勝者の権利を行使しますよ?
# 評価、ブックマークありがとうございます!
# ご感想いただけますと励みになりますので、是非よろしくお願いします!
# 初の作品で拙いものではありますが、続けて読んでいただけるよう頑張ります。
学年末考査の結果です。
(今回初めて3,000字超えました)
「さて。心の準備はできたかしら?」
「うー、緊張するなぁ。……よーし見に行くか」
「じゃ行きましょ。さて、今回の自信のほどは?」
「そうだなぁ。手応え的には前回よりはあった。けれど、飛躍的に伸びたかというとそうでもない感じ。ちょっともどかしいな」
「前回は100人抜きだったしね。上位の壁は厚いわよ。やすやすとは突破できないわね」
「それはまあそうだな。勉強一筋に切磋琢磨してる奴らがゴロゴロしてる層だしな。簡単に上がれるとは思ってないよ」
「お、謙虚謙虚。ガッツリやってる層には容易には勝てないけど、それはそれ、あたしらはあたしらの出来る範囲でやっていきましょ」
「焦ってもろくなことがないと」
「そうそう。あんた、あたしと同じ大学に入れるようにって勉強頑張ってるけど、今の頑張りを気負いなく続けていけば大丈夫だと思うわ」
「そうか? もともと俺が150位、お前が30位くらいでかなりの差があったけど、行けそうかな?」
「油断は禁物。だけど、さっきも言った通り今の頑張りを続けられればおそらくあたしと大差無いくらいになれるわよ」
「お前はお前でまだ伸びるだろうに。果たして追い付けるのかね?」
「えへへ、そこはあたしも負けられないからね」
「なんだか矛盾してるような気がするんだが」
「勝負は別よ。追い付かないからって勝手に勝負を降りないでよ?」
「ほほう。いつもながらの上から目線。闘志が湧くってもんですな」
「そうそう、その意気でいらっしゃい。ほほほ」
「今に見てろよ」
「ずっと見てるわよ」
「そ、そうか。い、今のは割と反則気味だぞ。ちょっとドキっとした」
「あんたに反則云々言われたくないわ。こっちだっていつまでもやられっぱなしじゃないんだからね」
「お、おう。ところで、勝者の権利は何にするのか決まってるのか?」
「ふふーん、内緒よ。あたしの勝利は間違いないんだけど、万が一ってこともあるし順位表を確認してから言うわ」
「うっわー、そこまで仰る。なんかめっちゃ勝ちたい」
「あんたねー、あたしはあんたよりも長い間地力を付けて来てるのよ? そう簡単に抜かれたらあたしが馬鹿みたいじゃない」
「今の俺じゃそのままの順位でお前に勝てる気はしないよ。だからハンデ10を貰ってるのを忘れたかね?」
「忘れてなんかないわよ。勝者の権利がかかってるんだからあたしだって全力で挑んだわよ。ハンデ10なんて吹っ飛ぶようにね」
「容赦無いなー」
「なに? 手を抜いたあたしにハンデ付きで勝って嬉しいわけ?」
「そんなことは言ってないけど、ずいぶん手厳しいな」
「勝負は真剣よ。勝者の権利は渡さないわ」
「執着」
「当然よ」
「じゃあさ、お前の手応えはどうだったんだよ」
「ふふん。気合入れたからね。前回は運が味方したところもあって19位を取れたけど、今回は実力で20位切りできる気がする」
「おっと。お前30位くらい目指すって言ってなかったか?」
「負けられないものがあると人は強くなれるの」
「なんかの主人公」
「あたしの人生のね」
「……お前、なんか今日はいつになく強気だな」
「勝負に挑む乙女は最強になるのよ」
「お手やわらかに。……さて、掲示板着いたぞ。相変わらずの人だな」
「じゃあ探すわよ。そうね、まず自分の順位を見つけて。見つかっても黙っててよ」
「わ、わかった。えーっと、俺のはどこだ……」
「あたしは……」
「……」
「……」
「あ。よし、俺は見つけたぞ。つまり無事50位以内には入れたってことだ」
「2回連続50位以内ってことよね。まぐれじゃこうはいかないわ。実力でここまで来れたのよ」
「ああ。素直に嬉しいね。で、お前は見つかったか?」
「うん。あったわ。じゃあせーので言うわよ」
「おう」
「せーの」
「38位」
「17位」
「えーーー、全然相手になってなかった……」
「ハンデ引いても28対17位であたしの勝ちね」
「ああ、完敗だ。ハンデ20でも勝てなかったってことか。参りました」
