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十話 石ころで竜倒しました


なんでみんな肩震えて泣いてるの。こっちが困るんだけど……。


「ウッ……このアイリとても嬉しくて涙が止まりません。ウォォォォン……ゲンショ様ありがとうございます……」


後々アイリから聞いたのだが、ゲンショ様というのはこの世界で広く信仰されている神で魔王を倒し、世界に平和をもたらしたらしい。


……この世界色々と深いな。


「うっう。ついにこの世界に神が誕生した!ジーク様の後を継ぐ神……コウ教……最高です。」


セリさん?なにうっとりしてるんですか?


コウ狂だろ。


『もやし、やはり神だったのか!』


社畜が神になれるならこんなつらい思いしてねぇわ。


「で、コウ様。早速任務です。」


へぇ。セリさんが秘書替わりなのか。


ロリ秘書とかもう幸s……


いや、こういってしまうと変な風に思われる。


「今回は、トカチに現れた暗黒龍ニャルゼニュートの討伐をお願いします。」


……無理☆


暗黒龍とか厨二病の世界だろ!勝てるわけないじゃん!


「十日間で聖騎士団5千人が重軽傷を負いました。」


僕は今更、聖騎士団長に就任したことをクッソ後悔している。


超危険任務じゃん!


なんだよ、こっちでもブラック企業かよ!


「まぁ、神となられたもやし様ならきっと暗黒龍も倒してくれるでしょう♡」


いつ、神になった!?


「アイリ?もやし様とは失礼な。コウ様と呼びなさい!」


「いえ、私にとっての唯一神はもやし様なのです!」


あーぁ。また始まった。


これ始まると長いんだよなぁ~。


『暗黒龍!超かっこいいやんけ!』


……廚ニ病一名ご来店でーす。


「そ、そんなことをしている場合ではありません。」


セリさんが呪文を唱えると足元に魔法陣が出てくる。


魔法陣!来ちゃぁ熱すぎだろ!


「転移魔法でさくっと行きましょう!」


そうして僕たちは魔法陣の中に消えた。


ポチは今回危険なのでお留守番だ。


帰ってきたらジャーキー食わせてやるからな。


……帰ってこれるかな?


――グオオオ!!!


僕がその考えに至る前に鋭い咆哮。


うん、勝てるわけないよね。


ねぇ!!!!!


ビジュはまさに僕の黒歴史ノートに書いてあった暗黒龍そのまま……そのまますぎる。


なんか恥ずかしいんだが。


『うわぁかっけぇエ!』


お前も大概だろ。


いいビジュもらいやがって。


「もやし様!気を付けてくださいね!」


って言われましてもねぇ。


アイリさん。足ガクブルなんですわ。


「もやし様!!」


暗黒龍(以下略)は炎を僕に向かって吐き出す。


まずい――


って思った時にはセリさんがバリアを張っていた。


ナイスすぎる。セリさん。


アイリはすかさず間合いを詰める。


「この世の唯一神に向かって火を噴くなんていい度胸ね!」


だからちゃうて。


アイリは腕から生やしたチェンソーで暗黒龍に傷をつける。


おっ、いいぞ!僕必要なくなる。


ふっ(暗黒微笑)このままイモれば勝手にやってくれる。


――勝った。


高みの見物といこう。


ふぅ気が楽だ。


ん?セリさんのバリアが一瞬で破壊されて?


アイリさんの胸から血がしぶいて……


あれ?すごおおおく嫌な予感。


おっ連携だ、いっけぇぇぇえ!!!


あれ、あっさり素手で止められて……火炎放射ぁぁぁあ!!!


二人は地面に倒れたぁぁぁあ!!!


ん?つまり僕だけ?


終わった。


深呼吸、深呼吸。


なにか抵抗できるものを探せ。僕。


最悪白旗でもいい。


しかしそこにあるのは石ころばかり。


石ころを聖騎士団を盾にして投げてヘイトを擦り付けるか?


――僕の勝ちだ。


ぼくはさっそく手頃の聖騎士団の後ろから石を投げる。


小学生の頃はよく陸上で石切りをしたもんだ。


え?陸上で出来るわけないだろって?


これが、東京に出てからわかったんだけど、石切りはどうやら川でやるらしいですね。


へぇ~でAIにできるか聞いてみたら”無理でしょう”って返ってきた。


僕は何者?


それはともかく石を投げる。


それはどんどん高度を上げて……?


暗黒龍の胸あたりに当たる。


ヘイトを向けるなら十分だ。


さぁ僕は帰らせていただきますよ~♪


――グアアァ


ふっ怒ってる。


後は頼んだで~


『もやし……』


なんだようるせえなぁ


『もやし!?』


「なんだよ、気配を消して逃げるのに必死なんだよ!!」


『暗黒龍倒してる。』


え?


『後ろ向いてごらん。』


暴力の悪魔(グラトニー)の言う通りに振り向いてみる。


そこには、僕に向かって全力で土下座する暗黒龍の姿だった。


石ころで竜倒しました。


は?

「暗黒龍討伐、成功。」


——そんな報告書が、勝手に提出された。


コウ「え、誰が書いたのそれ」


「当然、聖騎士団です」


知らんがな。


気づけば“英雄認定式”開催。


コウ「いや俺何もしてないんだけど!?」


周囲「謙遜なさるとは……流石です」


やめろその目。


さらに。


アイリ「もやし様はやはり神です」


セリ「もう隠さなくていいですよ」


隠してる前提やめろ。


そして——


『暗黒龍が婚約したいって』


コウ「は???」


次回——


「暗黒竜が告白してきました」

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― 新着の感想 ―
安定のぶっ飛び流石です(笑)
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