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1001階のチカラ試しのあと。

オカルト集団、一行は道中で購入したそれぞれのホームへと別れていった。


古井戸から持ってきた腕時計の時刻は午後6時過ぎ。


借りた道着に着替えた美玲はひとりホームの広い道場の中央に胡坐を組み座り、

手帳に写しメモしてもらった【クリティカルショット】の取り扱い方を読みふけっている。


「雑念を生むから習得してから読めと言われていたけどクリティカルショット……まだ先があるのか」

「チャージしてから溜まったパワーで技を当てて即構築可能になったロックフレアの魔法陣構築してパワーを転換なるほどっそんな方法がッ、サンライト……オルゴナイト!? え!? 父さんもまさかサンのファンなのか?」


『一勝負!』


ひとり感情豊かにメモ帳と会話していたところに、道場ゼンブに響き渡った声。もう何度も聞き覚えのある声の種類を聞いて、美玲はおもむろに立ち上がり振り向いた。


既に木刀を抜いた、青髪を後ろに纏めた道着姿の彼の先輩がそこにいた。


「……その台詞ここに来て何回きいたか……センパイはケイコさんより勝負っ早いですね」


「はっ、それが私とお前だ可黒!」


手慣れた動作で投げ渡された左の木刀を美玲は右で受け取った。


「はぁ……それは、同意だな!」


可黒美玲はゆっくりと構えて蒼月霞のその一勝負に答えた。







技のない乾いた音が幾度も弾けて混ざり合った斬り結びの一勝負は、


「はぁ、お前に剣で勝てないとはな」


「ふぅー。幻闘での全力なら分かりませんって」


人間の動きを超えた異次元のチャンバラは可黒美玲の勝利で終わり、お互い少し流した汗と打ち合った手の痺れの余韻を消化しながらかるく讃え合った。


「それなら余計に今のお前には勝ち目がみえないな」


「あれ、そんな弱気でしたっけ」


「いや弱気じゃない、お前を認めている」


「俺を?」


対峙した青く真っ直ぐな瞳が美玲の顔を真剣に見ている。


「あぁ、お前の鍛錬を、あの夏の宴陣祭のときと比べるとお前は別人になっていた。あの時は反応は他の奴らよりいいが正直まだまだ私の敵ではないと思っていた」


「なんかなつかしいな……それは、俺は父さんが言うには炎神の」


「それを言うなら私もあらゆる武を極めた蒼月だ。どんなチカラも鍛錬できる。お前は間違いなくずっと……お前の炎は天へと伸びている!」


霞が刀で示した天。チカラ強く伸ばした右腕の先切っ先の先の天。


「俺の炎が天に……?」


「あぁ、私もやるからには天。Sランク、ふレジェンドレア、いくつもの壁を越えた先にある至上のランクを目指している! お前もそうだと……まさか違ったのか?」


天から美玲へと下ろした霞の刀、不思議そうに首を傾げた霞がいる。


「いや、はは。天か……イマ考えてみたけど……俺は天よりやっぱりあの時の炎を」


木刀を回しアソビ考えてピタリと止めた、霞へと突き返した切っ先がワラいながら答えた。


「炎? お前のパパのことなら、私のパパも負けてないぞ!」


「はは、なんでそうなんだか。──いいや俺の父さんの方が強いね! 今ならあの白髪のパパも池に落ちず倒せる自信がある! むしろ池に落とし返すね!」


「言ったな! 今度は幻闘でもう一勝負だ可黒! 手は抜くなよ!」


「アレ頭が疲れるんだけどな……幻で燃やされても知らないぞ蒼月センパイ! 全力だ!」


向けられた切っ先はそのまま、ワラい合いながらも今度は何故か父親の自慢大会になっていた。

そして幻闘、蒼月パパから習った秘伝の脳内シミュレーターを霞と美玲は共有し、精神世界で技でも何でもありのもう一勝負が始まってしまった。








▼▼▼

▽▽▽




パチリ、部屋の明かりは既に点けられた。


鍛錬後のカラダを伸ばしほぐした美玲と霞。

話はいわゆるなんてことないゆるい友達のような雰囲気になっていた。


「思えば俺たちって出会ってからバトルと鍛錬……しかしてない気がすんですけど」


「それはそうだろう。私は強いヤツにしか興味がない!」


「強いヤツって……それでなんかランクとかやってたんですか。宴陣祭で襲ってきたアレ、怖かったからやめてくださいよセンパイ」


「んー、アレはお前も男だから携帯のゲームとかするだろう?」


「携帯ゲーム?」


「なんだしらないのか!」

「このグランドドラゴンランドを!」


霞がゴソゴソと電子の荷から取り出した青い携帯電話。

パカリと開いた画面を自慢げな明るい顔で見せてみせた。


そこに映るなにやらシンプルで派手なゲーム画面に携帯ゲームをやらない美玲の心当たりはなく、きょとんとした目でやけにテンションの高いセンパイ女子に答えた。


「な、なんだそれ?」


「なんだだとおおお全く信じられん世間知らずにも程があるぞ! 私のクラスではみんなやっているんだぞ!」


「ええ!? そんなに流行ってんの? 初耳だなぁ……」


「ほらお前も携帯出せ、あ待て! 友達紹介キャンペーンがあるから私のコードを入れろ!」


「いや、俺は……これってさいわゆる」


「何を言っている私と一緒に天を目指すんだろ! ほらコードだ絶対入れろ! ガチャ石その他もろもろ貰えるぞ! 石は投げるくらい好きだろ可黒! あとリセットは絶対するなアレは私のグラドラを馬鹿にする卑怯な技だ! それと────────」


これは予想していなかった美玲。霞のやけにテンションの高い意外な一面を見れてうれしさ反面困惑しつつ、黒い携帯を仕方なしに取り出しその熱烈な勢いとは負ける勝負はせず従った。

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