女騎士のパンツを借りる
マヨネーズが欲しい。でも、ポイントが足りない。
なら、やることはひとつ。
「ねえ、野生のくっころさん」
「な、なんだ」
「その剣で、私を斬ってくれませんこと?」
「はあぁぁッ!?」
女騎士が素っ頓狂な声を上げる。
「き、貴様、正気か!? 命の恩人を斬れるわけがないだろう!」
「いいから! マヨネーズのために必要なの!」
「マヨ……?! 何を言っている!」
「ほら、殺す気で! 首を狙って!」
私は彼女の手を取り、無理やり剣を握らせた。
そして自分の首筋に刃を当てる。
「や、やめろ! 私は騎士だぞ! 無抵抗の民を傷つけるなんて……!」
「民じゃない! 私は破綻者だ! 早くしろ!」
揉みあっているうちに、女騎士の手が滑った。
——ザシュッ!!
鋭い一撃が、私の首に入った。
「ああっ!!」
女騎士が悲鳴を上げる。
——バァァァンッ!!
砕け散る茶色い破片。
宙を舞う『ハタゾン』のロゴ。
「リバァァァァスッ!!」
私は叫んだ。
私の『ハタゾン・リバース(ダンボール)』が!
一撃で粉々になってしまった!
「ん……?」
ポイントが入ってない。
そうか、これは事故。害意がないからポイントもない!
「ひぃぃ……ごめんなさい、ごめんなさい……」
『女騎士の罪悪感を検知しました』
『500ポイントを取得しました』
あ、ポイント入った。
ナイス罪悪感。
女騎士さんにはきちんとお礼を言わないとね。
そういうところで育ちが出るのだ。
「感謝いたしますわ」
「私はなんてことを……一体この先どう罪を償えば……」
「おい聞けよ」
「かくなる上は私も……って、え? 生きてる? なぜ?」
女騎士が無傷の私を見て、涙目でポカンとしている。
うーん、説明めんどうだな。
私もまだ「なぜ?」状態なのに。
適当に答えとくか。
「育ちが良いので」
「育ちが?! 育ちで?!」
ともかくポイントはゲットした。
でも、再び「全裸」に戻ってしまった。
両手で、見えてはいけないところを隠す。
アフロディーテの絵画でこういうポーズあったよね。
マジもんアフロの、ヴィーナス誕生じゃん。美だね。
「また全裸になってしまいましたわ。どうしたらいいのかしら」
「どうって……」
斬られるたびに服がはじけ飛ぶなんて、社会人として終わってる。
でも、思い出した。
下着ははじけ飛ばないんだった。
ギロチンでも無事だった。
全然意味わかんないけど現実そうなのだ。私のスキルは下着に優しいらしい。
私はジロジロと女騎士を見た。
彼女の鎧の下。
布の服が見える。
その下にはきっと……
「お願いがあるのですけれど……」
私は、彼女ににじり寄る。
「貴女の下着、くださいません?」
「は……?」
「全裸の責任を取ってくださいませ」
女騎士が顔を真っ赤にして後ずさる。
「せ、責任……? いや、でも、騎士が下着を渡せるか! そんな破廉恥な……!」
「大丈夫ですわ。貴女には鎧と、立派な鎧下がありますもの。どれだけ動いても中身は見えませんわ」
私は彼女の硬い胸当てをコンコンと叩いた。
「中身がノーパンでも、外から見えなきゃセーフですわ。覗くまでパンツがあるかないかわからない……シュレディンガーですわ」
「シュレ……? へ、屁理屈を言うなァッ!!」
女騎士がハッとした顔で叫ぶ。
「鎧ならやろう! さっきのマントもあるだろ!」
「いらね」
破裂するからね。
「なぜだ?! 鎧で見えなくなるんだろ?!」
「屁理屈言うんじゃありません!」
私は全裸で彼女に飛び掛かった。
ポイント(マヨネーズ代)はある。
あとはパンツがあれば、私は社会人になれる。
「やめろ! 脱がすな! 鎧の留め具を外すなぁッ!!」
「うふふ、すぐに終わりますわ……」
「くっ……殺せぇぇぇぇぇッ!!」
森の中に、女騎士の悲痛な叫び(二回目)がこだました。
***
【今日の破綻ライフハック】
やあみんな! メシ子だよ!
洗濯をさぼって、下着の在庫が尽きる日ってあるよね!
今日のライフハックはこれ!
テッテレー!
★No.0006『見えない部分は存在することにしよう』
材料: 洗い忘れ、勢い、強めの解釈
効果: 一時的に平静を保てる(気持ちの上では装備完了!)
代償: 社会は納得しない
破綻度: ★★★★☆(理屈は通っても外では通らない)
下着がない日は、「見えないなら実質ある」で押し切ってみよう!
観測されるまでは、インナーの有無は自由だからね!
大事なのは布の枚数より、堂々とした態度だよ!
ただし普通にやべーから、できるだけ早く洗おうね!
それじゃあ、またね!
「高評価」と「観測(お気に入り登録)」よろしく!
ハタンキュ~(挨拶)




