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運命の令嬢は忘れられた予知夢を映す―ヘルバフォリア王国物語  作者: 天麻いち
第一部

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15. 幕間:ケーキセットに成績を添えて


 テスト終わりのある日。


「んー!美味しい!」


 私たちは、ドルキス・ウィータにケーキセットを食べに来ていた。

 もちろん、落第した罰ではなく、テストを無事に合格したお祝いだ。

 サリーのおかげで、私も無事及第点をとることができた。ギリギリではあったが。


「リアも食べなよ!甘くてとっても美味しいわよ!」


 サリーにせっつかれるままに、宝石のようなタルトにフォークを入れ、口に運ぶ。


「んー!」


 大きな声が出てしまった。慌てて周囲に頭を下げつつ、目の前のタルトを見つめる。

 上に乗った大粒のイチゴがとても甘く、中のカスタードはイチゴの良さを引き立てるような甘さ控えめで軽い舌ざわり。何よりタルトがおいしい。ほんのり香るバターとともにほろっと溶けるような触感。何個でも食べられそうだった。



「でも、毎回不思議なのよね」


 サリーが話しかけてくる。


「リアって地頭はいいのに、なんでテストはいつもギリギリの点数なのかしら」


 いつも及第点すれすれの私と違い、サリーは優秀なほうだ。完璧令嬢の名の通り、成績優秀、容姿端麗と全てを備えた自慢の親友だ。

 ちなみにエドガーは学年トップの天才である。自分ではそうは思っていないだろうが。自信がないのも考えものだ。私の点数を見てほしい。


「なんか、覚えられないんだよね」


 サリーの疑問に返す。

 興味がないことを覚えるのは苦手なたちなのだ。


 もったいないといいながらサリーはケーキを口に運ぶ。

 私も食べようと皿を見ると、さっきまであったはずのケーキはきれいさっぱりなくなっていた。いつの間に食べたのだ、私は。

 悲しそうな顔をする私にサリーは笑うと、いいことを思いついたかのようにぽんっと手を打った。


「じゃあ、次のテストで全教科十点ずつ上がったら、また来ましょう! 今度は私がおごってあげる」

「えぇー。そんなぁー」



 そして約三月後、その席に私たちはいなかった。

 寮では、一科目だけプラス十点に届かなかったことを無慈悲に告げる声と、私の悲鳴が響いたという。


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