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第29話「ゆいの、いちにち」


――橘結衣視点――


あさ。


ゆいは、ママにかみのけをとかしてもらっていた。


「いたっ」


「ごめんね。ここ、ちょっと絡まっちゃってる」


「やさしくしてね?」


「はいはい。お姫さま」


ママはそう言って、くすくす笑った。


ゆいは、おひめさまじゃない。


だって、おひめさまは、きらきらのドレスを着ているもん。


でも、ママがおひめさまって呼んでくれるのは、ちょっと好き。


「はい、できた」


ママが鏡を見せてくれた。


ミルクティーみたいな色のかみのけが、きれいになっている。


「かわいい?」


「とってもかわいい」


「ママより?」


「えー? それはどうかなあ」


「ゆいのほうがかわいい!」


「じゃあ、そういうことにしておこうかな」


ママは、また笑った。


ゆいも笑った。


きょうは、いい日になりそう。


だって、きょうは保育園で、もえちゃんとさきちゃんと遊ぶんだもん。


***


「いってきまーす!」


おうちを出ると、おそとは少しだけ涼しかった。


ママと手をつないで、保育園まで歩く。


とちゅうで、ゆいは空を見上げた。


白い雲が、ふわふわしている。


「あっ、ママ!」


「ん?」


「あのくも、うさぎさん!」


「ほんとだ。耳が長いね」


「こっちは、パン!」


「パン?」


「ほら、まるいの!」


「ふふ。確かにパンみたい」


ゆいは、パンの雲を見ながら歩いた。


あのパン、食べられたらいいのにな。


きっと、ふわふわで、おいしい。


「ゆい、前も見て歩こうね」


「はーい」


保育園につくと、門のところに先生がいた。


「結衣ちゃん、おはよう!」


「せんせー、おはよー!」


元気にごあいさつ。


ゆいは、あいさつが上手なのだ。


ママが、しゃがんでゆいの目を見た。


「じゃあ、今日もいっぱい遊んでおいで」


「うん!」


「お友達と仲良くね」


「うん!」


「先生のお話もちゃんと聞いてね」


「うん!」


「ほんとに聞いてる?」


「きいてるよー!」


ママが笑った。


ゆいも笑った。


それから、ママにぎゅーっとしてもらう。


ママのにおいがした。


あまくて、あったかくて、だいすきなにおい。


「いってらっしゃい」


「いってきまーす!」


ゆいは、ぱたぱた走ってお部屋に入った。


すると。


「ゆいちゃーん!」


赤いかみのけが、ぴょんぴょん跳ねている。


もえちゃんだ。


もえちゃんのかみのけは、くるくるしている。


走ると、もっとくるくるする。


「もえちゃーん!」


「ねえねえ! きょう、おみせやさんしよ!」


「いいよ!」


「さきちゃんもいるよ!」


お部屋のすみっこを見ると、さきちゃんが座っていた。


黒くて短いかみのけ。


さきちゃんは、小さなお皿に、赤いおもちゃを並べている。


「さきちゃーん!」


「ゆいちゃん、おはよ」


「なにしてるの?」


「いちご」


「いちご?」


「いちごケーキ、つくってる」


「わあ!」


お皿の上には、赤い丸いおもちゃが三つ。


そのまわりに、白いブロックが並んでいた。


「ケーキだ!」


「うん」


「ゆいもつくる!」


「いいよ」


もえちゃんが、ぴょんっと跳ねた。


「じゃあ、もえがおみせのひと!」


「えー! ゆいもおみせのひとがいい!」


「もえがさき!」


「ゆいも!」


ふたりで、むーっとした。


さきちゃんは、いちごを一つ、お皿のまんなかに置いた。


「じゃあ、ふたりともおみせのひとでいいじゃん」


「……あ」


「……そっか!」


もえちゃんとゆいは、顔を見合わせた。


それから、ふたりで笑った。


さきちゃんって、たまにすごい。


***


おみせやさんが、はじまった。


「いらっしゃいませー!」


もえちゃんが、大きな声で言った。


「ケーキ、ありまーす!」


ゆいも言った。


