闇の贄(前編)
投稿が予定より半日以上も遅れてしまいました。読んでくれている人達には迷惑をかけてしまい、申し訳ないな~と思っております。
キンッキンッキンッ
金属同士を打ち合わせる音が響く室内は、炎を上げる炉がいくつもあるせいで、仕事中はいつ来ても汗が湧き出してくる程の温度であった。そんな環境でも、鍛冶を仕事にしている男達は一心不乱に鎚を赤く熱した鉄に打ち下ろし続けている。そんな直向きな情熱が、この工房の製品への人気を生み出しているのだろう。そんな事を考えながら、職人と言うには若い人影が、目の前に居るこの工房の親方の返事を待っていた。その人影は制服姿のダスクで、自分の都合で仕事の予定を変更させてもらうという目的を心苦しく思っていたのだが、目の前の親方はほとんど考える事も無く数度頷くと、ダスクの顔へ厳しくも温かな視線を向けてくる。
「わっはっはっ、そんな心配そうな顔にならんでも大丈夫だぞ。
週末に入れない代わりに、今週は午後から何日か来れるんだろ?
だったら気にするな。本業を疎かにしてないなら俺も固い事は言わないさ」
そう言った親方は巨漢であり筋肉質でもあるので、痛いくらいの力でダスクの肩をバンバンと叩いてくるが、当のダスクは親方の答えに安心した顔で笑みを浮かべており、普通の人なら吹っ飛びそうな衝撃でも少しもグラつく事はなかった。
「ありがとうございます。それでは明日から何度か来ますので、この辺で失礼します」
「おう、頼んだぜ。お前は腕は確かだし、期待してるからよ」
「はい。週末の分まで頑張りますね」
深々と頭を下げたダスクは外へと向かい、見送る親方へ出入り口でもう一度礼をしてから扉を通る。その瞬間、待ってましたとばかりに掛けられる声があった。
「話が長いよ~。待ってる間にボクのお腹と背中がくっついちゃいそうになったよ」
「ごめん、ごめん。何か美味しそうなモノがあったら買って帰ろうか、黒炎」
学院の授業が全て終わってから来たので、親方と話しているうちに辺りは暗くなっており、会話の相手もその暗さに紛れそうになっている。それもそのはずで、黒炎自身も自慢に思っている全身の毛皮は艶やかな黒色をしているのでこの状況では保護色になっていた。最初は紅い瞳を不満そうにダスクへ向けていたが、すぐに嬉しそうになって尻尾をブンブンと振り始める。
「それいいねっ。ほらっ、早く行こうよ」
「分かったよ。待てって、先に行ってもしょうがないだろ」
大通りの方へと走り始める黒炎に、ダスクは見失わない様に慌てて追いかけながら、どうして週末の仕事を別の日に変更する事になったかを思い返していた。
毎日の日課と朝食を済ませたダスクは、黒炎と学院長室で別れた後、クラスの教室の前へと来ていた。金髪と銀髪と銅色の髪の三人組が毎朝の様に言ってくる嫌味には正直慣れてしまったが、周囲がなんともいえない空気になるのは、他のクラスメイトにも悪いなと思っていた。今日もまた同じ事が繰り返されるのだろうかと思いつつ、普段通りに扉を開けて教室へと入る。
「おはよう」
誰からも返事は無かったが、唯一少し離れた席から一人の女生徒が笑顔で手を振ってくれる。そんないつもと変わらないフローラルの様子に、さっきまで話していたらしい彼女の友達の女生徒も軽い会釈を送ってくれる。それを見たダスクは、今日はまだ三人組は来ていないのかと思ったが、周囲の生徒がある一点へ向ける訝しげな視線を追ってみると、既に来て着席しているのが見えた。
「?」
自分が入ってきても何の反応もしない三人組の様子に、ダスクも不思議に思うが、担任の教師が入ってきたので慌てて自分の席へと向かっていた。授業が始まっても三人組の様子は変わらず、その顔には目の下に濃いクマが浮かんで頬もこけていたので、心配した教師が声を掛けるが、その度に何故か怒り出すので、最後には諦めて気にしない事にしていたようである。午前の授業が全て終わるやいなや、フラフラとした足取りで三人組は教室から居なくなってしまった。それを見たフローラルがダスクの席まで来ると、不思議そうな顔を向けてくる。
「あの三人組ったらどうしちゃったのかしら?いつもと違って大人しいし、ダスクにも反応しないし」
「目の下にクマがあったから、きっと疲れてるんだよ。あそこまでくると何だか心配だな」
「まったく、お人好しなんだから。ふふっ、でもそういうトコが良い所よね」
「別に怒っていない訳じゃないよ。ただ、いつもと違うから気になっただけだよ」
「そういう事にしておいてあげる。それじゃあ、ウィリアムが来たら黒炎を迎えに行きましょ」
「しておいてあげるって……」
ガラッ
その時、ダスクの呟く声を掻き消す様に勢い良く扉を開けて入ってきた人物は、まさかフローラルの言葉に合わせたのではないだろうが、二人が待っていたウィリアムであった。
「皆の者、待たせたな。今週のミッションの詳細を貰ってきたぞ」
「計ったみたいに登場したわね。まさか外で登場の機会を待っていたの?」
「む?何の事だ?さあ、昼食に向かおうではないか」
「そんなわけないか。そうね、早く行きましょう」
