四話 もやしとはひどいな!
渋々受付嬢の長い話を聞いていたが、無駄ばっかりだったので要点だけまとめようと思う。
1、ホッカイドウのトカチで暴力の悪魔が暴れ散らかしてること、
2、暴力の悪魔と聖騎士たちが三日三晩戦ってるらしいが全く勝てないこと
3、そこで民間の強者たちを集めて戦線に参加しよ~パチパチ
……ってノリらしい。
なに?普通に悪魔いるの?この世界?
聖騎士が歯が立たない時点で勝てないだろ。
僕は半ば強引に魔導車(ほぼ車じゃねぇか!)に乗せられ移動する。
ポチは僕の手をペロペロと舐めてくれる。
やっぱり持つべきは友達だな。
友達?おいまて、犬が友達?人間にも友達いたし?あんまなめんなよ?
……誰に言ってんだ僕。
僕が一人で勝手に喋って勝手に虚しくなっている間にも、魔導車はどんどん目的地へ近づいていく。
(てか、あの後しっかり自動運転の車とか、空飛ぶタクシーとかできたんだろうか?)
実現する前に死んでしまった?いや転移した?なんでもいいやとにかく悔しい。
――ニ時間後。
なんで正確に測れたのかは僕でもわからないががまぁとにかく二時間たった。
うん、そういうことにしておけ。
魔導車は急に止まり僕は慣性の法則で前につんのめる。
おい、慣性の法則忘れんなこのポンコツカー。
僕はぶつけた頭を押さえながら外に出る。
「なんだこりゃ……。」
ここほんとにさっきと同じところ?と思うくらい地面に大きなクレーターがえっと?1、2、3……!?
これ結構やばいのでは?
ほらポチも僕の影に隠れてるし。
「貴様か?皇帝狼を手なずけたという奴は。」
声がする方を振り返ると、僕は勝ちを確信した。
来た、美人。
……しかも胸でかい。
異世界最高か?
いや待て落ち着け僕。
こういう時に限って噛むんだ。
前回を思い出せ。
「まちろろろんでござる。」
……ダメだ思い出したら死にたくなってきた。
「なんだ?貴様、じろじろと見やがって、もやしの分際で私が惚れると思うなよ?」
こ、こいつ……!もやしって言ったなぁ?
ふざけんあぁぁぁ!どこがもやしのようなひょろひょろボディだ?
……いや待て。
確かに僕は細い。
認めよう。
だが、ちゃんと筋肉はあるんだ。
元剣道部だし?
毎日素振りもしてたし?
防具担いで走ったりもしたし?
……まぁ全国レベルとかでは全然なかったけど。
てか、剣道部ってもっと“細マッチョ”扱いされると思うじゃん?
現実は違った。
高校の時なんて、
「お前、台風で飛ばされそうだな」
とか言われたし。
女子には、
「ちゃんとご飯食べてる?」
って心配された。
いや食ってるわ。
むしろ人並み以上に食ってるわ。
全部仕事のストレスで消えてったんだよ。
ブラック企業舐めんな。
……うん。
やっぱりもやしかもしれない。
「もやし、さっさと行くぞ。せめて私の足手まといにはなるなよ?」
何だこいつ……あっちの世界の上司を思い出してむかつくなぁ。
「私は日本聖騎士協会副騎士長アイリだ。あんまり舐めた口をきくなよ。」
それはこっちのセリフだ!その言葉を飲み込んだ。
何をされるかわからないからだ。
【次回予告】
戦場到着。
そこにいたのは、
三日三晩暴れ続ける悪魔。
クレーター量産。
聖騎士半壊。
空気は最悪。
……うん、帰りたい。
だが次の瞬間。
戦場が、静まり返る。
「は?」
悪魔も、
聖騎士も、
アイリさえも絶句する中——
もやし社畜、
うっかり災害を半壊させる。
次回――
「悪魔こないでぇぇえ!!!」
お楽しみに。




