表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
運命の令嬢は忘れられた予知夢を映す―ヘルバフォリア王国物語  作者: 天麻いち
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/26

12. 予知夢の持ち主


 一週間後。

 一年生の課題の日。氾濫の予知夢の日がやって来た。

 課題のグループは当日に決めるようで、ウィンクル様のペアが誰かまでは結局把握できなかった。

 予知夢の持ち主はわからないままだが、今は目の前のことに集中しなければ。


 ウィンクル領に着いた私たちは、頭を突き合わせて小声で最後の確認をした。


「俺たちは、特に被害が大きくなりそうな三か所に分かれる。サルビアは南側、ロメリアは東側、俺は北側だ」

「うん、そしてしばらく犯人の気配がなかったら、私たちはロメリアの方に向かって川沿いに調べていく、だったわよね」

「うん、大丈夫。私たちならできる」


 私たち3人は顔を見合わせて一つ頷き、それぞれ駆け出して行った。



「はあ、はあ」


 私は必死に走っていた。持ち場までが意外に遠い。日ごろから運動をしておくべきだった。

 小雨で足元がぬかるんでおり、泥が跳ねる。

 汗が滴る中、必死で森を駆けていくと、一気に視界が開けた。

 膝に手を当て、息を整える。


 そのとき、視界の隅に見えた。

 堤防に立つ黒い人影。フードで顔は見えないが、体格からして男のようだ。

 私がはっと頭を上げるのと、その人影がこちらを振り返るのは、ほぼ同時だった。

 

 バッチリと目が合う。


 私は思わず立ちすくんだ。

 動きたいのに、止めたいのに、思いだけが先走って体がついてこない。

 男も立ち尽くしている。左足をトントンと震わせたまま動いていない。


 私は歯を食いしばって、平静を装いつつ一歩ずつ引きずるようにして足を動かした。

 男はまだ動かない。

 男との距離が近づいていく。

 そのとき。


「そこで何をしている!」


 澄んだ声が響いた。

 はっと振り返ると、見覚えのある青年たちがこちらへ駆けてくる。

 一人は特徴的な猫っ毛。ヴィン・ウィンクル侯爵令息だ。

 そして、もう一人。彼とともに駆けてきたのは、黒髪に深い緑の瞳。


 第二王子ナイゲル・ヘルバフォリア殿下その人だった。


 思わず固まる。

 その間に、ウィンクル様が男に向かって駆けていく。

 男は一瞬びくっと固まったが、すぐに踵を返して逃げていった。

 しかし、そのときの私には、それを見送る余裕がなかった。

 殿下の瞳が私を射抜く。

 私は縫い付けられたように動けなくなった。

 二人が一緒にいるということは。


「第二王子殿下が予知夢の持ち主……?」


 小さく声に出すと、すとんと腑に落ちた。

 その感覚が、紛れもなく正解だと物語っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