その言葉に、ダスクはまとめてあった荷物を持ち上げると、教室の扉へと向かうフローラル達を追いかけて小走りになっていた。
学院長室で黒炎と合流したダスク達は、昼食とミッションの確認の為に我が家へと向かう。その背中を見送った学院長が少し心配そうな顔をしながら何かを思案している風に、傍らで仕事をしているセシリアには見えていた。
「あの依頼が気になるのですか?」
「うむ。彼等を指名してきたのもそうだが、依頼主の署名があやつだからな」
「子供がそうだからといって、親も同じとは限らないのでは?」
「残念ながらあの家は筋金入りなのだよ」
「なるほど。苦労しそうですが、あの子達を信じましょう」
「ほほう、セシリアくんがそういう事を言うとは珍しいのぅ」
「そんな事は……どうなのでしょう?意識した事はなかったのですが」
「個人的に心配するのは良い事だよ」
「なるほど。覚えておきます」
揃ってダスク達の出て行った扉の方へと視線を向けると、色々と思うところがあった二人であるが、本人達次第だと結論付けたらしく、すぐに視線を手元に戻して自分の仕事を片付け始めた。
我が家へ到着したダスク達は、ダスクの作った昼食を食べながらミッションの話をしていた。今日の昼食は、東方の調味料を使った鶏の照り焼きで、自家製のマヨネーズを添えた生野菜と一緒に食べると食が良く進む。
「今日も相変わらず美味しいわね。自分で作る気が無くなるわ……」
「うむ、余も満足しているぞ」
「口に合って良かったよ」
そんな事を話しているテーブルから黒炎に視線を向けると、聞く必要も無い位、いかにも美味しそうな様子で勢い良く食べている。
「今回のミッションってどんな内容なんだい?」
「それがね、今回は週末一杯を使って、王都から離れての調査依頼よ」
「へ~、そういう依頼もあるんだな。詳しい事は書いてあったのかい?」
「書いて有るわよ。場所が場所だけに、依頼主がその場で待つっていうのが難しいからね」
「そうなんだ?」
「ええ、調査内容は再開発予定の廃村の調査ってなってる。
廃村っていう事は人が居なくて何も無いって事だから、宿屋や食事処も無いでしょうね」
「なるほど。そうなると野営の準備とかも必要なのかな」
「そうね。野営と言っても、天幕なんて大掛かりな物を持って行けないから、良くてテントかしら」
「そういえば、二人は野営とか野宿をした事ってあるのか?」
「私は出会ったあの時くらいかしら。いつもは日帰りだったから」
「余は野営をした事はあるな。父上の演習に付いて行った事が有るぞ」
「ふむ、ローラはほとんど無しで、ウィリアムは本格的過ぎて無いのと同じか」
慣れない野宿は負担がかかるので、ミッションに支障が出てくるかもしれないと心配したダスクは、良い解決策が無いか考え始めたが、食事を終えて満足そうに尻尾をゆったりと振る黒炎が近付いてきて、ダスクを止める風に口を開く。
「心配してもしょうがないんじゃないかな~。そういうのもまとめて実習なんじゃないの?」
「それもそうか。
それじゃあ二人は野営用の装備を用意しておいて。テントと毛布あたりが有れば大丈夫だと思うよ」
「分かったわ。学院に申請すればテントは貸し出してくれるはずだからやっておく。
ダスク達は必要ないの?」
「うん。僕達は野宿する時にいつも使ってるやつが有れば大丈夫だから」
「了解。二人分の申請をしておくわ。ウィリアムもちゃんと自分で持って行くのよ」
「心得た。なんだったらローラの分も持ってやろう」
「遠慮しておくわ。さっき黒炎が言ってたみたいに、こういうのも含めて実習だものね」
「二人共、普段やらない事は慣れてないから結構疲れるよ。
途中で疲労を感じてきたらすぐに言ってくれ。テントなんて数人分持ってもほとんど変わらないから。
二人には常に動ける状態で居て欲しいし、役割分担以上に道中で少しでも鍛えたいからね」
「分かったわ。その時は遠慮なく頼らせてもらうわね」
「余もその時は遠慮はしないようにしよう。然らば自分の役割は必ず果たしてみせよう」
「ボクは側で応援しながら、まわりから何か感じたらすぐに知らせるね」
「こんなところかな。他に何か話し合う事って有るかな?ローラ」
「とりあえず大丈夫だと思うわ。週末までまだ日にちは有るし、何か有ればその時言えば良いと思う」
「余もそれで良いと思うぞ。余裕を持って動いて行こうではないか」
頷き合っているダスク達を眺めていた黒炎であったが、ハッとした様子で少し焦ったように三人の前に出ると、皆の注意を引きながら口を開く。
「待って、一番大事な事を忘れてるよっ」
その言葉に、何かあったかと考え始めたダスク達であったが、特に重要な事を忘れているとは思えなかったので、不思議そうな表情で黒炎の顔を見る。
「大事な事って、そんな重要な事を忘れていたっけ?」
「そうだよっ、それを忘れたらボクもそうだけど、みんなも絶対に困るよ」
「はて、そのような大事な事を忘れておったかな?」
ダスクとウィリアムは思いつかなかったようであるが、フローラルは黒炎の言葉ですぐに気が付いたようで、とても可笑しそうに笑いを堪えていた。
