今日はホワイトデーですよ?
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ホワイトデー、今回はちょっと真面目なお話
「おはよう」
「うん、おはよう!」
「ほりゃっ、バレンタイン返しじゃ!」
「早速ね」
「お前もバレンタインの時はそうだったからな」
「今日はホワイトデーだもんね。えへへー、ありがとね。え、なにこれ、花束みたいじゃない!」
「俺はお前のように手作りってわけにもいかんからな。市販品で勘弁してくれや」
「そんなの気にしないでよ。かわいいわね、どれどれ? あ、このキャンディーね!! うふふふ」
「顔が溶けてるぞ」
「うふふふふー だって嬉しいんだもん」
「可愛いか」
「か、い、いいじゃん!」
「うん、喜んでくれてなによりだ」
「えーっと、1、2、……12本のキャンディーなのね。あたしが贈った数に合わせてくれたんだ。そういうのってなんだか嬉しいわ。もしかして妹ちゃんのアドバイス?」
「ふっふっふ、これは妹の力は借りずに俺一人で考えたんだぜ。どうだ、ちっとは出来るようになったか?」
「ほんとに!? 加点よ、大加点! 嬉しさ倍増よ!」
「ははは、いつまでも妹におんぶにだっこじゃいかんからな」
「そうね、兄の威厳もあるし?」
「兄の威厳ねぇ。まあ頑張ってみるさ。ところで一つ小ネタを」
「なになに?」
「そのキャンディーの花の形したロゴマークなんだけど、超有名な人が原形をデザインしたんだ」
「超有名な人?」
「お、質問が来るってことは知らないってことだな? 世界的に超有名な画家で、生まれはスペイン王国。1989年に亡くなっている。さて誰でしょう?」
「あたしらが生まれるずいぶん前に亡くなってるのか。ってことはこのキャンディーってそんな昔からあるんだ。へー、知らなかった。誰だろ? スペイン王国? えー、全然予想つかないなー。うーん、なんかヒントちょうだい?」
「ヒントか。これ言ったらもう答えみたいなもんだけど」
「なによ!? 早く早く」
「じゃあヒント。でろんとした時計」
「あ、あ、あ、わかった! えーっと、サルバドール・ダリ!」
「ご名答」
「へーへーへー、あのヒゲのおじさん、こんな仕事もしてたんだ」
「意外だよな」
「なんかちょっと高級感出たかも」
「まさかのブランド効果」
「へー。しかし、あんた面白いこと知ってんのね」
「まあ小ネタだけどな。こういう雑学は特に生活に役に立つわけじゃないけど好きなんだよね」
「意外性ってのが興味を引くからかもね」
「将来役に立つ可能性っていう意味ではこんな小ネタの雑学なんかより、ホントは学校の勉強の方が断然高いんだけどねー」
「うーん、まあそうね」
「でだ。勉強をしない言い訳の一つに『学校の勉強なんて将来役に立たないからやらない』ってのがある」
「あるあるだね」
「でももっと役に立たない雑学の方が意外だったり驚いたり楽しいから知ろうとする」
「うん」
「結局のところ尤もらしく『将来役に立たないからやらない』ってのは方便で、単にやりたくないだけなんだよな」
「やりたくないか、あるいは興味を持てないか、かなあ」
「理性よりも感情が先に立つ子供を相手にする小学校の先生になるってのは、こういう生徒にどう向き合わせるかってのに取り組んでいくことになるんだろうな」
「『教える』は先生側の行動なんだけど、『教わる』という生徒側の行動が揃ってはじめて意味があるのよね。先生は給料もらってやる仕事だから教えないといけない。だけど生徒側は教わるかどうかなんて自分勝手に決めて振舞う。これじゃクラス全員の教える・教わるが揃うことなんて絶望的よね」
「本来は『教わる』振る舞いをさせるのは保護者の責任なんだけどな。躾とでも言うか」
「でもいわゆるモンペは学校に責任を擦り付けると」
「そしてそれは近年ますますひどくなっている」
「うわあ」
「とは言うものの、ちゃんと学ぶ意思を持った生徒が教わることの方が多いので、全体としては教え教わるの体は保たれている」
「将来の進路として小学校の先生もありかなって考えてるんだけど、本気で目指すなら実態をよく調べておくことも大事そうね。まあどんな仕事にも当てはまることなんでしょうけど」
「そうだな、理想を追い求めて現実に打ちのめされるっていう残念なことにならないよう、現実がどんなものか知っておくことは心構えの面でいいかもしれない」
「でもさ、現実って言うとなんかネガティブな方向ばかりで考えがちだけど、自分が想像もしなかったポジティブな現実もあるだろうから、その意味では決して悪いことばかりじゃないわよ?」
「おお。まったくだ。お前のそういうスタンスにはいつもハッとさせられるよ。お前はいつもいろいろ気付かせてくれる」
「あたしだってあんたがこの話をしなければ『教わる』ことに目が向かなかったかもしれない。お互い様だってば」
「そうか。で、小学校の先生ってのは進路の候補としてはまだ残っているのか?」
「それはもちろんよ。どんな仕事も苦労は付きものよ。楽なだけの仕事なんて無いでしょうに」
「やっぱりそうだよな。お前はこんな話一つで折れるような玉じゃないし。応援しているぞ」
「うん、ありがとうね」
「うん。しっかし、お前はちゃんと未来のことを考えてるなあ。それに比べて俺はまだまだお子ちゃまだよ」
「なに言ってんのよ。あたしだってまだはっきりと決めたわけじゃないし、似たようなもんよ?」
「ふーむ、まあ、これからいろいろと相談するかもしれないんで、そん時はよろしくな?」
「こちらこそ。あたしも頼りにしてるわよ?」
「おう、任せろ」
「いい返事ね」
「加点か?」
「そうね、加点加点」
「よっしゃ!」
「ふふふ」
もうすぐ高校三年生になるんだな。
そろそろ受験モードに入っていく




