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ちょっとづつ外堀を埋めるんですか?

# 評価、ブックマークありがとうございます! 励みになります。

# 初の作品で拙いものではありますが、続けて読んでいただけるよう頑張ります。


「食」を握られると抗えませんね。

「さーって、締めはお買い物よ!」


「き、気合入ってんな……」


「ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ」


「や、やめろ! 俺を闇に引きずり込むな」


「悪魔みたいに言うのやめて」


「体重が21g減った気がする」


「死神みたいに言うのやめて」


「そ、それでどのショップからだ?」


「大丈夫よ、安心して。そんないつもいつも服ばっかり買わないわよ」


「ふむ。……まさか米とかペットボトルケース買いとか」


「わざわざクリスマスデートで買わないわよ。だいたい米ってなによ。主婦?」


「お母さんに頼まれた、とか?」


「あんたはデートに行く娘に米を買って来いって頼む親がいると思ってるわけなの? うちの親がそんなことするとでも?」


「いや、そ、それは無いな。すまん」


「もう、ちょっとは考えなさいよ。わざわざそんな重い物ばっかり持たせないわよ」


「ぜ、前回……」


「はあ? 何?」


「い、いや、なんでもない、です。サーセン」


「ふん」


「じゃ、じゃあどこ行くんだよ?」


「えっと、こっちよ」


「ほいな。…………んー、なんだ、食器店か?」


「うん。で、あんたに選んで欲しいのがあって」


「俺がお前に?」


「っていうか、あんたがあんたに」


「はあ?」


「まあ、いいから、こっち来て」


「おう。…………弁当箱コーナー?」


「そう。あたしあんたのお弁当作ってあげる。だからあんたの気に入ったお弁当箱選んで」


「え!? いいのか? 毎日作ってくれるのか?」


「いや、それはあんたのお母さんに悪い気がするので遠慮しとく。あんた、弁当無しで学食の時ってあるでしょ? その時だけ前の日に言ってくれれば作るわよ」


「わ、わかったよ! お前の料理うまいからなー。学食の日は昼飯代もらえるからそれで払うぜ」


「いいわよお金なんて」


「いや、ちゃんと払わせてくれよ。一方的なのは落ち着かないんだよ。落ち着いてお前の美味い弁当が食べたいんだよ」


「わ、わかったわよ。じゃあ、そうね、材料費だけ頂くわ。それなら問題ないでしょ?」


「うーん、ホントは手間もかかってるしもっと払うべきだとは思うんだが、それだとお前が納得しなさそうだしな。落としどころってことで、材料費支払いでお願いします」


「はい、じゃあそれで。とまぁ、そういうことなんで、お弁当箱選びなさいな」


「おう。それじゃー、飯がこれくらいで、おかずもこれくらい入れて欲しいな。となると、このあたりかな?」


「なるほど、ずいぶんシンプルな弁当箱ね。あんたらしいわね」


「質実剛健をモットーとしているからな。ホントにいいのか?」


「任せなさいよ。あんたの胃袋を掴んで離さないからね」


「幸甚の至り」


「じゃあ弁当箱はこれで。えーっと、あとね、それとね」


「なんかまだあるのか?」


「ふ、二人で選びたいのがあるの」


「ほう、なんだ?」


「……お茶碗」


「ん? 茶碗はあるぞ。100均のテキトーなやつ使ってる」


「そ、それはまぁ置いておいてね。新しいお茶碗としてね」


「ふむ。なんか良くわからんが茶碗コーナー行くか」


「…………このあたりなんだけどね。二つで一セットのがあるの」


「へぇ、こんなのあるんだな」


「……うん。ど、どうかな?」


「種類もいろいあるな。かわいい茶碗もあるし、なんか渋いのもある。いいぞ、お前の好きなやつでいい。まぁ俺の100均茶碗は味気ないっちゃー味気ないしな」


「ほ! ほんと!! やった!」


「で、なんで茶碗? もしかしてお前自分の茶碗割ったのか?」


「そんなことは無いけど。あんたのとセットのやつがいいなーって思って」


「そうか、じゃあまぁ選んでくれよ」


「あんたも一緒に選ぶのよ。あんたと一緒に選ぶってのが大事なんだから」


「ふむ、わかった。じゃあ、そうだなー、これなんかどうだ?」


「さすが質実剛健を標榜するだけあるわね。もうっちょっと華やかなのにしない?」


「確かにシンプルすぎるか。おまえも使うんだからこれじゃちょっとな。……じゃぁこのあたりはどうだ? さっきのよりは温かみがある感じがする」


「あ、それいいわね。なんか癒される」


「他もいろいろあるけど…… んー、なんかこれ気に入ったな。これにしない?」


「いいわよ。あたしも気に入ったわ。これにしましょう」


「って、ちょとまて。結構なお値段するな。俺、100均の感覚が抜けねーからこんなにするとは思ってなかった」


「うん、大丈夫よ。予算内」


「いや、悪いよ。俺とお前でそれぞれ使うんなら半分は出させてよ。ホントは全額出したいとこだけど……」


「フィギュア買ってお金ないのは分かってるわよ。だいたい、あんたすでに茶碗持ってるから本来は買う必要もない物でしょ? だから私のわがままなんだからここは払わせて」


「ごめん、それはやっぱり落ち着かない。せめて半額は出す。……あ、そうだ、こうしよう。お前の茶碗分を俺が出して、俺の茶碗分をお前が出す、っていう形にすればいいじゃん。そうしよう」


「えー、あんたお金大丈夫なの?」


「そのくらいは何とかなる。だから俺からのお願い聞いてよ」


「うーん、まぁ、そう言うなら。あたしのお茶碗はあんたからの贈り物ってことね」


「そうそう」


「分かったわ。そうしましょ」


「俺から贈る茶碗だ。大事にしろよー」


「あんたこそ割らないでよ」


「へへへ」


「ふふふ」










 

 あいつ、支払いするとき真っ赤になってたけどなんでだろ。


夫婦茶碗。

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