「それで、何を忘れているっていうんだ?黒炎」
「そんなの食料のコトにきまってるじゃないかっ」
「は?なるほど、黒炎が一番大事って言うなら食事の事以外に無いか……。
って、重要といえば重要だけど、食料くらいは言わなくても忘れないって。なあ、二人共」
「え?どうなのかしら。お弁当があれば大丈夫?」
「なるほど。食料も準備せねばならないのだな。ふむふむ、勉強になるな」
二人の答えに呆れたような顔になるダスクであったが、普段から旅をしたり、すぐには食料が用意できない状態になった事が無かったら、そういう答えになってしまうのだろうと考え直す。
「とりあえず、保存食をいくらか準備しておいてくれ。何かあった時の保険にしたいから。
普通の食事は僕が食材を用意していくから心配しなくてもいいよ」
「ごめんなさい、そういう事に疎くて。それじゃあ、その事についてはよろしくね」
「うむ、宜しく頼む」
「気にしないでいいよ。それより、黒炎には感謝しておいた方がいいな。言ってくれて助かったよ」
「あははっ、役に立ってよかったよ。それに、ボクも食事抜きにならなくて助かったからね」
黒炎らしさに笑顔になる一同であったが、そのらしさのおかげで食料の足りなくなるような状態にならなくて済みそうなので、ダスクは内心安堵の息を吐いていた。
食事が終わりダスクの片付けを待って我が家を出た一同は、途中で別れてそれぞれの専門の授業へと向かい、それぞれ身体を動かしたり頭を使ったりしていた。
今日も終わった後に実技の教師と模擬戦を行ったダスクは、戻りながら今のうちにやっておく事がないかと考えながら歩いていた。
「何か忘れている事があるような気がするんだけど……」
「忘れてるコトね~。そういえば週末って何かなかったっけ?」
「週末……あっ、そうだ、仕事は毎週末じゃないか。ちゃんと親方に言っておかないとマズイな」
「そうだね。最初に試されたくらいだし、黙って休んだらクビになっちゃうかもしれないよ」
「助かったよ。今日は黒炎に助けてもらってばっかりだな」
「あはは、気にしないでいいって。ボクにも関係ないってわけじゃないからね」
笑顔になったダスクと、尻尾を嬉しそうに振る黒炎は、取り留めの無い事を話しながら我が家へと戻り、空を見上げたダスクはそれほど時間に余裕が有る訳では無いと判断して、そのままの格好ですぐに工房へと向かった。
その後は冒頭の場面へと移り、無事に親方の許可を得たダスクは、学院の授業を受けた後に仕事に出掛ける毎日を送り、あっという間に実習の行われる週末へと日付は変わる。
早朝の空は雲一つ無く、実習に出掛けるには絶好の天気だと思いつつ、毎日の日課を終わらせたダスクは、井戸水で汗を拭って着替えてから身体の各所を伸ばしていた。初めての遠出をするミッションに、どんな事が起きるのか、不安よりも期待の方が大きかったので、今日までの一週間が楽しみでついつい浮ついた気分で過ごしてしまっていた。最初は実技の教師と親方に注意されていたが、そんな状態でもほとんど変わらぬ成果を出すダスクに感心しつつ諦め、すぐに何も言わなくなっていた。空を見上げて深呼吸をするダスクの後ろから、呆れたような声が掛けられる。
「今日は遠出するんだから、やめとけばいいのに」
「鍛錬は毎日やるからいいんだよ、黒炎」
「そういうもんかね~。まあいいや、早くご飯食べようよ」
「そうだな、出発までそんなに時間が有るわけじゃないからな」
暗くなってからだと調査に支障が出てくる為、現地に早目に到着しておきたいので、出発もいつもの始業時間よりもだいぶ早く、集合場所の正門前には早朝と言って良いほど早く集まる事に皆で決めていた。黒炎を促して家に入ったダスクは、簡単な朝食を作って黒炎と一緒に食べた後、片付けに加えて念入りに火の元を点検して出掛ける準備をする。戸締りをしてから装備を整え、準備をしておいた荷物を持って家を出て施錠をする。ダスクの背嚢には全員分の食材が入っているので、王都に来る時よりも大きく膨らみ、その傍らを歩く黒炎の背には保存食の入った小振りの背嚢が背負われていた。少し早目に出てきたので、集合場所の正門前には守衛の姿以外はまだ見えない。ダスクは顔見知りになっていた守衛と取り留めの無い話をしながら、近くで居眠りを始めた黒炎を眺めていた。
「お待たせ~」
「待たせたな」
待ち人の声が聞こえてきた方へと視線を向けると、予想以上にこの短い旅が大変なんじゃないかとダスクは思わされる。フローラルは野営用の装備を除けば荷物は一つだが、それが何日間もかかる旅行に持っていくような大きさの鞄であった。ウィリアムは何故か召使のような人物が、これまたフローラルよりも長期の旅行に必要な程の荷物が入りそうな、複数の鞄を持って傍らに立っていた。呆れてモノも言えなくなったダスクは、一つ溜息を吐いて毅然とした顔で二人を見る。
「とりあえず、荷物をもう少し減らしてきてくれ」
「えぇ~、女の子には色々と必要な物があるのよ」
「うむ、余が貴族として必要と思った物を用意したのだ」
「い・い・か・らっ!
