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宮廷魔法使いリフィリーゼの救世譚〜馬車から捨てられた欠陥令嬢が、宮廷魔法使いの座についた理由。  作者: 碧井 汐桜香


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25.魔力の封印を解く鍵①

「終わったね。じゃあ、着いておいで」


 そう言ったイーリアに、リフィリーゼとイスランタは後を追う。階段を下り、角を曲がり、また階段を下ったと思ったら今度は登る。ぐるぐると王宮中を歩いたんじゃないかといつぬらい歩き終わったところで、イーリアが大きな扉の前で立ち止まった。


「ぜぇ、い、イーリア様、ここは、どこですか?」


 肩で息をするリフィリーゼを支えるように立っているが自分も肩で息をするイスランタと、リフィリーゼを見比べてイーリアはため息をついた。


「あんたたち、体力がなさすぎるよ。ほら、さっさと整えな」


 そう言って部屋の前のベンチに二人を腰掛けさ、イーリアが扉に向かってあれこれ魔力を通し始める。扉は淡く青色に輝き、最終的に鍵を差すことで扉は開いた。


「ほれ、行くよ」


 イーリアに声をかけられた頃、ちょうど息が整った二人があわてて立ち上がる。


「は、はい」


 バタバタと足音を立てて二人が扉を開けて進むイーリアの元に着いていく。


 茶色の木の床に白い壁、空にはガラスの天窓が調光の役割を担っているようだ。

 少し埃っぽい香りにリフィリーゼは顔を顰めながら首を傾げる。


「あれ? イーリア様。外は雨だったはずですよね? 今は晴れているんでしょうか?」


 リフィリーゼの言葉に、イーリアが天窓を指さして答えた。


「あぁ、あれかい? あれはいつも晴れなんだよ。調光の役割をサボられると部屋が暗くなっちまうからね」


 イーリアの言葉に、キョロキョロと周囲を見回していたイスランタが感嘆の声を上げた。


「おぉー。便利っすね」



 二人がキョロキョロと周囲を確認し終えるのを待って、イーリアが言う。


「ここは“修練の間”だよ。魔法使い専用のね。ここでは二人の魔力使用はあたしに管理されている。リフィリーゼ。危ないと思ったら強制的にお前の魔力を止めるよ」


 イーリアの説明にリフィリーゼは小さく頷いた。


「で、イスランタ。あんたはリフィリーゼよりはるかに魔力が少ない。そのままやられると数分も持たないだろう。だから、これを」


 そう言って肩から斜めにかけている大きめのポシェットのような袋から、イーリアは手枷のようなものや足枷のようなものを次々と取り出す。


「な、何すか。これ」


「おや? 初めて見るかい? これは魔力増強の魔術具だ。ほれ、つけてみな」


 イーリアに言われるがままイスランタが枷を身につける。囚人のようなその姿に、イスランタも最初嫌な顔をしていたが、全てつけ終わった頃には表情が明るくなった。


「お、これすげぇ。身体が軽い」


 ブンブンと手を振って素振りをするイスランタに、イーリアは子供を見るような視線を送る。ハッとしたイスランタが誤魔化すようにリフィリーゼに声をかけた。



「これ、すげぇぞ。リフィリーゼ。身体が軽い」


 イスランタの言葉にイーリアが何やら考え込んでいた様子から首を傾げた。


「あんた……それをつけるだけで身体が軽くなるなら、やっぱ魔力を封じられているとしか考えられないね。元の魔力量よりも今の量が少ないから、倦怠感みたいなのがずっとあったはずだよ……まぁあんたにとっては日常だから気づいているのか疑問だが」


 イーリアの言葉に驚いたようにイスランタが言った。


「え、じゃあ、世の人たちは普段こんなに身体が軽いってことっすか?」


 イーリアが小さく首を振る。


「いや、どちらかと言うと、もっと軽いはずだよ。それをつけたところであんたの魔力が戻ったわけじゃないからね」


 その言葉に少し顔を曇らせたイスランタが、慌てて誤魔化すように笑った。


「じゃあ、魔力を取り戻したら、俺、パワータイプになれちまうかもな!」




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