女性だけの会社12
男性にとって不快な内容が含まれている可能性があります。男性の方がこの小説を閲覧されて、気分を害されても、当方は一切責任を負いかねます。
本作品は純粋な空想科学小説です。フィクションであり、実在する人物団体名とは一切関係ありません。また本作品に描かれている科学技術のほとんどがフィクションであり、現実に可能になっているものではありません。将来可能になるかどうかは現在の時点では言及できるものではありませんが、いくつかは紹介、実用化してほしいと作者は切に願っております。
蓄電池が商品化できたことでほっとした赤城奈津子だったが、私的な懸案は深くはびこっている。会社を作ってからも母親の金の無心は続いている。それが徐々に額が増えてきている。奈津子は研究の区切りがついたところで、休暇を取った。
「お父さん、こんなところで飲んでいるんだ」
さも偶然を装って、居酒屋に出向いた。この店が父親の行きつけなのは、父親の携帯電話の移動履歴を見ればすぐにわかる。
「奈津子か……」
すぐにはわからなかった父ではあるが、しばらくすると思い出したように、そうかそうかといって笑い出した。父親と最後にあったのは、大学を卒業したことを家に報告した17歳の時。すでに十年の時が過ぎている。
「もう酒は飲めるんだろう」
父がビールを頼み、酌をしろと身振りで示す。
奈津子は基本的に酒を飲まない。飲めないわけではないが、好きではない。飲むふりをして、適当に調子を合わせる。そしてこっそり粉末の薬を父のグラスに入れた。
この薬、毒ではない。心療内科で患者をリラックスさせて本心を聞くための薬として開発されたが、効果が大きすぎてまるで自白剤のような効き目がある。それでさすがに使えなくて封印されたものだが、奈津子は製法をこっそり聞いて少量、製造していた。
「お兄さん、部屋から出てこないってお母さんが言っていたけど、いつごろからなの」
「さあ、もう五、六年は見てないな。音もしないから、今頃くたばってんじゃないか」
溺愛していた息子のことで、ここまでブラックなジョークが入れるものだと、奈津子は驚いた。それほどまでに、薬が効いているのか。それはかなり危ない。効果が大きいということは、身体へのダメージもまた大きいことを意味するからだ。奈津子は、奥のブースが空いたのを見て、父親をブースに誘った。父親の足元はおぼつかない。酒はテーブルの空き瓶の数からして、酩酊というところまで行っていないはずなのに、薬の影響か、これではすぐにつぶれてしまうだろう。早く、兄が今どうなっているか、確かなことを聞き出さないといけない。
「お父さん、それで本当にお兄さんの部屋に入ったことないの」
「あのドラ息子の心配ばかり、お前も母さんと同じでそればっかだな」
「でも私って、お母さんにあまり似ていないんだけどね」
「そりゃそうだ。あいつの産んだ子じゃねんからな」
父親は知りたくないことを口にする。うすうすそんなこともあるかもしれないと感じていた。兄からレイプされかかったとき、冷ややかだった母親の態度は、それを連想させる。でもそれが真実だと信じたくはない。でも、この自白剤の効果は抜群だ。
「じゃあ、私は」
「昔な、まだバブルのころで、キャバレーとかにも連れてってもらえたんだ。そこで多くの女と関係を持てた。いい時代だったなあ」
最悪な時代だ。
「ある日、その店の女が大きな腹をして、俺のところに来やがった。俺の子だという。嘘だろって邪険にしたんだが、絶対に俺の子だという。そして羊水の中から取ったという赤ん坊の細胞からDNA を取って、それと俺、彼女のDNA分析をした結果という紙を出してきた。どっかの研究所のものだ。俺にはその内容はわからなかったが、俺の子供である可能性が99.9999パーセントあるというものだった」
遺伝子解析での証明。それって、奈津子の頭が混乱した。
「でも私、お父さんとお母さんの子供ってなってるじゃない」
「ああ、昔からのダチが産婦人科をやっていて、その女がそこで出産して、出産照明を母さんが産んだと描いてもらったんだ」
奈津子は単に兄がいつから出てこなくなったのか、そして生きている動静が知りたかっただけだ。もちろん、母と似ていないことも気にはなっていた。そんなことを言えば、奈津子は父とも似ていないと思っている。私はいったい誰の子供だ。
「その女の人って、誰」
「知らないよ。お前を生んだその日のうちにいなくなった。店でも源氏名で、本名は誰も知らないっていうしな」
目の前が真っ暗になった。第一、三十年前にはそこまで特定できるほどの遺伝子解析は確立されていない。その女性がどうやっても、自分の子供を誰かに育てさせたかったから、そんな手の込んだ嘘をついたのだろう。できればもっとまともな家にしてほしかった。いや、まともな家だったら簡単に騙せられないだろう。女の目は確かだったともいえる。世間体を気にする父親が、私生児を認めるわけがないし、あの母親が父に逆らって奈津子を育てないと言い張ることもないだろう。奈津子は兄などどうでもよくなった。父を見ると泥酔して意識を失っている。もっと聞きたいことはあったが、これ以上薬を服用させると死にかねない。そして再度投薬しても、これ以上の情報を引き出せるとは思えない。
奈津子は携帯電話でタクシーを呼び、父親を病院に連れて行った。急性のアルコール中毒と伝えて、治療を施してもらった。血液検査でもしない限り、薬物は特定できないし、今の父親の症状はまさにアルコール中毒症なのだから、怪しまれる可能性は万に一つもない。
稚拙な文章ですが閲覧していただきありがとうございます。なるたけ時間をおかずに続きを掲載したいと思います。次の掲載をぜひ閲覧のほど、お願い申し上げます。