普通の旅行でもそうだけど、戦闘職だったらそんなに荷物があったら動きが制限されて駄目だよ」
「もぅ、分かったわよ。ちょっと待ってて、荷物を減らしてくるから」
「ふむ、あい分かった。一旦部屋へ戻るぞ」
「その人は連れて行けないからな、ウィリアム。自分一人で持てる量に減らしてくれよ」
「むむ、了解した。なんとかしてみせようではないか」
野営用の装備をその場に置いた二人は、寮の自分の部屋へと戻っていった。その背を見送ったダスクは疲れたような顔をしていたが、そこに近付いてきた黒炎は楽しそうな様子で尻尾を振っている。
「あはは、おもしろいよね二人とも」
「笑い事じゃないんだけどな。なんかウィリアムと一緒に来た人にも睨まれるし」
「まあいざとなったらダスクが荷物を持ってあげればダイジョブでしょ」
「それはそうなんだけど、やっぱり実習だからある程度は一人で持てる荷物じゃないとな」
「なるほどね~」
そんな話をしているうちに、それほど待つ事無くフローラル達は戻ってくる。それぞれが持つ荷物はそれでも大きめであったが、なんとか許容範囲に収まっているとダスクは判断する。もっとも、ダスクの荷物はそれらの軽く倍の大きさはあった。やっと出発できる状態になった一行は、正門の受付で実習へ出発する旨を伝えて外出の許可を貰う。応援の言葉をくれた守衛に見送られたダスク達は、早朝の太陽を眩しく思いながら、王都の東門へと向けて足を踏み出した。
すでに人や荷車がたくさん中央通りには行き交っており、いつものように黒炎を肩に載せて歩くダスクの様子に、フローラルは微笑ましそうに眺め、ウィリアムは面白い物を見ているかのような顔になっている。東門から出る時には学生証が通行手形の役も兼ねてくれたので、衛兵に止められる事も無く順調に王都から出る事が出来た。
目的の廃村は、このまま半日ほど街道を東に進んだ後、街道の南側に平行して流れる大河アヴァストに北の山から流れ込む川と街道が交わる場所から、その川に沿って北東へと続く道を辿って森を抜けた所に有るらしく、以前は川の流れを使って木材を運ぶ集積基地であったらしい。しかし、突然の流行り病で村人が全滅してしまったので、病魔が落ち着いた後も長い間再開発の手が入らず、忘れられ風化してしまったのである。今回の依頼は、その村を再開発する為の下調べで、大工等の職人が入る前に、野盗が隠れ家に利用していないか、猛獣が棲みついていないか等を調べ、可能ならそれらに対処するのが主な目的になっている。
太陽が一番高い位置になっても、未だに王都が見える距離しか進んでおらず、ダスクは少し焦りを感じていた。このペースのままで歩いていると、目的地に到着するのが暗くなってからになってしまいそうだと予想出来たからである。昼食を兼ねての休憩を取る為に、近くに生えている大木の陰に向かいながら、どんな風に伝えようかと考えていた。
「お昼は私が作ってきたから遠慮しないで食べてね」
荷物からバスケットを出して広げたフローラルは、中からハーブを使って味付けをした鶏肉や卵が具のサンドパンを取り出して並べていくと、黒炎の分も食べやすいように浅い器に置いてくれる。昼食を作る時間がもったいないと思っていたダスクは、その言葉に内心助かったと思いつつ、笑顔でフローラルに礼を言う。
「ありがとう、ローラ。全員分だから大変だったんじゃないか?」
「そうでもないわよ。多く作る分にはそれ程手間は変わらないし」
「これは美味いな、見事な料理だ。さすがは、我が愛しのローラだな」
「はいはい、それはいいから。お褒めの言葉だけ貰っておくわ」
「やっぱりローラの料理はオイシイな~」
「ふふっ、ありがと。黒炎みたいに素直に言ってもらえると嬉しいわ」
それぞれの言葉で自分の作ってきた料理を褒められたフローラルは、本当に嬉しいと分かる笑顔になっていたので、ダスク達もつられるように笑顔で楽しく食事をする事が出来た。これまた同じくフローラルの淹れたお茶で一服した後、ダスクは食事前に考えていた事を提案しようと、一人だけ立ち上がって皆の視線を集める。
「みんな、ちょっと聞いてもらっても良いかな」
「何かあったの?」
「あったというか、このペースで歩いていたら目的地に到着するのが夜になっちゃいそうなんだよね」
「えっ、それってマズイ……わよね?」
