絵佐野は最初から参加していなかったと思え」

冬は腹が立った、ただ...

言い返せない。冬は子供のように俯いて走った。誰も何も話さない、沈黙が冬にのしかかる。上司として何か言わなきゃ...でも何を?言葉が思いつかない...頭が回らない。言葉が分からないよ、冬は諦める。

「お言葉ですが、隊長」

一人の男性が異を唱える。冬は頭を上げて声の方向を見る。確か、鏡崎統とか言ったかな。

「絵佐野丙都隊員は考えがあって一時離脱したものと思われます」

「なので逃げたと結論を下すには少し早いかと」

統は臆することなく言い放った。戦原は何も言わず、走り続けている。


ああ、全然だめだな私は。


「よし、まだ気づかれてないな」

絵佐野は小さな声で言った。時雨は雲の上を見ていた。相手はかなりの実力者だけど、こちらもかなり迂回しているので気付いてない...はず。あのまま馬鹿正直に突っ込んでいたら一瞬で殺されていただろう。相手の強さは重々分かっている。だから少しでも相手を混乱させなくては...

絵佐野はそんなことを考えながら走っていた、冬さんたちよりも早く着かないと。絵佐野は速度を速めた。


しばらく走って目標地点に着いた。時雨はこちらを見ることなく、前を向いていた。冬さんたちはあと少しで時雨に攻撃を加えるだろう。冬が時雨に肉薄していた。僕もすぐ加わらなくちゃ、絵佐野は深呼吸したあと走り出した。

「止まりなさい」

何かに足を掴まれて引っ張られる、絵佐野は咄嗟にナイフを抜き、足を掴んだ黒い何かを切る。絵佐野は着地し、前を見る。暗くてよく分からないがだれかが居る。絵佐野はナイフを構える。目の前の闇が分散し、

その人間の風貌が露わになる。それは見たことがある女性だった。

「お前は...昨日の...」

「あら、お久しぶり」

莉緒が邪悪に微笑む。絵佐野は莉緒を真っ直ぐ見据える。莉緒の周りに闇が舞い戻っていく。

「塊魔法 土分身」

分身と共に莉緒に攻め入る。莉緒は指を鳴らし、詠唱する。

「 カーテン 」

直後、絵佐野と絵佐野の分身に喉と腹を刺される。喉と腹から紅黒い血が垂れる。絵佐野と分身は距離を取る。闇が一瞬で霧散する。

「んぶっ...ぶぶぶぶぶ...ぶふっ」

莉緒が口から血を吐き、膝をつく。絵佐野は莉緒を観る、莉緒の喘鳴が騒がしくなる。絵佐野と分身はじりじりと莉緒ににじり寄る。

「あなたにおしえてあげる」

血塗れの口をパクパクと器用に動かして言葉を発している、器用な奴だ。絵佐野は思う。

「やみはすべてをのみこみやさしくつつみこむのよ」

なんてさみしいひとなんだろう。

絵佐野の背後に居た闇が絵佐野を静かに優しく吞みこんだ。

お久しぶりです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