さきちゃんは、ちいさなコップを並べている。


「ジュースもあります」


「いちごジュース!」


「りんごジュースも!」


「ぶどうジュースも!」


おみせには、なんでもある。


すごいおみせだ。


ゆいは、黄色いブロックをお皿にのせた。


「これは、たまごやき!」


もえちゃんが、赤いブロックをのせた。


「これは、ハンバーグ!」


さきちゃんは、緑のブロックを持ってきた。


「これは、ピーマン」


「えーっ!」


もえちゃんが、いやそうな顔をした。


「ピーマン、いらなーい」


「なんで?」


「にがいもん」


「でも、おみせにはあるよ」


「じゃあ、ピーマンは、さきちゃんがたべて」


「やだ」


「えー!」


ゆいは、ふたりを見て笑った。


だって、おもちゃのピーマンなのに。


ほんとは、食べられないのに。


「じゃあ、ゆいがたべる!」


ゆいは緑のブロックを口の近くまで持っていった。


「もぐもぐもぐ!」


「結衣ちゃん、おもちゃはお口に入れないでね」


先生の声がした。


「いれてないよー!」


「うん、入れないで遊ぼうね」


「はーい!」


もえちゃんが、こっそり笑った。


ゆいも、こっそり笑った。


すると、お部屋の向こうから、大きな声が聞こえた。


「がおおおおおお!」


爽太くんだ。


男の子たちと、恐竜ごっこをしている。


爽太くんは、両手を前に出して、がおーってしていた。


「おれ、いちばんつよいきょうりゅう!」


「ぼくのほうがつよい!」


「ちがう! そうたのほうがつよい!」


「じゃあ、たたかおうぜ!」


「がおー!」


「がおおー!」


……うるさい。


ゆいは、ちょっとだけ、ほっぺをふくらませた。


「そうたくん、うるさいね」


もえちゃんが言った。


「うん」


さきちゃんも言った。


でも、爽太くんたちは楽しそうだった。


「そうたくん、またせんせいにおこられるよ」


ゆいがそう言った、そのとき。


「こらこら! お部屋の中では走りません!」


ほら。


やっぱり。


爽太くんは、先生の前でぴたっと止まった。


「はーい!」


元気なお返事。


でも、先生が向こうを向くと。


「……がお」


ちいさな声で、また恐竜になっていた。


ゆいは、ぷっと笑ってしまった。


***


おそと遊びの時間。


ゆいたちは、お砂場にいた。


お砂は、さらさら。


でも、お水をかけると、ぎゅってできる。


ふしぎ。


「おっきいおしろ、つくろ!」


もえちゃんが言った。


「ゆい、おはなつける!」


「さきは、おみずもってくる」


三人で、お城をつくった。


もえちゃんが、山をつくる。


ゆいが、まわりに小さなお花を置く。


さきちゃんが、カップにお水を入れて持ってくる。


「ここ、みずかけていい?」


「いいよ!」


「ちょっとだけね!」


「うん」


さきちゃんが、そーっとお水をかけた。


お砂の色が、濃くなった。


「わあ!」


ゆいは、手でぺたぺたした。


かたくなった。


「できた!」


「まだだよ!」


もえちゃんが言った。


「おしろには、おひめさまがいるの!」


「じゃあ、ゆいがおひめさま!」


「えー! もえがおひめさま!」


「ゆいが!」


「もえが!」


また、ふたりでむーっとした。


さきちゃんは、じっとお城を見ていた。


それから。


「おひめさま、ふたりでいいじゃん」


「……あ」


「……そっか!」


きょう、二回目だ。


さきちゃんって、やっぱりすごい。


「じゃあ、さきちゃんは?」


ゆいが聞いた。


さきちゃんは、少し考えた。


「……ねこ」


「ねこ?」


「おしろにいる、ねこ」


「いいね!」


もえちゃんが笑った。


「さきちゃん、にゃーってして!」


「にゃー」


ちいさい声だった。


「もっと!」


「にゃー」


「もっとおっきく!」


さきちゃんは、ちょっとだけ困った顔をした。


それから。


「……にゃあ!」


もえちゃんが、大笑いした。