「森を通るし、明るいうちに安全も確認しておいた方がいいかもしれない」
「ふむ、確かに安全の確認は必要であるな」
「この後は僕が二人の野営の装備を持つから、午前中よりもペースを上げて欲しいんだ」
「ん~、出来れば頼らず行きたかったけど、そういう事ならお願いするわね」
「大儀であるな。余もそれに応えられるように努めるとしよう」
「良かった。それじゃあサクサク行こうか」
「おっけ~」
そこからは荷物が増えても尚、一番早いダスクのペースに合わせるようにしながら歩いているうちに、ある程度は午前の遅れを取り戻す事が出来たらしく、前方に大きな石造りの橋が見えてくる。川を木材の運搬に使う為に、橋と川面の距離は離す必要があったせいか、街から離れた場所に有るにも関わらずとても立派な造りをしていた。その橋の手前に川に沿って北東に向かう道がかすかに見えている。長い間通る者が居なかったせいで、道には雑草が生えており、ほとんど分からなくなっており、自分以外の者がこの先に進むのは苦労しそうだとダスクは大きく息を吐く。表情のほとんど変わらないウィリアムは分からないが、フローラルは肩で息をしながら、不安そうな顔で目の前の悪路とその先の森を見ていた。
「いつも持ってる薬草の入った鞄以外は僕に渡して、ローラ」
「ふぅ、えっ、でも……」
「これも役割分担だよ。君にも動ける状態で居て欲しいからね。
悪いけど、ウィリアムはそのまま自分の荷物を持っていてもらうよ」
「うむ、心得た」
「はぁ、ごめんね。それと、ありがと。
荷物が増えても全然平気だからって、ほとんど持ってもらっちゃってるのに……」
「いいって、僕にはほとんど影響が無い位の重さだよ。
これから森に入っていくから、前に使った燃料になる苔みたいに役に立ちそうな草を探しといて」
「分かったわ。助けられた分、それ以上に私の専門で助けられるように頑張るね」
「期待してるよ。それと、黒炎はローラに付いていてくれるか?」
「いいよ~。ローラの事はボクに任せておいてよ」
「ふふっ、ありがと、黒炎。頼りにしてるわ」
話がまとまったところでフローラルから荷物を受け取ったダスクは、雑草を踏んで道を作りながら先頭を歩き出す。そのまましばらく進んでいくうちに、森の入口へとさしかかるが、まだ夕陽になっていないにも関わらず、その先は光が遮られて暗くなっており、これまでの道中とは違って注意をしながら進む必要がありそうだった。
「森に入ったら暗くなるから、各自でランプを持って進もう」
「うむ、心得た」
「分かったわ。ランプを出すからちょっと荷物いい?」
「あ、そっか。ちょっと待って……はい、どうぞ」
「ありがと……はい、申し訳無いけど、もうしばらく荷物お願いね」
「了解。ここからは注意するのは、野盗もそうだけど、毒蛇や野犬とかの猛獣だよ。
何か気になる事があったら、すぐに知らせて。個人じゃなくてチームで動く事になるからね」
「りょ~かいっ」
その黒炎の言葉に同意するように頷いた一同は、再びダスクを先頭にして森へと足を踏み入れる。普段から人が訪れない森は色々な動物の鳴き声が聞こえてきて不気味な雰囲気を出しているが、日が当たらないおかげで以前使われていた道をかろうじて辿る事が出来そうであった。ダスクは先頭で道を見失わないように歩くのと同時に雑草を踏んで道を作り、次を歩くフローラルは周囲を観察しながら時折薬草を摘みつつ続き、黒炎はフローラルの事を気にかけ、最後尾のウィリアムが周囲を警戒するという役割分担が自然に出来ていた。そのまましばらく歩いたところで木々の間から差し込んでくる光が夕焼け色に変わっているのに気が付いたダスクは、フローラル達の様子を確認して最後の休憩を取る事に決める。
「結局、到着するのは暗くなってからになりそうだから、最後の休憩を取っちゃおう」
立ち止まったダスクの言葉に、フローラルとウィリアムは大きく息を吐き出し、その場に荷物を放り出して座り込む。手早く火を熾したダスクは、フローラルに疲労回復の茶葉を出してもらって人数分のお茶を淹れると、カップに注いで皆に手渡していく。お茶を口にしたフローラルとウィリアムは、ホッとした様子でお茶の入ったカップを両手で持っていた。
「ふぅ、思っていたよりも大変なのね」
「うむ、余も少し楽観が過ぎたかも知れぬ」
「慣れない事だと思った以上に疲れるもんだよ。二人共よくやってる方だと思うけど」
