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第二章 四幕

 ——天守閣。窓の縁に腰掛け、玄之丞は煙管をふかす。


 見下ろせば、硝之介が筒束を兵に分けながら場所を指差している。


 家臣達は銀二の話に頷いている。


 姫はそんな三人を、真っ直ぐな瞳で見つめる。


 そして瞳を伏せる玄之丞。

 その手がゆっくりと鞘を握る。


 芝はそっと姫の背に手を当て、ゆっくりと座らせた——。




 轟音。


 地響き。


 怒声。


 ……城が揺れる。




 雪崩れ込んでくる賊徒。


 四方で爆ぜる爆薬。


 銀二の手が空を指す。


 弓兵が矢を放つ。


 石垣を超える賊徒。




 城を眺めながら、榊と頭領は数人の部下を連れて湖沿いを歩く。



 

「姫様、危険です!城内にまで敵が!」

 家臣が息を切らせて天守に駆け込む。


 玄之丞はゆっくりと歩き出す。


 姫は駆け寄り、袖を引いた。


「芝がおりませぬ、一緒に……!」

 玄之丞は少し止まり、小さく頷いた。




 階下へ降りる。


 銀二の指示で兵が右から左からと賊を迎え、挟み、追撃する。

 囲み、追いやり、爆破する。


「はは、聞いてたより多いね。困ったな。」

 銀二は苦笑いを浮かべる。


 その横にそっと筒束を置きながら、硝之介は呟く。

「兵たちにも覚えの無い者が混ざっていると聞いた。……どうやら総力戦だな。」


 そして立ち上がると戦場を見詰め口を開く。

「特にあの灰色共は注意が必要だ……。」

「そうなんだよね、さすが、鍛え方が別次元だ。」


 二人は頷き、硝之介は筒を抱えて走り去る。




「凄い……まるで戦場を渡り歩いて来たかのようじゃ……。」

 姫は周囲を見渡し息を漏らす。


 その襟を玄之丞が引く。


「……え。」

 姫の眼の前を矢が通過した。


 玄之丞は再び歩き出す。


「……ありがとう……ございます。」

 姫は小さく呟くと、男の背に身を隠すように続く。




 城の裏、板塔婆の周囲を見渡す。


「……ここでもない。」

 姫は小さく俯くと、玄之丞の袖を引く。


「もしかしたら、あそこやも知れませぬ。」

 玄之丞は頷く。


 歩み出す二人の前に山賊が立ちはだかる。


「おっと……こんなとこで、とんだ手土産が手に入るとはな。」

 山賊は刀を抜く。


 姫は玄之丞の陰に隠れた。


 玄之丞は山賊の後ろを見ている。


「てめえ、どこ見てやがる。」

 山賊が振り返ると、家臣が二人。


「斬裂屋殿!姫を……芝殿をお頼み申す!」

 玄之丞は目を細めると、姫を連れてその場を後にした。

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