ゆいも、大笑いした。


さきちゃんも、笑った。


三人で笑っていたら、お城の横に置いたお花が、ころんと落ちた。


「あっ!」


ゆいは、お花を拾った。


それは、ちいさな黄色いお花だった。


「これ、ここ!」


もう一度、お城につけた。


こんどは、落ちなかった。


よかった。


お城は、とってもきれいだった。


ゆいは、ママにも見せたくなった。


でも、お迎えのときには、お砂場のお城は残ってないかもしれない。


だから、ゆいは、よーく見ておいた。


ママに、お話できるように。


***


おひるごはん。


きょうは、ハンバーグだった。


やったー!


ゆいは、ハンバーグが好き。


もえちゃんも好き。


さきちゃんも、たぶん好き。


「いただきまーす!」


みんなで言った。


ゆいは、ハンバーグをぱくっと食べた。


おいしい。


もう一つ食べたい。


でも、お皿には、ハンバーグが一つしかない。


かなしい。


ゆいが、ちょっとだけしょんぼりしていると、向こうから声が聞こえた。


「これ、たべたくなーい!」


爽太くんだ。


お皿の緑のお野菜を、じーっと見ている。


先生が、しゃがんだ。


「爽太くん、ひと口食べてみようか」


「やだ!」


「どうして?」


爽太くんは、すごくまじめな顔をした。


「これ、たべたら……」


「うん?」


「きょうりゅうになっちゃう!」


ゆいは、思わず笑ってしまった。


もえちゃんも笑った。


「ならないよー!」


「なるんだって!」


爽太くんは、むきになって言った。


「みどりのやつ、きょうりゅうのごはんだから!」


先生も、少し笑っていた。


「じゃあ、恐竜さんもお野菜食べてたのかな?」


「……え?」


爽太くんが、止まった。


「草を食べる恐竜さんもいたんだよ」


「……ほんと?」


「ほんと」


爽太くんは、しばらく考えていた。


それから。


「じゃあ、おれ、くさたべるきょうりゅう!」


そう言って、お野菜をひと口食べた。


「がお!」


「食べられたね!」


先生がほめた。


爽太くんは、えっへんって顔をした。


でも、二口目は食べなかった。


なんでだろう。


ゆいには、わからなかった。


***


おひるねの時間。


お布団が、いっぱい並んでいる。


ゆいのお布団には、ちいさなお花の絵がついている。


もえちゃんのお布団は、うさぎさん。


さきちゃんのお布団は、星。


みんなで、ごろん。


お部屋が、しずかになった。


……でも。


「ねえ、ゆいちゃん」


もえちゃんが、小さな声で言った。


「なあに?」


「さっきのおしろ、すごかったね」


「うん」


「またつくろうね」


「うん!」


「しーっ」


先生の声。


ゆいは、あわててお口を閉じた。


もえちゃんも、お口を閉じた。


しばらく、しーん。


……。


……。


「ねえ」


こんどは、さきちゃんだった。


「なあに?」


「おひめさまのねこ、またやりたい」


ゆいは、うれしくなった。


「いいよ!」


「しーっ」


また、先生の声。


三人は、お布団の中で、くすくす笑った。


でも、ゆいは、だんだん眠くなってきた。


おめめが、重たい。


ママに、よしよししてもらったときみたい。


……ママ、いま、なにしてるのかな。


おみせかな。


つーくんは、おしごとかな。


つーくんは、パソコンをかたかたするのが、とっても上手。


ゆいが、となりで見ていても、何をしているのか、ぜんぜんわからない。


でも、つーくんは、ゆいが聞くと、いつも教えてくれる。


むずかしいことは、わかんないけど。


……つーくん。


きょう、会えるかな。


そんなことを考えていたら。


いつのまにか、ゆいは眠っていた。


***


おひるねから起きたら、おやつだった。


きょうのおやつは、クッキー。


まるいクッキー。


ゆいは、クッキーが大好き。


「いただきまーす!」


ぱくっ。


さくさく。


おいしい!