「そうは言ってもねぇ、黒炎はともかく、ダスクが平気な顔で居る事が信じられないわ」
「うむ、ローラの言う通りだ。その体力は見事なものだ。ここまでの者は、余は数人しか知らぬ」
「はははっ、子供の頃から毎日鍛えてたら、いつの間にか、ね。
それよりも、残りは休憩無しで行くから、キッチリと体力回復しておいてくれると助かる」
「うむ、心得た」
「ええ、特製のお茶も飲んだから大丈夫よ。少し休んだら……あら?あの草は……」
「どうしたんだ?何か気になる事でも?」
「この辺では珍しい草に、良く似てるのがあったから、ちょっと見てくるわ」
そう言って立ち上がったフローラルは、ダスクの返事も待たずに何かを見付けた場所へと歩いて行く。ダスクは念の為に黒炎へと視線を向けると、分かっているという風にフローラルを追い掛けて行った。何だろうなと顔を見合わせていたダスクとウィリアムであったが、薬草の知識の無い二人には全く分からない事なので、戻ってきたフローラルの説明を待とうと視線で会話をしていた。付き合いがそこまで長くないにも関わらず、何故かそういう事が出来てしまう二人であった。少しして、黒炎に付き添われて戻ってきたフローラルの手には、青白い色の見た事の無い植物が握られている。良く見ようと思ったダスクが立ち上がって声を掛けようとした瞬間にそれは起こった。
シュッ
風を切るような音と共に何か鋭利なモノがフローラルに向かって飛んでくる。それを察知したダスクは、全身鎧の重さを物ともせずに素早く踏み込むと、フローラルを抱え込むようにして飛んでくる物が狙っている場所を左手で護る一方、右手で飛んでくる物を空中で掴み取る。その様子はまるで抱き締めるような格好だったので、何が起こったのか気が付かなかったフローラルの顔は、恥じらいで真っ赤になっていた。それに気付いていないダスクは、周囲を窺ってからフローラルを開放し、同じ様に立ち上がって周囲を警戒しているウィリアムへと視線を向ける。
「見えた?」
「いや、投げた後にすぐ動いたのか、確認出来なかった」
「何者だろう?野盗の類かな」
「警告かもしれぬ。追撃を仕掛けてこなかったからな」
「どうする?」
「貴族として放ってはおけぬが、今は実習中で危険は冒せぬからな」
「そうだな。様子を見つつ、本格的に襲ってきたら退治する事にしよう」
「うむ、とりあえず油断はせぬようにな」
「了解」
最初のうちは早くなった鼓動を落ち着かせようとしていたフローラルであったが、ダスク達の真剣な会話に加え、ダスクの握っている見慣れない漆黒の刃物を見て、自分が命の危険に襲われたらしいと気付かされ、先程までとは全く違う理由からの恐怖で鼓動が乱れてしまう。ダスクが居なかったら死んでいたかもしれない状況に、勝手に震え出してしまった身体をギュッと自分で抱き締めるが、簡単には震えは収まってくれない。恐怖に囚われ涙が出そうになったフローラルの脚に、何か暖かいものが触れてきてハッとした彼女が視線を向けると、黒炎が心配そうな様子で自分の顔を見上げているのが分かった。その瞬間、触れていた暖かさが心にも届いて、思わず黒炎を力一杯抱き締めてしまう。
「ダイジョブだよ、ローラ。ダスクが絶対護ってくれるから。それにボクとウィリアムもついてるよ」
「……ありがと、黒炎。今も護ってくれたから、これから先も大丈夫よね?」
「うん。ローラは大切な友達だからダイジョブだよ」
震えてる時に声を掛けようと思ったダスク達であったが、黒炎に任せておけば大丈夫だと判断して、周囲を警戒しながらフローラルが落ち着くのを待っていた。黒炎と話をして落ち着いたフローラルは、立ち上がってダスクへと軽く頭を下げる。
「危ないところを助けてくれてありがと、ダスク」
「気にしないで良いよ。僕達は友達だし、チームメイトなんだから当然だよ」
「うむ。肝を冷やしたが、ローラが無事で本当に良かった」
「心配してくれてありがと、ウィリアム」
少し強張っていたが、笑顔を浮かべる事が出来たフローラルの様子に、黒炎は嬉しそうに尻尾を振りながら皆を見上げる。
「これからどうするんだい?」
その言葉に少しだけ考えるそぶりをしたダスクは、真剣な顔になって皆の顔を一人一人見る。
「このまま実習を続けるか、諦めて帰るかの二択になるけど、皆はどうしたい?」
