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石の板の上に正座した美しい女神石像が焼き菓子の道路を猛スピードで走りすぎて行く。

切長の眼はその光景をしばし眺めて中継地点を目指した。


「行きも帰りも……イカれたヤツしかいないのかよ」







煌びやかな空間に繋がるドアの数々、出迎える大きな円卓は空席だらけだ。

メイクを落とした黒と赤のストライプは脚を組み一際目立つ金と黒の豪華な椅子にどっしりと腰を掛けている。


「────連れて来れなかったと?」


「……チッ」


「んん、どういうことかまさかミジュクセカイのモンスターにやられたのか?」


「んなわけあるかよ!」


「そうでないとな。ブックテラーなら後れを取るとは思えない戦闘力だと思うが」


「イカれたおっさんに……」


「イカれたおっさん……?」

「対象のサムはイカれてはいるが喧嘩にでもなったか? 操作しない1人のサムにそれほどの戦闘力はないハズだぞ。それに一応カワイイ女の子だ公式の人気ヒロイン投票でも2位というピンク髪のキャラが完全に飽きられてきていた時代にこれはすご」


「バカ訳分かんねエちげぇよそんな運痴おんな!! だからバカな炎のおっさんが!」



「ナニ……!?!?」



炎のおっさんそのワードにピンと来て、ガタリ、と王は突然席から飛び跳ねるような勢いで立ち上がった。そして。


「はははははは、おいおいフルセカイあり得ないだろおおおおそれはァァァ」


「イキナリなんだよ……?」


「はははははは……ははそれでお前はまんまと生きて返されたと?」


「……チッ……悪いかよ。次ヤったらオレが!! ──」


「悪くはないさむしろよくぞだ」



「あー、ワタシがゼロだとすると……なるほどな。お前もそこそこ良いのを引き当てたのだなははは。フッフッふ、返品とはそういう意味か……ワタシもそれほど馬鹿じゃないぞはははは」

「……しかし少し早くはないかサハラ? セカイの方は順調のようだがAIにでも託したか?」

「そして遅れてワタシより先にサムを手に入れるとはな。ワタシのお気に入りを腹いせにでも取りに来たということか? はははははははははは」

「はははは…………ラッキーピエロで少し遊びすぎたようだ」


長々と一人のたまう様子のおかしい王、その瞳を狂わせて笑っている。


「なにぶつぶつと1人で語ってんだ、どいつも黙ったりしゃべったりしやがって……」


「すまないすまない」


一通りを吐き出した王は冷静さを取り戻した。まだおさまらないニヤケを制御し、


父親とはな……しかしだとしたらあそこにいる……半神を壊すのは惜しかったぞォサハラ。

お前の育てた軍に埋め合わせてもらわねばな……まぁいいこちらも余計な難しい仕事が省けた。ははは、やはり才能だけでつくづくモっていないなお前というヤツは、はははは────。







「────、しかし1人では少々荷が重かったようだな」


「バァァァカ、キキョウとのシンザも深まってんだよ、次はもっと語れるぜ」


「はははそれは頼もしいな。だが少し待てヤツと今ヤリ合う必要はない」


「はあ?? フザケんなよオイ!! コケにされたままでタマるかよ!」


だんっ、と少年は怒りの表情露わに円卓に拳を打ち付ける。


「はははやってくれたなサハラめはははは」

「ヤツとヤリたいならまずはワタシに勝つことだ勝手な行動はやめてもらおう」


「チッ……」


「ヤツが来るというのなら急ぐ必要はない、美麗とシノヤにも成長してもらわないとな」


「使えない女ふたりとか冗談だぜ王……」


はぁ、と嫌な表情で少年は溜息を漏らした。


「ははははそう言うな。ワタシがプロセスすれば強くなれることだろう」


「チッ」


「それより頼んだ品はどこだ」


「うぜぇな」


「お持ちしました、王様、お兄様」


現れた2人の女性、白銀の髪の少女と艶やかな黒髪は銀のおぼんに乗せた注文の品を運んできた。


「お兄様じゃねーよいらねぇから捨てとけ!!」


「……ごめんなさい」

「シノヤちゃん落ち込まないでお兄様はあなたに食べてほしいみたいよ」


「ちげぇよ、うぜぇから消えろ雑魚ババァ」


「……」


悪言を構わず吐くそんな少年に白銀の少女は悲しげな表情を浮かべている。

黒髪の女性はそれ以上は何も言わず突っかからず……。


「はははは消えなくていい一緒にいただこうではないか我らBADEND軍で」


「ナニが軍だよ……王頭おかしいぜ。オレとキキョウと王だけじゃねーか」


「ははははは。目先の戦力だけではないのだよ軍はセカイは勝手に育っていくものだ」


「また賢そうなふりかよ。現実が伴ってないんだよ黒スーツぐらいにはマシに動けるヤツを連れて来いよバカ」


「ふふふ、ヤツはワタシよりは得意だからな、しかしどう攻略しようとこのワタシには及びようがない」


「意味わかんねぇ……ならさっさと働いて国のひとつでも滅ぼして来いよ」


「そうもいかんのさ、やはり裏とは表に立つ存在ではない。ダカラ来るべきときのためBADEND軍が必要なのだ、美麗、シノヤ、シノー!!!!」


カリスマ性溢れる王はバッと手を広げて仲間たちに大袈裟に語りかけた。

この狂気の表情に、


「…………」


「……はい王様」


「ハァ、人望無さすぎだろ王……。おいバトルルーム開けろ。来いシノヤ」


「はいお兄様!!」


「ぶっ殺すぞ!! さっさとスーツに着替えろ雑魚」


「……はいシノー……さん」


呆れ席を立った切長の眼は白銀の髪を連れて緑に光る扉の方へと歩いて行った。


残った黙ったまま動かない幸の薄い顔作りの艶やかな黒髪。王は席を立ち上がり彼女の元へとゆっくりと向かって行った。


「…………」


「人望か、ふふふふふ。NPCに言われるとはやはりワタシは表ではないな」


「さていただこうか美麗」


「あの子に会わせてくれるのですね」


「またそれか。我々はまだ表ではない、ストーリーとは主人公次第というものだ奪う権利はピエロと開発者にはない」

「ははははキミは本来消えるべき存在なのだぞ?」


「なら殺してください」


キッと女は睨む、王を。

その黒い瞳は覚悟意思強く、


「どうやらそうもいかない」


「何故です、助けてもらえたことは感謝しますが私にはあなたとここに居る意味がありません」


「はははは意味ならある。……運命の再会の前に」

「こちらも腹いせに付き合ってもらおう、美麗」


「…………」


正面に向き合った2人は男が腰に手を、肉付きの良い尻へと撫で下ろすよう黒のドレスをまさぐり無抵抗な彼女はその顔を背けている。

ニタリと笑う王は、円卓の席へと戻り。

立ち尽くす彼女は宙に浮いた銀のおぼんを手に取り品を王の前へと並べた。



「それにシノーが取ってきてくれたんだお母様選手権としての勤めを果たせ、どれどれ」


王は珍妙な組み合わせを目撃した。思わず二度見するほどのブツに、


「……くるみクリームとちくわ!?」

「はははははは訳がわからないぞ狩野サッハーラーーーー」

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