もえちゃんは、クッキーを二つに割っていた。


「みて! はーと!」


「えっ!」


ゆいは、のぞきこんだ。


割れたクッキーは、ちょっとだけハートみたいだった。


「ほんとだ!」


「さきちゃんもやって!」


「うん」


さきちゃんが、クッキーを割った。


ぱきっ。


「……」


「……」


ぜんぜんハートじゃなかった。


「なんか、おやまみたい」


ゆいが言った。


「おやま!」


もえちゃんが笑った。


さきちゃんは、自分のクッキーを見た。


それから。


「……おやま、おいしい」


ぱくっと食べた。


ゆいと、もえちゃんは、大笑いした。


***


おやつのあとは、お絵かき。


ゆいは、クレヨンを持った。


きょう、何を描こうかな。


おひめさま。


お城。


うさぎさん。


パンの雲。


いっぱいある。


でも、ゆいは、きょうのお砂場のお城を描くことにした。


おっきなお城。


黄色いお花。


おひめさまが二人。


それから、ねこ。


「ゆいちゃん、なにかいてるの?」


もえちゃんが、のぞきこんだ。


「きょうのおしろ!」


「あっ! もえもいる!」


「うん!」


「さきちゃんは?」


「ねこ!」


さきちゃんも、絵を見た。


「……これ、さき?」


「うん!」


「……ねこ、みみが三つある」


「えっ?」


ゆいは、絵を見た。


ほんとだ。


ねこの耳が、三つある。


「あれー?」


もえちゃんが、笑った。


さきちゃんも、ちょっと笑った。


「でも、かわいい」


「ほんと?」


「うん」


ゆいは、うれしくなった。


三つでも、かわいいなら、いいや。


***


お迎えの時間。


お部屋には、まだ何人かお友達がいた。


もえちゃんは、先に帰った。


「ゆいちゃーん! またあしたねー!」


「またあしたー!」


もえちゃんは、赤いかみのけをぴょんぴょんさせながら帰っていった。


さきちゃんも、お迎えが来た。


「ゆいちゃん、ばいばい」


「ばいばーい!」


さきちゃんは、手をふりながら帰った。


ゆいは、窓の外を見た。


お空が、少しオレンジ色になっている。


お迎え、まだかな。


ママ、まだかな。


……つーくんは、来るかな。


ゆいは、椅子に座って、足をぷらぷらさせた。


すると。


「ゆいちゃーん!」


聞こえた。


ママの声!


ゆいは、ぱっと顔を上げた。


入り口に、ママがいた。


それから。


ママのとなりに。


黒いかみのけ。


やさしいおめめ。


黒いお洋服。


「……あっ!」


ゆいは、立ち上がった。


「ママ!!」


ぱたぱたぱた!


「つーくん!!」


ママのとなりには、つーくんがいた!


