言い訳「別の友達を優先したかった」――黄の供述
黄色い薔薇は嫉妬の嵐。
でもね、友情という美しい花言葉もありますのよ。
あたしには大事な幼馴染みがいる。
幼馴染みの名前は――多分興味ないわ、貴方は。
幼馴染みは昔は大きな屋敷を持っていて、婚約者もいたのよ。
でも没落してしまって、婚約者との結婚話もお流れ。
面白い出来事が、それでも人生起きるみたいで――実は、お姉様に仕えていた侍女の一人。ルシェルに迫られていた人。
その人は、あたしの幼馴染みなの。
そう、今度ルシェルの愛妾として迎え入れられる一般人とされてた子。
家柄が元は立派だと判れば、愛妾という立場も少しは変わるかもしれないわね。
子供が生まれて正妻になったら、あたしはきっとお姉様のときと違って拍手喝采よ。
ルシェルもあたしがその子の幼馴染みだと判ると、「資金提供を惜しまない」だって。
大事な宝物なのね、きっと誰にも渡したくないのね。
だからあたしは黙るの、あの子が淹れたお茶が、毒入りだったってこと。
あら、誤解しないでね?
事件が起きたときの慌てぶりからすると、あの子は知らなかったのよ、毒が入ってたなんて。
ルシェルはきっとあの子を守りたかったのよ。
そうでなきゃあの杜撰な捜査はしなかったと思うし、一国の公爵令嬢が殺されて黙るなんて馬鹿はいないわ。
皆、ルシェルと私達の国に屈したのよ。
少なくとも、青と黄だけは手を組んで、あの子を守るって。
ああ、誤解しないでねと言いたいのは――あの子じゃなくて、あの人が裏の犯人だと知ってるってことよ?
毒を用意したのも、死者の国の情報をルシェルに流したのも、あの子に罪がいくように仕向けたのも――全部、あの人だって。
尤も卑怯で臆病者の薔薇は誰かって?
安心して、あたしは黄色の薔薇。友達を大事にするわ。
生涯誰にも言わないつもりよ、その為のオルカの犠牲だもの。
オルカだけ報われない喜劇。そんな喜劇でさえ、あたしには名乗る必要が無い。
あたしは黄薔薇、それだけで良い――。