「ボクはダスクに付いて行くだけだよ」
「ふむ、余はダスクに任せる」
最後に黙ったままのフローラルの顔を皆が見詰める。色々な想いや葛藤があったようだが、目は力強く皆の顔を見返している。
「私は大丈夫。皆が居れば大丈夫だって分かったから。私もダスクに任せるわ」
「むぅ、絶対に護るって約束するけど、それでも危険な事に変わりないから。
全員、出来るだけ僕の側から離れないでもらうよ」
「ええ、そのつもりだったから。既に一度護ってもらってるし、断る理由は無いわ」
「うむ、心得た。出来るだけ自分の身は自分で護るが、皆がまとまっている方が良さそうではあるな」
「ダイジョブだよ。ボクは最初からそのつもりだったからね」
続行する事を皆で決めた一行は、周囲を警戒しながら改めて目的地へと出発する。フローラルは薬草の採取を中止し、先程襲われる前に採ってきた草は、大事そうに乾燥剤と一緒にビンに入れて鞄にしまっていた。それからしばらく歩いて木々の隙間から漏れる光が無くなったところで、目の前の森が拓けている場所に出る。夜の闇に浮かぶ廃村の様子は、ボロボロの建物のせいもあって、とても迫力の有る光景であった。いかにも何かが出そうな雰囲気に、そういうモノを恐れないダスクも思わず足が止まってしまう。
ヒューーーカタカタッ
生ぬるい風が吹いて、何かが揺れる音が聞こえた瞬間、腕につかまっていたフローラルが鎧越しにビクッとするのを感じたダスクは、こんな場所で突っ立っている場合じゃないと気が付き、今は誰も居ないであろう村へと足を踏み出していた。村の構造は単純で、川の側に木材置き場らしき場所が有る以外は、村の入口から村の中央を真っ直ぐに通る道に沿って両脇に建物が建っている。中央の道が行き止まりになる場所には教会らしき大きな建物があるが、他の建物同様に屋根が落ちてしまっており、十字架も朽ちてほとんど原形を保っていなかった。石造りの教会以外は倒壊の危険がありそうなので、ひとまずダスク達は教会へと向かう。不気味な村の雰囲気に、神聖な教会をとりあえずの拠点にしようと考えたからである。教会の残った壁に囲まれた空間に入り、少し壁から離れた場所に荷物をまとめて置いたダスク達は、これからどうするかを相談する為に、瓦礫で風が当たらない様にした場所に火を熾してそれを囲んだ。
「細かい調査をするのは明日に明るくなってからでいいと思う。
でもローラを襲った犯人の事もあるから、安全を確保する為に村を一回りしておいた方が良い」
「そうね、私もそうした方が良いと思う」
「うむ、それが良いだろうな」
「それじゃあ、みんな一緒に行こうよ」
「そうだな。分散しているよりも一緒に行動した方が危険も少ないんじゃないかな」
その言葉と共に頷き合った一同は、ランプを持って完全武装のまま教会を後にする。フローラルを挟んで左右にダスクとウィリアムが立ち、黒炎は周囲を移動しながら嫌な気配がしないかを調べる。端から崩れそうな建物を調べていくが、埃の積もり具合からは侵入者の気配は全く感じられず、道中の敵以外は気にしないでも大丈夫そうだと、皆の意見は一致する。見回りを終わらせて教会に戻ってきたダスクは、フローラルとウィリアムの疲労が見ただけでも分かってしまったので、夕飯を食べて早目に休んでもらおうと食事を作り始める。手早く干し肉と野菜のスープを作ったダスクは、一緒に持ってきたパンを添えて皆に配った。
「今日はさっさと夕飯を食べて休もう。とりあえず僕が不寝番をするから安心して寝て良いよ」
「ふわぁ、ごめんね。今回はその言葉に甘えさせてもらうわ」
「うむぅ、ここまで疲労を感じるとは思ってもいなかった」
「何度か同じ様なミッションをこなせばすぐに慣れるよ。
今晩の天候は良さそうだから毛布だけで大丈夫だと思う」
それから半分寝ながら食事を済ませたフローラル達は、寝る準備もそこそこに焚き火の側で横になって間も無く熟睡してしまった。その様子を苦笑しながら見ていたダスクは、黒炎のお替りをよそいながら、どこかでこちらの様子を窺っていると思われる、まだ見ぬ敵をどうするかを考えていた。
「ごちそうさま~、美味しかったよ。ダスクが一緒だと食事に困らないからいいね」
「食事の事だけかい。でも、黒炎はいつも通りでいてくれるから気分的には助かるな」