「結衣ちゃん、ただいま……じゃなくて、お迎えに来たよ」


つーくんが、ちょっと笑った。


ゆいは、つーくんに飛びついた。


「つーくん!」


「わっ、と」


つーくんが、ゆいを受け止めてくれた。


「今日も元気だった?」


「うん!」


「そっか」


つーくんは、ゆいの頭をなでてくれた。


あったかい手。


だいすきな手。


ママが、にこにこしていた。


「結衣、今日は何して遊んだの?」


「えっとね! おみせやさんしてね! おしろつくってね! あと、さきちゃんがねこでね!」


「うんうん」


「それでね! そうたくんが、きょうりゅうになってね!」


「爽太くんが?」


つーくんが、目を丸くした。


「うん! おやさいたべたら、きょうりゅうになるんだって!」


「……え?」


ママが、吹き出した。


「ふふっ、どういうこと?」


「わかんない!」


ゆいも笑った。


だって、ほんとにわかんないもん。


「あとね、ゆい、おえかきしたの!」


「見せてくれる?」


「うん!」


ゆいは、かばんから絵を取り出した。


お城の絵。


おひめさまが二人。


耳が三つある、ねこ。


つーくんは、絵をじーっと見た。


「……すごいね、結衣ちゃん」


「ほんと?」


「うん。これ、お城?」


「そう!」


「お花もある」


「そう! ゆいがつけたの!」


「そっか。きれいだね」


ゆいは、えへへって笑った。


ママも、絵を見た。


「わあ、上手に描けたね」


「でしょ!」


ゆいは、ちょっとだけ胸を張った。


「じゃあ、先生にごあいさつして帰ろっか」


ママが言った。


「はーい!」


ゆいは、先生のところまで走った。


「せんせー! さようならー!」


「はい、結衣ちゃん。さようなら」


先生は、にっこり笑った。


それから、ママのほうを見た。


「あ、そういえば。結衣ちゃん、もうすぐお誕生日ですね」


「そうなんです。もうすぐ五歳なんですよ」


ママが答えた。


「えっ!」


ゆいは、ぱっと顔を上げた。


「ゆい、ごさいになるの!?」


「そうだよ。忘れちゃった?」


「わすれてないもん!」


ほんとは、ちょっと忘れてた。


先生が、くすくす笑った。


「楽しみだね、結衣ちゃん」


「うん! ゆい、ごさいになる!」


ゆいは、指をいっぱい広げて見せた。


つーくんが、となりで笑っている。


「五歳かあ。結衣ちゃん、お姉さんになるね」


「うん!」


ゆいは、えっへんと胸を張った。


五歳。


なんだか、とっても大きい。


「それじゃあ、先生。また明日よろしくお願いします」


ママが頭を下げた。


「はい。気をつけて帰ってくださいね」


「せんせー、ばいばーい!」


「ばいばい、結衣ちゃん!」


ゆいは、先生に大きく手を振った。


それから、ママの手をつないだ。


反対の手で、つーくんの手もつないだ。


右にママ。


左につーくん。


ふたりとも、手があったかい。


「さ、帰ろっか」


ママが言った。


「うん!」


三人で、保育園を出た。


お空は、オレンジ色。


朝に見たパンの雲は、もうなかった。


「ねえ、つーくん」


「ん?」


「きょうね、くもがパンだったの」


「……雲がパン?」


「うん!」


「そっか。おいしそうだね」


「でしょ!」


「どんなパンだった?」


「まるくてね、ふわふわ!」


「いいなあ。俺も見たかった」


ゆいは、少し考えた。


それから、つーくんの手をぎゅっとした。


「じゃあ、あした、いっしょにみようね!」


つーくんは、ゆいを見た。


それから、ふわっと笑った。


「うん。見ようね」


ママも、ゆいの手をぎゅっとした。


「明日も晴れるといいね」


「うん!」


ゆいは、空を見上げた。


あしたも、パンの雲があるといいな。


もえちゃんと、さきちゃんと、また遊びたいな。


爽太くんは、あしたも恐竜になるのかな。


……それから。


あしたも、ママとつーくんが、お迎えに来てくれたらいいな。


ゆいは、ふたりの手をぶんぶん振った。


「ママ! つーくん!」


「なあに?」


「なに、結衣ちゃん?」


ゆいは、にっこり笑った。


「きょうね、すっごくたのしかった!」


ママが笑った。


つーくんも笑った。


ゆいも、もっと笑った。


あしたも、きっと、いい日になる。


だって。


ゆいには、おともだちがいて。


ママがいて。


つーくんも、いるんだもん。


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