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しましま


 そう、ミコトは俺の事を「ぱぱ」、エリナの事を「えりなまま」と呼ぶが、クレアは「まま」と呼ぶのだ。

 将来どうするんだこの状況。

 他のガキんちょ共は「ねーちゃ」、「にーちゃ」って呼んでるのに。

 ママ二人いるぞ?

 ちなみに婆さんは「ばあば」だ。「ばあば」って呼ばれるたびにデレデレした顔になってる。



「姉さま、お昼ご飯にしますからお着替えしてください」


「わかった!」


「ぱぱ! だっこ!」


「よしよし、おいでミコト!」



 呼ばれたミコトは、ぽてぽてと少したどたどしい歩き方でエリナの元から俺に向かって歩いてくる。

 俺にようやくたどり着いたミコトが、ひしっと俺の足にしがみつく。


「よーしよーし、ミコトは可愛いなー」


「きゃっきゃ!」


「今日はパパとご飯食べるかー?」


「まま!」


 抱っこしてるミコトの素直な言葉がちょっと悲しい。

 カルルも成長して、大人に甘えるのが少し恥ずかしくなったみたいで前みたいに甘えてこなくなっちゃったし。


 まあミコトと一番接してたのはクレアだからな。

 午前中は狩りをしてたからあまり一緒に居られなかったけど、それでもパパと慕ってくれてるから贅沢は言わないようにしよう。




「じゃあママとパパの間にお座りして一緒に食べましょうかミコトちゃん」


「あい!」


「クレア、預かってる子達はどうだ?」


「何度か預かった子達ばかりですからね。人見知りする子も居ませんし、良い子達ばかりですよ」



 おもちゃで遊んでいたり、絵本を読んでいる子達を見る。



「今日は五人か。何人くらいまで面倒を見られそうだ?」


「今日みたいに手のかからない子なら十人でも大丈夫ですけれど、お風呂の事を考えると小さい子が増えたら大変かもしれませんね」


「小さいと湯船で溺れちゃうかもしれないからな」


「今日はミコトちゃんだけですけどね」


「おふろ! くれあまま!」


「はいはい、今日も一緒に入りましょうねーミコトちゃん」


「あい!」


「ごめんねみんなー! おまたせ!」



 エリナがどたばたとリビングに入って来たので昼飯だ。



「ではみなさん! お昼ご飯にしましょう! いただきます!」


「「「いただきまーす!」」」



 食事の時の挨拶の音頭は朝昼がクレア、晩飯がエリナになった。

 俺はもう挨拶の由来の詮索を諦めたので。



「ん、クレア、この焼きそば風パスタは最高の出来だぞ! 日本でも食った事が無いくらい美味いぞコレ!」


「兄さまありがとうございます! お気に召していただいて嬉しいです」


「なんでお前は一回か二回食っただけで日本の味を完全再現できるんだろうな」


「愛じゃないですか?」


「うーん、違うと言えない所がなんとも恐ろしい。この味ってこの世界にも受け入れられるのかな?」


「兄さまの作る料理はみんな大好きですからね。孤児院の子だけじゃなく預かった子にも好評ですから、むしろにほんの味の方がこちらでは好まれるのかもしれません」


「中華麺やラーメンはあるけど高いんだよな、味も普通だし。パスタはかなり流通してて安いから、これで商売ができるんじゃなかろうか」


「そうですね、かなり安く出来るので屋台で売っても人気が出ると思いますよ」


「昼前とか夕食前の時間帯に孤児院の前で売っても良いかな。人通りや集客に不安があるけど」


「この辺りは昔は貴族の別荘地で、敷地が広いお屋敷が手入れもされずに放置されてるから少し雰囲気が良くないんですよね」


「まあその分広い敷地付きの隣家が安く買えたしな」


「朝なら中央区域や商業区域の門の方に行く途中に、お昼用のお弁当として売れるかもしれませんよ兄さま」


「それだ、サンドイッチなんかの軽食も一緒に置いておけば、少し遠回りしてでも孤児院に寄って行って買ってくれるかもしれん」


「夏場は食べ物が痛むのが怖いのでメニューが限定されますが、売れ残りを孤児院の昼食に回しても良いですしね」


「流石だなクレア。将来は経営関係の仕事でも良いかもな、経理も出来るし」


「将来は兄さまの……いえ、それより今日は兄さまの好きなしまぱんを履いてますけど見ますか?」


「エリナーー!!」


「なーにお兄ちゃん? またいつもの発作?」



 俺に呼ばれたエリナがぽてぽてと俺の側に来る。



「お前俺との約束を言ってみろ」


「えーと、『えれべーたーではジャンプしない』と『ぼうはんかめらには注意する』」


「合ってるし、ちゃんと覚えてるエリナは偉いけど、それじゃなくて最近した約束」


「あーそれね。『お兄ちゃんの性癖は暴露しない』って奴?」


「そうそれ。で、そもそもどうしてエリナは俺がしまぱん好きって知ってるんだ?」


「私がしまぱんを履いた日はいつもよりちょっと違うから?」


「あのさ、そういう夫婦の夜の事は内緒にしようよ。お兄ちゃんかなり恥ずかしいんだけど」


「わかった! ごめんねお兄ちゃん」


「姉さまごめんなさい。約束を破りそうになったので咄嗟にしまぱんの話をしてしまいました」


「大丈夫だよクレア!」


「でも兄さま、姉さまは兄さまとの秘密を喋った訳じゃないんですよ。兄さまの喜びそうな下着をお願いしたら、しまぱんを買ってきてくれただけなんです」


「まあ喋ってるのとほとんど同じだからなそれ。とは言えエリナのクレアへの協力は認めてるし、今回はエリナの推測ってだけだし微妙なラインだなその辺りは。口に出さなきゃセーフって事にするか」


「でもお兄ちゃんはどうしてしましまが好きなの?」


「あれは日常と非日常を現した最高のデザインなんだぞ。レースのみとか後ろが紐とかは不許可だからな! あれは非日常でしかない。絶妙なバランス感に欠けるんだ。あとエリナに似合うとは思えん」


「よくわかんないけどわかった!」


「兄さまはろりこんなんですか?」


「いやいやいやいや、縞パンはロリコンじゃないだろ」


「いえ、むしろろりこんだと私にとってありがたいのですが」


「ロリコンに求婚するなよ……」


「まま! しま! しま!」


「そうですよー、ママは今日しまぱんなんですよー」


「ミコトちゃん! エリナママも今日はしまぱんなんだよ!」


「お前らパンツの柄を簡単に言うのやめような。あとミコトの教育に悪いから」


「「はーい」」



 ちょっと今夜はエリナとその辺りちゃんと確認しておかないとな。

 いや今日エリナが履いてるパンツの柄じゃなくて。


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