「ふふーん。さあ、存分に勝者を讃えなさい」
「うわー、ほんと容赦無いな。では讃えましょう。あなたは勉学を日々研鑽しそして本試験において存分に実力を発揮され、ハンデをものともせず見事勝利を手中に収められました。その栄光と偉業をここに讃えます」
「な、なんか校長先生みたいね。ま、まあいいわ」
「なるほど、これが勝者の権利だったのか。そーかそーか」
「え!? ち、ちがうわよ! 何勝手なこと言ってるのよ!」
「なんかもっとすごいこと言われるかと思ってたけど、讃えるだけなんてお安い御用だ。うんうん」
「うんうんじゃなわよ! ちゃんと聞きなさいよ!」
「いやー、讃えなさい、ねぇ」
「一人で完結してるんじゃないわよ! 聞きなさいって! 泣くわよ!」
「わかったわかった、冗談冗談」
「もう! ホントに!」
「悪かったって」
「怒ったからね! 勝者の権利は2つよ!」
「うそっ!?」
「大減点の罰よ!」
「うへぇ」
「わかったの!?」
「わ、わかったよ。で、1つ目は讃えるで使い終わったろ?」
「……3つに増やすわよ?」
「えーっと、2つって何と何かな?」
「よろしい。では1つ目」
「はい」
「春休み、妹ちゃんとケーキ作りがしたいのでセッティングすること」
「ぷっ」
「な!? 何がおかしいのよ!」
「い、いや何でもない。くくっ」
「笑ってるじゃない! 何よ!?」
「まあまあ、早く2つ目を言えよ」
「まったく。えー、2つ目は。……これは貯金としておきます」
「へ?」
「だから、今は内緒だけど、あたしがして欲しいときに改めて言うから今は貯金しておくの」
「なんじゃそりゃ。内容は内緒なの?」
「内緒」
「うわー、なんか怖ええ」
「だ、大丈夫よ…… 大丈夫じゃないと困る……」
「な、なんだよ。わかったからそんな思い詰めた顔するなよ」
「うん。だいたいあんたが悪いんだからね」
「わかったてば、悪かったって」
「ふんっ。……ところであんた1つ目のお願いで笑ったわね」
「あ、い、いや、ぷぷっ」
「何がおかしいのよ」
「ああ。あのな、ある意味俺も勝者だったのかなって」
「は? どういうこと?」
「えーと、うん。おれの勝者の権利なんだけど」
「うん」
「妹に料理教えてやってくれんかってやつなんだよ」
「……」
「妹は超人だけど料理に関してはお前の領域まではまだまだ届いていない。だけど素質はあるからお前に教えて貰えればもっと伸びると思ってな。それとお前の作り立て料理を堪能したいのもあるし」
「そ、そういうことね。だけどあんた、勝手に妹ちゃん巻き込んでいいの? そりゃあたしは妹ちゃんと一緒に料理できたら楽しいし嬉しいけど」
「ああ、妹には了解取ってる。こないだのケーキでお前の料理の腕に惚れ込んだみたいで、お姉ちゃんさえよければ是非こちらこそお願いしたいってさ」
「お、お姉ちゃん。ぐふふふふふふふ」
「よだれ。だからケーキと料理の違いはあるものの、あんまり変わらないわけ」
「じゅる。そ、そういうことね。わかったわ。じゃあ、ケーキの日と料理の日と、2日間空けてもらうってのはどうかしら? 妹ちゃん大丈夫かな?」
「お前こそ2日もいいのか?」
「いいに決まってるじゃない。あたしのかわいい妹ちゃんよ?」
「ば、……まったく。妹のことになるとぐいぐい来るな。それと妹は俺のだ」
「はいはい。妹ちゃんは大丈夫なのかしら?」
「まず問題ないだろ。一応聞いておくけどな」
「やったー」
「それとは、こっちが学ぶ立場だから、材料費は全部持つから遠慮なく美味いもん作ってくれ」
「いいの? あたしだって食べることになるわよ?」
「気にすんな。授業料だと思って受け取ってくれ。もしお前から1円でも受け取ったってバレたら俺は妹に口をきいてくれなくなるかもしれない。いや確実にそうなる。それは絶対に避けたい。な。頼む」
「わ、わかったわ。それは恐ろしいわね。じゃあお言葉に甘えるわ」
「おう、そうしてくれ」
「じゃ、妹ちゃんに伝えてね。お姉ちゃん楽しみにしてるって」
「うん。じゃ、教室戻るか」
「そうね。行きましょ」
「……負けたけどあんま負けた気がしない」
「あんたほんとシスコンね」
「シスコンじゃねえ」
「ふふふ」
「まったく」
妹から春休みの初日と二日目を指定されました。
どっちがシスコンだか。




