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1000階、1001階、その後も可黒美玲率いるオカルト集団は疾風のように進軍し塔を順調に上っていく。炎神の血統である大きくパワーアップした可黒美玲に負けじと他のメンバーたちはモンスターを倒しランクを上げながら自身のチカラをどこまでも磨き上げていったまだまだ成長途上のチカラをあのイチマイのメモの攻略情報をたよりに自身の感覚をたよりに頷きながら成長させていく。


そして本来、ラヴあス2のゲーム内で同クラスの可黒美玲とも幾度も絡み仲間になりそうで仲間になることはなかった彼女もまた────


遠い昔星の森の魔女がある地球人のチカラを認め友好の証に贈ったと言われる【オイドブーメ】を日本から遠い地オーストラリアまで人脈を駆使し探し手に入れた別所透蘭は、訳あってみんなに内緒にしている可黒父の攻略情報にはない自身の未知だらけのチカラに対する特殊な成長方法があった。


それは彼女がネムリについて魔法に誘われおとずれた秘密の月面にて始まるかもしれない……。


暗がりに映える眩き白き光をその手につかみ────────


夢は晴れネムリからメザメへと。




▽チャネル月面▽




ンっ────────……今日は来れたみたいでして……。


グレープ色の瞳はパチリと目を開けた。ピンクゴールドのサテン素材の着心地の良い高級寝間着の上下。いつもの豪華なドリルスタイルと違い直毛になった金のロングヘアーをした別所透蘭は、月面、石のようなリアルな月色と夜空星々の広がるそこにいる。


「今日は何を教えてくれるのでして」


「全属性に合成魔法も使えるならもうやることはないわ。帰りなさい」


そこにいるのは、月面に設置した白いティータイムセットに座り優雅に茶を飲んでいた白のドレス、脚を組み片方のアオのヒールをプラプラとあそばせる、帽子の無い枯草色の髪、少し長い後ろ髪をアップに纏めた魔女クゥミ。


視線は来客に見向きもせず一度口元からはなしたカップをまた傾け触れはじめた。


「かえりませんわ。私はもっともっと強くなれるはずでしてよ?」


「ふふふ。強欲ね」


見向きもしないまだその距離のはなれた魔女へと、突然。


2種の魔法をのせたブーメランは鋭く弧を描き、枯草色のアタマへと届いた。



「欲のない人間なんていませんわ、私の欲受け取りましたわね!」


ソレを制した翳した魔女の白いグローブの左手。

左手に纏った圧倒的なまりょく量はブーメの勢いを減らし透蘭の魔法を制御。

それでもなおバチバチと雷電とアカが燃えるブーメのご挨拶をその左手直に受け取った魔女。


「ふぅー。どこのだれに似たのかしらね。かわいくないわ、あなた、ふふふ。ふぅー」


吐息で冷ました左手のグローブ。透蘭の熱意はカタチとなって魔女に届き、修練のつづきは魔女クゥミが古めかしい深い色をした木製のオイドブーメを投げ返し始まった。







月面での修行はひとつのブーメを共有しながら……。クゥミが透蘭から受け取った荒い属性魔法をイジリ返す。返されたブーメを透蘭がその手にバチバチと受け取り伝わる。


これ程に違いの分かるキャッチボール、キャッチブーメはなく。

透蘭は魔法陣構成チカラの入れ方抜き具合を真似してクゥミにしっかりとアンサーする。

キャッチブーメを繰り返すたびに着実に成長洗練されていく透蘭の魔法ブーメ。


最後に受け取った炎雷風の3種の魔法陣を重ね合わせた合成魔法ブーメ、【火禅雷震(かぜんらいしん)】ひとつのカタチにとらわれない柔くハードに構築した無相のブーメは、魔女の両手にバッチリと収まった。


しゅーと、グローブからしばしその魔法の威力を味わうような白い煙が上がり──何も込めていない素のブーメは透蘭へと投げ返された。


「ブーメの基本応用もすべて学べたようね。見たところ少なかったまりょく量も無駄を省いてさっきの倍に増えたわね。──さっ、優等生は帰りなさい。そういえば星の森ではブーメで遊びながら魔法を学ぶものだったわね、ふふ。ティータイムは邪魔されたけどいい遊びになったわ」


「──また来ますわ」


「ふふふ、土産もなしに。ワタシは魔女よ」


「疾きこと風の如く、動くこと雷震の如く。いたずらに時を浪費して使わない山のような魔法もきっと埋もれて錆びついていくのでして」


「ふふふ。錆びているように見えたのかしら、それこそ僻みにも似た儚い人間の(おご)りね」


「傲ってはいませんわ、私は全力で生きていましてよ! この別所透蘭の人生に届かない言い訳儚さなど微塵もありませんわ! 今日はいつもより魔女の熱意、感じましたわ! ──ですのでもう今日は明日に備えて寝ます! 体は資本でしてよ茶菓子ばかりではなく魔女はべっしょ水産のちくわを食べなさい、ふっ」


投げ返すことのなかったブーメ、振り返ることのなかったグレープにギラつく瞳。

乱れた髪をざっとエレガントに掻き上げて別所透蘭は一礼もせず強い言葉だけを魔女にノコして去っていった。月面に立ち込めた魔法のモヤへと消えていくその目立つ金髪の存在、侵略してきた若い火は枯草の魔女が見送るそこにはもういない。



「ふふふ、さわがしい。──キャッチブーメ────出来損ないの妹にも見習ってほしいわね湿ってない熱帯びた全属性を。それにしても最近のホシはどうも熱いわね。ふふ人は飽きないかわいいものね。ふぅーー」


焼け焦げて剥げた白いグローブも置き忘れの帽子とともに新調しなければならない。

そんなことを思い魔女は冷たい吐息で両手を冷まし、まだノコっている熱量を星色の瞳に写して独りワラった。


魔法のエリート集団星の森の魔女直々に月面でのキャッチブーメの遊びで魔法を学び、

別所透蘭はまたそのチカラをおおきく成長させたのであった。

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