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17

リミットメルトをぶち込み討伐した二匹の銀ミミズ、この街を救った俺たちは────。


72,667,001∀


紙×99 1,000,000∀

鉛筆×99 1,000,000∀

スコップ×3 1,000,000∀

タオル×1 1,000,000∀


「バイフル」


工事管理者、設計士といったところだろうか。この里のリーダーらしき頭に白いタオルを巻いたタチモグラとの取り引きは完了した。


「画家はいなかったけど」


どうやら銀の木の場所がわかった。

工事管理者モグラに尋ねたところあの銀ミミズがぶち壊してきた穴の先にあるらしい。


「それに、紙とえんぴつゲットはうれしいぜ」


「なぜか知らないが日記でも書きたい気分だからな、ハハ」


ゲーム牢獄にぶち込まれて精神を保てないやつもいるだろうな。マァ。


「俺はこっち側だから、ハハ、なんてことはなぁい」


そう言いながら、父親パーティーは例の銀ミミズにぶち壊された大穴の空いた掘削工事現場の前までやって来ていた。


「よし行くぞ、女神石像、モグ蔵」


振り向くと、女神石像はうんうんと頷き、モグ蔵は右手を挙げて答えている。


「じゃあ、せーのっ」


「じゃなくて! 1人ずつだ! オーケー?」


ふたりは理解し頷き手を挙げている。


「よし、ダイブ!」


父親は、大穴の滑り台へと勢いよくその身を乗せて滑り始めた。


そして。


繋がっていた先の空洞に放り出された身は華麗に脚をつけ着地した。


「ふぅ、この滑り台地味にたのしい。……お、アレは!」


ずーー。


ぴょいっと投げ出された石の身が。


「ん……?」


「うおおお!?」


何かを察知し振り返った父親は、その飛び込んできた石像をキャッチ。

お姫様抱っこの形となって、目があったふたりは一瞬間を置いて微笑い合っていた。


「ハハハハ、これは良いほのぼのイベントだエロいゲーム」


ずーーーー。


良いムードのふたりに、降りかかってきた茶色い大きなさすさすの毛質。


ドンっ。


2人と1匹は灰茶色の地面に仲良く倒れ込んだ。

 

「うわぷ……エロいゲームに日常回はいるのだろうか。……さすーさすー」


どさくさにまぎれてその毛質を堪能したあと、一行は立ち上がり。


「あったが……」

「帰れないだろキミ」


タチモグラ住民が1匹、この空間に取り残されていた。

おそらく滑り降りてきて、モグラリーダーに状況報告のメールでも送ったんだろう。ハハ。


「はやく開通させて階段を作ってあげてねリーダー」


一行は、視界に見えていた目的の銀の木の下へと歩いていきたどり着いた。


「予想外も多いけどすっかりラヴあス完全版をたのしんじまってるな」


父親は慣れた手つきで幹にグレープグレープ天然水をぶっかけ、満開の銀の桜が咲き誇った。


「一応3人で手を繋いどくか、パーティーだし」


元気な顔で了解したふたり。

銀の桜の木の下で、輪になり手を繋ぎ合った3人は。


「モグラの手とか人生で初めて握ったわ……これは、はたらきものの手だね」


父親はモグ蔵に謎の微笑みを見せ、同時にぷにぷにとその手の感触を確かめていた。


「じゃあ行くか、せーーのっ」


向き合い頷き合った、3人は次のステージへと。


2408にせんよんひゃくはちぃーー


湧き上がる光。


大きな光の柱は3人を包んでいき、天へと伸びていった。




◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




VRヘッドセットモニターに映るホーム画面は人の脳のアシスト装置と言っていいだろう。

ゲームプレイ時と違いあえて視界を固定され絞られたモニターはVRの機能を兼ね備えた直感的なパソコンに早変わりだ。


「昼飯は天丼、カツ丼、そばんーハンバーガーでいいな久々に」


「なんか久々に食いたくなる周期が来るよな。現代日本人の抱えるバグだわこれ」


「クーポンクーポン、ハンバーガー」


音声検索に引っかかり画面に映し出された。ハンバーガーの割引券。

抽選結果は大当たりの4割引券。


「大手チェーンはバーチャルクーポン戦争だから安くて助かるが……おっとり屋の生姜焼きフレッシュチーズ焼きおにぎりバーガー(粉唐辛子付き)が4割引き!」


「ライスバーガーかよ! 小麦嫌いの蒼月(あおつき)(かすみ)じゃねんだぞ。俺はハンバーガーを食べるつもりのつもりだったはず」


「ま、いいや腹に入れれば4割お得だ。本物のハンバーガーは次の機会に持ち越しっ」


「ドリンクはいらねーな和風だしせっかくの4割引、あ! アンチョビポテト大盛り注文」


「ポテトは定価……悪魔だなこいつら。ポテトなしとかありえない。上手く出来てやがる」



『ティリリリリ』



「なんだこれ……赤い!? Vメッセ?」


モニターの端にぴょこっと出た赤い封筒を手でつかみ開けると。


「このメッセを見た方だけに、ラヴが溶けるほどあなたがスキよ。2リミットメルト。魔法少女ド屑★オンラインの新作VRゲームテストプレイヤーを募集中」


「応募資格は20代~30代男性、VRゲームプレイ経験は問いません。必要なのは健康な身体とゲームをたのしむ熱意のみ────このメッセは既読後自動破棄されます」


「……ハル∀本社にて。男のみって……ナニをテストするんだろうな。イカ臭そうな場所だ」


「ド屑オンラインってアレか……あんなの、よく世間は怒らないよな。バグってるだろ感覚。まぁ主人公のふれいはちょっとむちむちムラムラしてエロいが」


男は無意識のうちに半ケツ丸出しで右手で股間を揉み揉みしだした。


「ラヴあス2リミットメルト……完全版的な? そいつはヤバイが……」


「てか平気でエロとエロなしを同時に混ぜんなよ、大きく出てるなーお子様とか世間様が怖くないのか」

「それに募集は男のみって今の時代問題になりますよ。まぁエロに関しちゃ理解できなくもないが」


「エロサイトの広告並みに怪しさマックスだが……どこのどいつだこれ書いたのクビにしとけ。でも……赤メッセは承認された企業のみのはず、つまり世のVRをいち早く乗っ取ったエロいゲーム会社」


「…………まじか」

「しかもヒマでエロいゲーマーで毎日シコって健康でゲームをたのしむ熱意のある20代男性とは俺のことじゃないか、個人情報がだだ漏れかよ現代社会さん保護しろ保護」


『ピンポーピンポー、ご注文の商品がもうすぐ到着します』


「うお!?」


『ピンポーン! おっとり屋バーチャルイーターでーすぃ』


「はやっ!? はーい!!」


ベッドの上で仰向けに寝転んでいた男はVRヘッドセットを外し、半ケツの灰色のズボンを上げ起き上がった。


ドタドタドタドタ。


「うお、ちょっと勃起してる……。まいっか!!」


男は寝起きの髪を軽くなおしおちんちんを上向きに隠し、元気よく玄関のドアを開けた。

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