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おおきな山猫に別所透蘭は塔に挑む際持ち込んできていたべっしょ水産のちくわ(ロングver.)を与える。

くんくんと臭いを嗅いだ山猫は挙げた両手でその長い柄をつかみ、食べていく。

その様を見つめている間にも耳にきこえる話はつづいていき────


天月の間、この黄金が鈍く輝く中では目立つプレイヤー父親が用意した赤いティータイム席。

豪華な十二単の着物で腰掛けるのは舞台終わりの大物女優ではなく、


「────────ということだ、つまり天都テラムーンおよび月面裏に転がる不穏分子を綺麗にさっぱりに葬れてワラワは今気分が良い」



なんとカグヤ様はあっさりと裏の目的をプレイヤー父親たちに包み隠さず明かしてしまった。


美しく長い黒髪と黒目、エキゾチックな顔立ちはカップに目を向ける。

淹れた紅茶の香りをくゆらせかぎ、ひとつかるく傾けてのんでいく。

そしてまた彼をそのワラう黒目は見ている。


対面する渋顔の男は、衝撃的な内容を告げられた割には驚きは苦笑いの表情にとどめて紅茶には手も付けず言葉を返した。


「大方んなことだと思ってたぜ……だが俺が断っていたらこれは成立していないぞテンツキーのカグヤ様、魔女のアジトを乗っ取られてそこから今頃手に入れたブツか何かで月に押し寄せていたかもしれない」


「その心配をする必要もない。そちがヨイザを討った話をきいてな、あのような巨躯海坊主の化物相手にも決して逃げないむしろ喜んで刀を抜き振るう……そなたの狂った武をあてにしていた。ワラワは自由にチカラを振るえないのでな、フフ」


「まじかよ……狂った武ってのは心外でアテにするのもされるのもよく分からないが……ってその話しようは」


カグヤ様がチラリと目配せする方へあらわれた。


「あら、よく育った山猫(キャリー)海鷂魚(マントラ)ね、ふふふふ」


「魔女ここにいらして??? やはり話すところ捕まったフリ……なんでして」


別所透蘭がアマンダにもちくわを与え餌付けしていたところに、ふわりと神出鬼没にあらわれていた枯草髪の魔女。大型ティックたちをナデナデとスキンシップしていき、この場に対して芝居じみた反応をしてみせた。


「あらこっちの台詞じゃないなんで全属性のあなたがここにいるの? ふふふふおっかしいわねぇ」


「はっはっは、よい。下手な芝居はもうよいぞ魔女よ」


紅茶のカップ片手に首を天に向くほど、高笑いをするカグヤ様。


父親ももう分かっていたところだった。アレだけ暴れてここまですんなりスムーズにいくのはそもそも敵の中に敵と利害の一致する味方がいないと為せないこと。


プレイヤーの腑に落ちた溜息が手つかずの紅茶の水面を静かに揺らした。


「はぁやっぱりのやっぱりそういうことか……だよなぁ。冷静に考えりゃいくら月の十六衆が相手でも星の森の魔女なら相手にならないだろ」


「あら? そうでもないわよ、ふふふふあなたと一緒にしないでほしいわね。ワタシは人間をやめたくないわ」


「魔女がそれを言うのか……」


「あら炎神の生まれ変わりはどなただったかしら」


「さすがに俺もソレと一緒にはされたくないぜ、冗談やめてくれただの父親だ」


ぬるい紅茶を一杯ぐびっと、飲み干す。


その後も事実は表に明かされていく。


魔女は捕まっておらずむしろ裏で糸を引き、ティックのイビルPOVアイで撮っていた映像をカグヤに先に見せ過激な部分を編集をする、そして月面に置いていた白紙をマジナイをかけ飛ばし父親へと届けた。


カグヤは十六衆を焚きつけて、あのデカブツティックや魔女の庭や名誉武勇を餌に裏にはびこる不穏分子を炙り出すことに見事成功。

あとは月へと狂った武が乗り込んでくるのをここで座して待つだけであると……さすれば満点であると。


ここまでの一連の流れとしてはそうであったと堂々と明かしカグヤ様と枯草髪の魔女は言うのであった。



父親、別所透蘭ともに明かす内容や内容以上のことを各々に理解をし、

今ならば切り出すタイミングであると父親はこちらも隠し事を続々と明かしていくことにした。

そして明かされた嘘か真かそのひとつ────


「なんと地球にワラワそっくりのものがいるのか? それは真か? ……」


「そうだ髪は金色だが本当に俺の地球の記憶の中では瓜ふたつだ、そのなんだ羽を伸ばすというか……会ってみたくないか? きっとかんっ」

「それはあってみたい……。ワラワは会ってみたい……!」


会ってみたい、カグヤ様はそう言う。黒い瞳を輝かせてトツゼン身を乗り出す、向かい席の父親の手をぎゅっとにぎり包み込んだ。


そこまでの反応を得られると思わなかった父親は、目と口をおどろき開いた。

ここから先はより一層プレイヤー山田燕慈の知らない物語。

だが知っているゲームティクティカでの地球のこと、それが握りしめられつながっていく。

それは大変うれしくて興奮することだ、父親もまた彼女の目の輝きにつられてワラう。


「あら親戚もいない親もいない地球にはいかないんじゃないの?」


魔女の横槍に握っていた男の手を放し、熱帯びた顔を手持ちの扇子で隠した。

やがてしばらく……表情は金とエメラルドの鯉に隠されたまま、ひとつ仕切り直すような高笑い。


「はっはっは魔女よそのとおりだ。だが今日という土産話も多くツキのある日はちがう、首謀であったヨイザも死に月に残る石のつくる不穏の陰もそれほどない。ワラワかぐやはいつまでも月で死ぬように光を浴び永らえるだけではないぞ、ふふこの青い地球の赤い茶葉もおいしいなんというのだこれは? フフフふ」


ふたたび明かされた表情は明るく、少女のようによくはしゃぎしゃべる。

その地球産の茶葉は紅茶だという、この月に運ぶまでに緑茶が発酵したものだと透蘭はカグヤ様にロマンのある説明をした。


紅茶の成り立ちのロマンも、そっくりいるもう一人の私も、不穏と変革を受け入れるとともに死にゆくように決めていたはずの運命が。


満月にみたない小望月のように渇いてそのヒトカケラをただただ欲している。



プレイヤーもカグヤ様の喜び様をみて心から笑う、


繋がったのだ月と地球が、月と地球のカグヤが。


奇しくもまた炎使い、炎神の残した火を受け継いだ者たち。

その火は燃え移りくすぶっていた心にメラメラと湧き上がる炎となる。


月にあるツキの先の未知のストーリーは、青き地球へと向かい動き出した。

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