歌は負けませんよ?
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歌自慢。
「よっしゃ、91点! 90点超えだぞ!? どうだ恐れ入ったか? ひれ伏すか? 苦しゅうないぞ?」
「ほほう、まぁまぁやるわね。だがしかし、それを言うのはまずあたしの歌を聴いてからよ?」
「これはこれは。ご存知か? 90点以上は容易ではないのだぞ?」
「まあ、聴きたまえ。では…… ワン・ツー・スリー・フォー! ♪~♪~♪♪♪~~」
「な、んだと? ちょっと待ておい」
「♪~~♪~♪~~」
「おいおい……」
「♪~♪♪~♪~~」
「はぁ…… めちゃくちゃ上手いな」
「♪~♪~♪♪~~」
「下手なアイドルなんか足元にも及ばんぞ……」
「♪♪~♪~♪♪~~」
「これ勝負になんねぇな…… 完敗じゃねぇか」
「♪~~~~~~~~ イエイッ! どう? どう? ちゃんと聴いてた?」
「お前…… 上手すぎる。どこで練習してんだよ」
「ちょくちょく友達とカラオケ行ってるしねー。友達も上手くって、いいライバルって感じ。お互いを高めあう!、みたいな?」
「お前くらい歌える友達がいるんか? それも驚きだよ。もしかしてお前らユニット組んでたりしてない?」
「はははっ 無い無い。ところで『どうだ恐れいったか? ひれ伏すか? 苦しゅうないぞ?』でしたかねー?」
「ぐぐっ ま、まぁそれは点数を見てからだ!」
「点数は…… お、出た! 95点! うーん、まぁまぁかなー」
「なんだよそれ、バケモンか」
「ちょっと。負けたからってバケモノ扱いはひどくない?」
「うう、すまん。恐れ入りました。ひれ伏します」
「ほっほっほっ 苦しゅうないぞ?」
「いやー、お前歌もすごく上手いんだな。カラオケは結構自信あったんだけど、ポッキリ心折られたよ。ううう……」
「ちょ、そんな暗くなんないでよ。あんただって十分上手いじゃない。あんたの言う通り90点以上ってかなり上手い人じゃないとそうそう出せないし」
「そうは言うが……」
「ねぇ、お礼なんでしょ? あんたが暗い顔してたんじゃあたしが楽しめないわよ」
「そ、そりゃそうだな。すまんすまん。しっかし悔しいのは悔しいなぁ。90点超えで満足してた俺と、ハイレベルなところで切磋琢磨してたお前との違いかぁ」
「そんな大層なもんじゃないわよ。あくまで楽しく歌うってのが最優先よ。点数の為だけに歌ってるわけじゃないしね」
「うーん、そうなんだろうけど」
「はい、やめやめー、気持ち切り替えて次、歌ってよ。いいと思ったところと悪いと思ったところを言うから、それを頭の片隅に入れて歌ってみてよ。友達ともそういうことをやってお互いに上手くなっていったのよ」
「うん、よし! わかった。よろしく頼むよ先生」
「確かに点数はあたしの方が高かったけど、あたし、あんたの歌好きよ。もっと聴きたい」
「そ、そうか。んじゃ張り切って歌うとしましょうか。…………………… ♪♪~♪~♪♪~~」
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「おおお、94点も取れた。俺の生涯最高得点。なんてこった。先生さまさまだよ。いやー、素直にうれしい」
「やったわねー。みるみる上手くなっていくし。あんた勉強もそうだけど、向上心を持てばまだまだ伸びることいっぱいあるんじゃないの?」
「あー、オカンの腹の中に忘れてきたやつかー。向上心ねぇ。お前にはホントいろいろ気付かされるなぁ」
「あたしが一緒に手伝ってあげるからさ、もっといろいろチャレンジしていこうよ」
「そうだなー。お前がいればなんでもできそうな気がしてきた。向上心かぁ」
「そ、そうよ。あんたはあたしといればいいの。ちゃんと青春を捧げるのよ?」
「うっす、肝に銘じて」
「じゃ、じゃあ、もっと練習するわよ。今度はデュエットよ。二人で歌うの」
「うーん、デュエット曲なんて知らないぞ」
「いいのよ、いろいろチャレンジするんでしょ? あたしがリードしてあげるからさ」
「そ、そうだな。チャレンジだな。曲は任せるぞ!」
「いい返事です。では…………」
勉強以外でも教わってばかりだ。
デートは続く。




