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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第三章 勇者と魔王

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『転移』無双。


「うわっ!また来たっ!」


「マジか!?本当に全員送る気かよっ!」



魔族領にあるシュレイド城、その中にある訓練所ではちょっとしたお祭り騒ぎがおきていた。



「次は上か!」



猛が見上げた先では…丁度地面から3m辺り上に六角形のゲートが現れ、無造作に数名の兵士を放出していた。



「ドルギスさん、ミラルダさんっ!こっちッス!」


「あぁ、分かっている。ミラルダ…」


「まっかせてぇ~♪」



無造作に地面へ転がされた兵士達にミラルダが手を翳すと、紫の靄が彼等を包み数秒としない内にその意識を刈り取る。



「仕込み完了よぉ~♪ドルギスぅ、後お願いねぇ~♪私はぁ、あっちの方仕込んでくるからぁ♪」


「任された。」


「それにしてもぉ…コージ君張り切ってるわねぇ♪」


「あぁ、彼も今じゃ俺達上位種の仲間入りだ…ほんの半月見ないだけで、これ程の事が出来るようになるとは…」



こうやって話している間にも次々と兵士達が人族領から六角形のゲートで送られてくる。



「これはぁ、将来は魔王かしらぁ♪」


「…全く…末恐ろしいな。」


「私達もぉ、負けてられないわよぉ~?」


「そうだな…やるぞ、ミラルダ。」


「えぇ♪頑張りましょぉ~♪」



勇者として召喚され『見様見真似』を持ち、魔族として上位種となった浩二は…この世界では明らかに異端だった。

勇者の技能を持った魔王。

彼はその頂きに一歩一歩近づいて行く。


しかし、彼自身はそんな事など知る由もなく今も人族領で絶賛お客様ご案内中だ。


実際彼の人柄もあるのだろう。


兵士であろうが、勇者であろうが、魔族や、そして魔王であろうとも浩二は普通に接する。

基本的に見た目や肩書きで相手を見ないのだ。


だからであろう、皆彼に対して友好的だった。


そんな彼は今…



「一体この地下通路の何処にこんなに兵士が居たんだよっ!」



溢れんばかりの兵士達に嫌気が差してきていた。

あくまで嫌気であり、精神力や体力が消耗して来たからではない辺りが浩二だろう。

既に三桁に届こうかという人数を魔族領へと送っている。

ただでさえ狭い地下の通路にこの人数の兵士達が集まれば…



「だぁっ!暑苦しいわっ!」



と、こうなる。

しかし、流石に三桁もの人数を送っているのだ、兵士の数は目に見えて減っていた。



「後数回…って所かな?」



まだまだ余裕があるのか、肩をグルグルと回しながら残りのお客様に向かう浩二。


やがて、見張りとはとても言えない数の兵士達を全て送り終えた浩二は、見慣れた地下牢に到着した。


そこには…身体の彼方此方を切り傷や火傷、中には欠損させた勇者達が蹲るように収容されていた。

一応男女で分けてはあるが、どの勇者の目にも光は無い。



「…ここまでするのか…あの馬鹿は。」



彼等は浩二にとって、決して仲の良い相手では無い。

寧ろ、憎むべき相手な筈だった。

しかし、今浩二の頭に浮かぶのはただひたすらの哀れみ。

今の彼等は手を差し伸べなければ、確実に死ぬであろう弱者だった。



「…今回復できる奴等の所へ送ってやるからな…」



鉄格子を挟んで虚ろな目をした勇者へと話し掛けると、手を翳しゲートを開こうとしたその時、



「いやぁ!待っていたよ!岩谷浩二っ!」



浩二が通って来た通路から何が楽しいのか分からないがニヤニヤと下卑た笑みを浮かべた…


結城真が現れた。



「…………」


「どうです?ここ、素晴らしいでしょう?ここはスキル牧場って言いまして…………」



言葉を最後まで言い終わる前にその場から結城の姿が消えた。

正確には…落ちたのだ。

足元に出来た(・・・・・・)六角形のゲートへと。



「…………さぁ、今送ってやるからな。」



浩二は何事も無かったかのように勇者の転送を始める。


やがて、収容されていた勇者の半数を送り終えた頃…



「貴様っ!よくもこの俺をコ………………」



息を荒らげた結城が…戻って行った。



「……………」



浩二は黙々と作業の様に転送を続けた。



「…あ…りがと…う…」



最後の勇者が転送寸前に浩二へと掠れた声でお礼を言う。



「…気にするな。」



浩二は一言そう言うと勇者をゲートで転送させた。


そして、待つ事十数分。



「はぁ…はぁ…はぁ…貴様…っ!」


「…………」



浩二はスッと掌を結城に向ける。



「ハハッ!そう何度も掛かると思うなよ?」



浩二の掌の射線上から右にステップをして躱す結城。

その足元には六角形のゲート。



「……はぁ…帰るか。」



浩二は魔族領に戻ろうとゲートを開こうとすると、



《ちょっと待って!帰ってどうするの!》


「あ、女神様。」


《あ、女神様じゃないよ!君何か忘れてないかい?》


「…んー…?」


《…全く…君は怒ると視野が狭くなるようだね。『強奪』覚えなくて良いの?》


「あ。」


《まぁ、仕方ないか。ちょっと私に考えがあるから、わざと強奪されなさい。OK?》


「はい。了解しました。」


《うん。それじゃ、待とうか。》


「あ。」


《何?どうかした?》


「…今の転送先…ちょっと高めに出口作ったから…」


《あー…遅くなりそうだね…》


「すみません…」



それから結城が現れたのは三十分以上経った頃だった。

何故か片脚を引きずりながら。



□■□■



「貴様っ!人の話を聞けっ!」



引きずった脚を擦りながら浩二を怒鳴りつける結城。

しかし、浩二が手を少しでも動かすとビクッと過剰反応する。



「…はぁ…俺さぁ、サイコパス野郎に話なんて無いんだが…」


「俺があるんだよっ!」


「…さっさと言えよ愚図。」


「ぐっ…貴様…っ!」


「…本当に帰るぞ?」


「…っ!」



憎らしげに浩二を睨む結城。


あぁ…本当に帰りたいよ…女神様。



「…はぁ…分かった、聞いてやるから早く話せよ。」


「よし!先ずは俺の彼女…舞を返せ!」


「…舞が嫌がってるんだが?」


「そんな筈は無い!俺と彼女は結ばれる運命なんだからな!」


「…えーと…何?」



運命?

あー…コイツ妄想癖もあるのか…

帰りたい。

読んでいただきありがとうございます。

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