衾
捻じれ
「どうなってる?侵入者か?」
「分かりません!全フロア通信ができません!B1!B2!応答願います!」
「入口を固めろ!非常用の回線を使って今すぐ上に連絡を入れろ!」
慌ただしく人が動き回っている。外部との連絡、そして事態の把握の為に。当然だろう、建物全体の通信機能、電力がダウンしたからな。今は職員どもの魔力で薄暗いがなんとか賄っている。にしても人が動く年齢、性別問わず色々な人物が、実に...実に...
不快だ。仕事を始めよう
男は外に出た、喧噪のおかげで誰も気づかなかった。
「よし、妨害は完了した。各員配置につけ」
「了解。しかし、魔法ってのはすごいねぇ~。こんなすごそうなところもすぐ支配しちゃうなんて」
「感心している場合ではないですよ、南川さん」
「はいはい、分かってますよ」
「鏡崎さん」
「何が起こってるんですか?」
春は尋ねる、瀬登は振り返らない。冗談でないことは明白だ、周りの牢屋たちから看守が。後ろの扉から兵士が集まってくる。看守たちは一旦外に出て宇宙服のような装甲を纏って帰ってくる。異常事態だ、春は瀬登に付いて行く。
「分からない、ただ絶対に俺から離れるな」
「署長と連絡はとれているか?」
「いえ、どことも通信が繋がりません」
「そうか、六人ここに残れ。それ以外は他のフロアに行って各フロアに現状を伝えろ。以上だ」
「「「「了解」」」」
兵士たちが声を上げ、散開していく。七人の兵士と春と瀬登が残された。
「侵入者だ!」
声が聞こえる、兵士達が声の方向に向く。上から大量の人間が降ってきていた。全員がローブやマスクのようなものをしており顔が分からない。敵が魔法を放ってくる。兵士達も銃を発砲した。攻撃が交差する。双方死んでいく――――――
「ん?敵か?」
瀬登が気付く、春も気づいた。銃声や叫び声が遠くから聞こえてくる。
「確認に行きましょうか?」
兵士が聞いてくる。声の方向から察するにもう一つの入口の方を守っている兵士だ。
「いや、いい」
瀬登は即答した。兵士は黙り込んだ。春はちらりと後ろを向く、兵士が静かに銃を上げていた。こちらを撃つ気だろう、春は瞬時に察した。一瞬だけ顔が見えた、悲しみに満ちた表情をしていた。春は瀬登に知らせようと瀬登の体に触れる。瀬登が振り向く、
「ん?なn」
「ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!」
兵士の一人が鬨の声をあげる。機関銃が放たれる。瀬登は振り返ろうとした体勢のまま防御壁を張る。
「?お前!何やってる!」
横の兵士が怒鳴る。だが、兵士は止まらない。ただひたすら声を挙げながら銃を放つ。防御壁にひびが入る、長くはもたないだろう。さすが最新鋭の武器だ、とも言ってられない。瀬登の顔から汗がたらりと一滴流れる。限界が迫ってきている。銃弾の雨は未だやまない。
「くッ...すまん!」
一人の兵士がそう悔しそうに言い、銃を兵士に向ける。そして発砲した、
「お前...何やってる?」
隣の何の関係もない兵士に。
「え?俺どうな」
「つ?」
兵士の腹に穴が空く。さきほどまで結界を発砲していた人物が発砲していた。
「ypaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!!!」
「うぅう...あああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
銃撃戦が始まる。お互いが血塗れになり、すぐに肉塊となった。
「どうなってる...」
瀬登が呟く。眼前は阿鼻叫喚の地獄と化していた。味方同士で撃ちあう、敵に操られていると分かっていても目を背けたくなる。春は後ろを向く。後ろでは二人の兵士が死んでいた。頭にナイフが突き刺さっていた。
「後ろも死んでるか?」
瀬登が聞いてくる。
「死...死んでいます...」
春は言った。
「そうか、」
「ここを出よう」
扉を開ける。
そろそろ終わります。




