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あれ?ドワーフって魔族だったっけ?  作者: 映基地
第五章 砂の大地

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砂漠の砂。


「で?その石英って、あの水晶の石英だよな?」


「うん、そう。石英ガラスの石英。」



石英ガラスって確か化学の実験用のフラスコとかビーカーとかに使われてる温度変化にすこぶる強いガラスだったっけ?

確か耐熱ガラスも石英ガラスだった筈…


え?

って事は…


砂漠の砂の85%…そのガラスの材料が、領内に使い切れないほど溢れてるって事か?


いやいやいや、でもここは異世界だし…

全てが同じ筈は…



「…試してみるか。」



浩二はナオの元へと歩み寄り、徐に砂へと右手を突っ込む。


元の世界ではきっと面倒臭い工程なんかがある筈だけど…この世界には『魔法』がある。

きっと『土魔法』を使えば…


イメージは球体。

不純物は排除して、石英のみを取り出し加工する。



「…どうだ…?」



恐る恐る手を砂から引き抜き握った拳を開くと…



「「おおっ!」」



ハモる二人の驚く声。

その浩二の掌には、無色透明で綺麗な球体がコロコロと転がっていた。



「と、取り敢えず石英ガラスを作れる事は分かった。後は砂に対しての割合か。」



浩二は少し動揺しながらも、地面に右手をつけて圧縮した土を使い『(ます)』を作り出した。

ごく平均的な良くある一升枡だ。

まぁ、今の時代、枡を見る機会の方が少ないが。



「量を計るって言って枡を作っちゃう辺り浩二だね。」


「うっさい。」



一番想像しやすいのが枡だったのだから仕方が無い。


浩二はナオの言葉を一蹴すると作った枡に砂を擦り切りで入れ地面に置く。

その上から右手を翳し先程と同じ要領で石英ガラスを作り出す。


枡の中の砂が淡く光り、やがて出来上がるガラス。

枡を少し傾けて中のガラスを取り出すと、枡の中にはごく少量の土が残っていた。



「やっぱり八割って所だね。」


「だな。それにしても…凄い透明度だな…」


「ねー。水に入れたら見えなくなっちゃいそうだね。」



出来上がった石英ガラスを太陽に翳しながらその透明度に驚く二人。


そして、ふと思った。


この世界でのガラスってどの程度の価値なんだろうか…と。

そんな時はこの人。



「どうしたの?今日は終わり?」



そう、ソフィアさん。

『鍛冶の魔王』にして、スキル『金属の英智』を持つ鉱物のスペシャリストだ。

浩二はナオに留守番を頼み、転送でシュレイド城へと戻って来ていた。

この浩二謹製『石英ガラス』を鑑定してもらうために。



「いや、ちょっと見て欲しいものがあるんだ。」



そう言って先程一升枡で作った石英ガラスをソフィアに手渡す。

ソフィアは、縦横15cm厚さ6cm程の透き通った石英ガラスを見ながら静かに口を開く。



「…これは水晶ね。随分と純度が高いみたいだけど…水晶の鉱脈でも掘り当てたの?」


「いや、違うよ。それは俺が加工したんだ。」


「そんなの見れば分かるわよ。こんな綺麗な断面、魔法加工が得意なエルフだってそうそう出来ないもの。」



どうやらソフィアは勘違いをしている様だ。

水晶の結晶から浩二が切り出して来たのだと思っているらしい。



「ごめん、説明が足りなかった。それは俺が砂漠の砂(・・・・)から加工したんだよ。」



と、浩二が補足説明をする。

途端、見開かれるソフィアの瞳。



「え!?ちょっと待って、コレをコージが砂漠の砂から作ったって言うの?」


「うん。ナオが前世の記憶から砂漠の砂は85%が石英…水晶だって思い出してさ、試しにやってみたら…」


「コレが出来た…と?」



掌に乗せた石英ガラスをトントンと指で叩きながらソフィアが言う。



「そう。土魔法で…案外簡単に。」


「…この純度の水晶が…砂漠の砂の85%…」



額を押さえ首を振るソフィア。



「その水晶…あっちでは石英って言うんだけど、その石英から作った石英ガラスってのがあってさ、無色透明かつ熱膨張率が凄く低くて真っ赤になるまで熱して水に放り込んでも割れない丈夫なガラスなんだ。」


「コレがその石英ガラス?」


「そう。ただ、石英のみを寄り分けて純度を上げなきゃここまでの透明度にはならない筈だ。」



「そう。」と呟いた後少し考える素振りを見せたソフィアはゆっくりと口を開いた。



「…一応、この世界にもガラスは有るのよ。水晶ガラスって言ってね、水晶の結晶や細かい水晶の欠片を熱して引き伸ばして使うんだけど…ここまでの透明度は実現していないわ。」


「しかも、原料となる水晶の結晶がそれ程産出されていないから…でも、まさかあの砂漠の砂の85%もの量が細かい水晶だったなんて…」



驚きを隠せないソフィア。

不毛の地であり、なんの産物も期待出来なかったあの土地が、まさかのガラスの一大生産地になろうとしているのだ。


ガラスの需要は決して低くは無い。

一部の建物などには窓などにガラスが使われている。

しかし、生産量やコストを考えると決して安いものでは無いのだ。

言ってしまえば、水晶と言う宝石を窓に嵌め込んでいるような物なのだから。


それらもこのコージの作った石英ガラスに比べれば…いや、比べるまでも無い。

この透明度で…この正確な作り。

見せれば金に糸目をつけない者も少なくないだろう。


そして、今の所これを加工出来るのはコージのみ。



「ねぇ、コージ?」


「ん?」


「この石英ガラス…だったかしら?これってどんな形にも加工出来るの?」


「あぁ、そんなに難しくないよ。今ソフィアが持ってるその塊も、大体1700度位で加熱すれば誰でも自由に形を変えられるよ。」


「…そう。」



顎に手を当て真剣な表情で思案する事数分。

思い立った様にソフィアは口を開いた。



「ねぇ、コージ。」



□■□■



「浩二!おかえりー!」


「あぁ、ただいま。」



時間にして1時間弱だろうか?

暇だったのだろう、浩二の姿を見て直ぐに飛びついて来た。



「ソフィアちゃん、なんて言ってた?」


「あー…それなんだけどな…」



浩二は少し間を置いて言葉を続けた。



「石英ガラスをドワーフ領に売る事になったよ…」


「へ?」



ナオの素っ頓狂な声が響く。


どうやら、この砂の大地が少しづつ浩二の味方を始めた様だ。

読んでいただきありがとうこざいます。

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