「何か考えていたみたいだけど、ローラを狙った嫌なヤツに何か仕掛けるつもりかい?」
「うん。危険はあるけど罠を張ってみようかなと」
「ボクはいいけどね。やるなら絶対みんなを護らないとダメだよ」
「大丈夫。それは約束するよ」
「それならいいんじゃないかな。それじゃあ、ボクは眠いから寝るよ」
「うん。護り易いように前みたいにローラの近くに寝てくれ」
「りょ~かい。じゃあがんばってね、ダスク。おやすみ~」
「おやすみ」
現在座っている場所から全員が自分の間合いになるように、皆に焚き火の近くで寝てもらったダスクは、正体不明の敵をおびき寄せる為に、兜だけ脱いだ状態で寝たふりをする。その場には安らかな寝息の音と、焚き火の薪が爆ぜる音のみが聞こえており、夜空の月が煌々と周囲を照らしていた。全員が寝ているのを確認するには長過ぎる時間が過ぎたところで、何かに押されるように空気が流れる。
ジャリッ
微かに地面を踏む音が鳴るが、ダスク達は誰一人動く気配が無いので、安心したらしい何者かが壁の影から姿を現す。漆黒のローブに全身を包まれた人影の数は三つも有り、罠を仕掛けたダスクが複数の敵が出てくる事を予想出来ていなかったら思わぬ反撃を受けるかもしれない、そういう可能性が出てきたのではないかと思われた。人影はダスク、フローラル、ウィリアムの三方に別れ、成功率を上げる為に一人一殺の構えでくるらしい。同じ武器を構えた人影が、同時に飛び掛るように脚に力を込めた瞬間、その殺気に反応したダスクの逆手に構えた大剣が背後の敵を壁まで吹き飛ばす。壁に叩きつけられた敵はピクリとも動かなくなり、それを見た残り二人は狼狽する気配を一瞬見せるが、自分の役目を思い出して目の前の獲物へと武器を振り下ろした。
ガッ
武器から手に伝わる手応えに、ローブの内部でニヤリとした笑みを浮かべるが、何故か軽くなった武器へと視線を向けた瞬間、驚きに動きが止まる。いつの間にか立ち上がったダスクが水平に振った大剣で、一度に二人の敵が持つ武器を破壊していた。聞こえた音は一度きりだったので、一度しか聞こえないくらいの速さで両方を叩き折ったのである。それを察した敵がひとまず距離を取ろうとするが、動きの止まった隙はダスクから見たら致命的なもので、最初の敵と同じ様に大剣の一撃で壁へと叩きつけられる。動かなくなった敵を見たダスクは、ホッとした顔で息を吐いてから、荷物に入れておいた丈夫な縄で三人をひとまとめに縛り、歩きにくくなるように足も縛っておく。
「こいつらの扱いは、皆の意見も聞かないと駄目かな」
そう呟いたダスクは、気持ち良さそうに寝ている皆を申し訳なく思いながら起こしていった。
「ふわぁ、良く一人で捕まえられたわね」
「うむぅ、見事であるな、ダスクよ」
「ふにゃ、もう捕まえたんだ?もうちょっと寝ていたかったな~」
それぞれ眠そうな顔で言いながらも、自分達を狙っていた敵に興味を覚えて、気を失っている三人を少し離れた所から眺める。
「あれ、この格好って前に王都で見た怖いヤツとおんなじかも」
「ああ、そういえばそんな事言ってたな、黒炎。でも、こいつらって大した事なかったぞ」
「じゃあ違うのかな~。確かになんにも感じないね」
「ふむ、全身をローブで覆っているとは、後ろ暗い事がある者らしいな」
「私は危うく殺されそうになったから、どんな顔をしてるか確認しておきたいわ」
「それじゃあ、フードを取ってみるかな」
そう言って敵の一人のフードに手を掛けたダスクは、ゆっくりと外してからランプの光で照らす。
『えっ、ええぇぇぇ!?』
その場に居る黒炎以外は、予想外の顔が出てきて驚きの余りにハモって大声を上げてしまう。嫌な予感がしたダスクは、他の二人のフードも外してその顔を確認すると、その予感が当たってしまい、出てきて欲しくない顔が出てきてしまった。ここに居るはずの無い人物がこの場所に居るという事よりも、自分達の命を本気で狙ってきた事に、一同は衝撃を受けて、しばらく何も考えられずに固まったままであった。
ダスク達の命を狙ってきた敵は何者だったのだろうか。予想外の展開に驚くダスク達であったが、これはまだ長い夜の始まりを知らせる開幕のベルでしかなかった。果たしてダスク達は無事にミッションを済ませて王都へと戻れるのだろうか。
楽しんで頂けたでしょうか。続きも早く読んで貰えるように頑張ります。




