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第五章 冒頭

 目の前には、只ひたすらに燃える村が広がっていた。


 焼け付く鉄のような赤い匂いと、人々の言葉にならない声、地響き。


 それは一瞬の内に広がった。


 幼子を引っ張っていた誰かの手はまだ握られたまま、力無く垂れ下がるのみ。


 泣いても叫んでも、この絶望が変わる事は無い。


 それだけは理解できた。


 だから、ひたすら眺めていた。


 かつて彼を産み、育ててくれたその二人を。


 月影村。


 地図から消えたその村の名前を知ったのは、それからずっと後になる。

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