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森からの脱出

「……ってわけだ。なんとなくわかったか?」


「んー、なんとなくだけど分かったと思う。親父の『友達』とかっていう『カイト』ってのに会いに行くんだな?」


「おぉ、そうだ。でだ、友達ってのは大切な相手の事で傷つけたり殺しちゃまずいんだ。自分の事のように守ってやんなくちゃなんねぇ」


「ふぅん。守るもんなのか。めんどくせぇな友達って」


「で、カイトってのはその友達の名前だ。俺やお前についているのと同じようなそれぞれを表すもんだ」


「ふーん、なるほどな」


飯が食い終わると親父による勉強の時間が始まった。どうやらこれから向かう『王都』には最低限の知識がないと生存できないらしい。


「それで向こうの王都に行くと必ずみんな服っていう布と靴っというもので身を包むんだ。その2つで手の先と顔以外は隠すんだ」


「ふーん、『服』と『靴』か。それはどこにあるんだ?」


「後でこの嬢ちゃんの部下からもらうって話だ」


「そうか、『部下』からもらうのか」


「あー……。まぁそのあたりは後で教えてやるとして王都についたら誰かに襲われない限り殺しちゃあなんねぇ。だから常に周りに警戒しつつ自分の防御だけは忘れんな」


「もし攻撃されたら?」


「そん時は足と腕へし折って俺のところに持ってこい」


「ふーん」


王都ってのはずいぶんと面倒な場所らしい。細かく変なルールは多いし、身なりを整えなきゃならないらしい。


俺はコップに水を汲むと口に含み天井を仰ぎ見た。


(ラッキー!この面倒な修行地獄から抜け出せる!確かに面倒なルールは多いがついている!だけど毎日来る日も来る日も修行をしなければならないこの状況から抜け出せるし、なにより飯を用意してくれるらしい!)


俺はにやける顔を口に含んだ水によってばれないように制御する。


「それでは明日の朝出発いたしましょう。一刻も早く戻らないと部隊が心配ですので」


「あぁ?なぁにいってんだ。おいライト、この嬢ちゃん担いでついてこい」


「あいよ」


俺は『女』を肩に担ぐと親父の後を追い外へ出た。


「へ?一体何を?」


「ちょっと飛ばすからよ、嬢ちゃんは舌を嚙まねぇようにしとけ」


そういうと親父は思い切り地面を蹴って跳んだ。俺も親父が飛んだ方向に跳び後を追う。


「……!」


『女』は無言のまま俺の腰に巻いた毛皮を掴み振り落とされないようにしていた。


「親父ー!この先にあるあの小さい反応のところか?」


「あぁそうだ!そこに向かう!おめぇはその嬢ちゃんが死なねぇようにしながらついてこい!」


「あいよ!」


そういうと親父は空気を蹴り加速する。俺は親父の姿が遠くなるのを見ながら女にかかる空気抵抗を考えながら加速する。


「あー、えーっと、『キラキラ』!大丈夫か?」


「あたしの名前はアーシャです!それに大丈夫じゃありません!」


「あー、そうだそうだアーシャだ!大丈夫じゃないってどこか痛いのか?」


「痛くはないですけど!こんなスピードでこんな体勢!落ちたら死んじゃいます!」


「おぉ、そうかごめんごめん。もうちょい安定してもつな」


俺は空中でアーシャを肩から前におろした。そうして両腕でアーシャを抱え安定させた。


「これでどうだー?」


「空中で人をに物みたいに動かさないでくださいよ!」


もう何を言っても文句しか言われなさそうだな。もう聞いても無駄かな?


しかしそんなこんな言っていると親父と『部下』がいる場所が目視で見えるようになってきた。親父は俺を一瞥すると『部下』達に下がれとジェスチャーで合図し、俺を見ながらここに降りろと合図した。


俺はその合図通り指定された場所に着地した。今回はアーシャを抱えていたこともあり着陸の瞬間に空気を軽く蹴り勢いを殺した。


優しく着陸してアーシャを下ろそうとするが、アーシャはプルプルと震え俺の首にしがみついて離れようとしなかった。


「あー、えっとアーシャ。降りてくれると嬉しいんだが」


「はっ!す、すいません。恐怖でつい…」


アーシャは俺の体を押して離れると地面に足をついて歩き始めた。しかし暫くするとそのまま地面にへたり込んでしまった。


「アーシャ様!大丈夫でしょうか!」


アーシャのそんな様子を見て『部下』と思われる奴が近づいていった。


「ま、マウスか。私は大丈夫だ。それよりお前らは?」


「我々はこの森で任務通り待機しておりましたので問題ございません。ですがあの変態は何者なのですか?」


「変態?あぁ、あの方はクロード様のご子息でライト様と…」


俺の事を紹介しようと振り向いたアーシャは俺の姿を見て硬直した。


「ん?あぁ俺の名前はライトだ。よろしくな!」


俺は親父に言われたようにニコニコと笑いながら挨拶をした。しかしアーシャも『部下』も俺の下半身を見ていた。


目線を追うと俺の腰布がなくなっており、腰布はアーシャの手に握られていた。


「あ、返せよ!俺の腰布!」


「きゃああああああああああ!!!!!!!!!!!」


『杖のやつ』みたいな甲高い声をアーシャは発したかと思うと親父の後ろに隠れた。


「な、なんだよ!俺なんかしたか!?」


親父は頭をかくと溜息をつきながら俺を見て一言言った。


「だめだな」

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