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空中での爆発剣劇────乗騎を失った紫ローブと黒スーツの男はやがて月面の舞台へと荒々しく降り立った。


「ヌゥ既にここにいるとは!!! 天から豪快に奇襲とはな」


「ハハ、アメジさんあんたら上にハメられたんじゃねぇの? もぐらたたきより簡単だぞ(たたいたのはバッタだが)」


「ぬかせ! 我は月の十六衆、小望月(こもちづき)のアメジ!」


名乗りと共に下ろされたフードのナカは明るみに晒される。そこには傷や火傷がところどころありイカツイ老人の顔、白髪は後ろにひとつ結われており。

その眼光が父親をぐっと睨みつけて離さない。


「なんだそれ? ハハ餅をついていてもどうせ狙いはヨイザさんの遺産のデカブツだろ」


「ハハハ何を言っている! 我の狙いはハナから貴様だ炎使いの小童、我はカグヤの命に従い貴様を捕らえて月に帰還するだけだ。うむ、その天に浮く菓子も手土産にさせてもらうっ。こちらから襲うつもりが手間が省けたわい」


「予想外に一直線なご指名とはうれしいがバッタがやられたのにか?」


「やられてはいない月王飛蝗トノサマムーンホッパー!」


ローブの長袖をまくりあげ左腕に装着していた数珠からティックは召喚される。




激しい黒光りの後に────




「我は十六衆の中でも武に長けただけのモノと思われがち、しかしこのダークティック研究施設の産物は傑物ヨイザが死んだ今時代を先読みし才に投資した我の功績とも言えよう!」


「そんなラボはやり込んでないから知らねぇが、デカくなったら気も大きくなるよな、そりゃぁ!」


デカいバッタの上に立ち声高々と張り上げ見下げる、紫ローブのアメジ。


その黒い巨大飛蝗は四本角の灰色バッタより4周りは大きい。


両者のココロは月面上に構え直して、戦いの合図などいらない。

先に仕掛けたのは────



【パプルデスバルカン】



黒い体表、その黒バッタの全身から生まれる紫の弾丸は、刀構える一点を目掛け────────



「────────ご挨拶はキマって弾幕ってな! ……やっぱり未知のボス戦は、アガルってもんだ! うおおおお!」


紅と紫の混じり合う汚い爆炎の中、熱量を垂れ流し刀を振り払いニッと笑ったヤツがいる。


こんなものでは終わらない。撃ち放ったご挨拶を予想通りに上回った若き戦士を見下げながらも老将は凝視する。


「小手調べを凌ぐか! ではもっと手厚くイクゾ炎使いの剣士! ヨイザを討ったその実力ッ、100年ぶりの熱波を我に浴びせてみろ!」


「ハハハハ! どんなキャラか小物か大物か知らねぇがっ、たんと浴びせてやるよアメジ爺さんっ! うっかり焼け死んでも恨むなよ! ゲッカドウドウおおおお!!!」


「ぬかせええええ! ゲッカドウドウッフハハハハハハハッハーーーー!!!」


テンションを燃え盛らせる月の戦士とラヴあスの戦士は忘れていた作法を思い出し、ぶつかり合う。吐き出し生み出す熱量を煌煌と増して────────





時同じく、離れて向い合せる金髪とオレンジ。

父親に任せられたもう一方の敵と別所透蘭は対峙していた。


「オレンジローブあなたはなんなのでして?」


「ふっ【ダークムーンサイド】……我々は暗君(あんくん)カグヤからその天月位(てんつきい)簒奪(さんだつ)しテラムーンの全てを掌握し直し新たな正しい世界を望む者。まぬけヨイザはヌカったがこの私ビムーンはそうはいかない」


名乗るビムーン。フードを下ろして現れた緑髪の若者。

わざわざ正体を明かし、自信あり気な企み含む笑顔を覗かせる。


「聞く話スベテが大袈裟ですわね! ここを足掛かりにでも!」


「その通り賢いのですね、魔女の知識を解析し数多所持するティックをラボへと持ち帰ればやがて来るべき日に向けての地球侵攻作戦【月のナミダ】計画も早められる」


「だから大袈裟だと言うのです! 野心家のインテリは夢見心地でここでヤラれるシーンは思い浮かばなくて?」


「【デクルス】【カラクス】」

「次のシーンはもう決まっているのさ、上級ホッパーを一体ラッキーパンチで倒したとてインテリのラボ漬けにも切り札は幾枚かあるのですよ小さき魔女。────────さて月の作法というものは堅苦しいですが……私も久々にゲッカドウドウと手堅くヤラせてもらいましょう!」


左右前方に召喚した2体の中型ティック。


【デクルス】

手足が棒のように細い木偶人形。

月の民族衣装赤いスカートを履かせた、スタイル美しくも奇怪な、月のラボ産ティック。


【カラクス】

からくり人形の青い着物を着た坊主は茶を運ぶ。

仕入れた人形(チャリ)を基に魔改造された月のラボ産ティック。


次のシーンへ向けてのビムーンの切り札が月面に展開された。


敵は既にちいさく勝ち誇っている。

3対1の状況に、この女も怖気づき従い負ける気はさらさらない。



「魔女ではありませんわ、月の作法は知りませんっですがっ、宴陣学園オカルト探偵部所属1年B組クラス委員長の実力魅せてやりまして!!!」



含ませていたのは、まりょく。

構築していたのは、存分にチャージを終えていた発動待機中の魔法陣。

ちいさく隠しおおきく展開コントロールした魔法陣は宙に置き、投げ放ったオイドブーメは魔法の炎雷を得て貫いていく。


ヒートアップ、月面のバトルステージでゲッカドウドウと4人の戦士たちが互いの磨き上げた実力とプライドをぶつけ合っていく。

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