第24話「名前で呼んで」
朝から、落ち着かない。
いや、正確には昨日の夜からだ。
「……これでいいよな?」
鏡の前で、もう何度目になるか分からない確認をする。
白いシャツに、黒のパンツ。
特別おしゃれというわけでもない、ごく普通の服装だ。
なのに、さっきから襟元を直したり、髪を整えたりしている。
……俺、こんなに服装を気にする人間だったっけ。
理由は分かっている。
今日は、橘さんとのデートだからだ。
しかも。
**初めての、二人きりのデート。**
前に三人で出かけたときは、結衣ちゃんも一緒だった。
もちろん、あの日も最高に楽しかった。
でも今日は、少し違う。
橘さんから誘ってくれた、二人だけの時間なのだ。
数日前、リアンで交わした会話を思い出す。
『あの、朝倉さん。今度のお休みって、空いてますか?』
『はい。何かありました?』
『もしよかったら……今度は、二人でお出かけしませんか?』
あのときの俺は、たぶん相当間抜けな顔をしていたと思う。
『……二人で、ですか?』
『はい。結衣は母のところにお泊まりする予定なので……』
少し頬を赤くした橘さんが、恥ずかしそうに笑った。
『たまには、朝倉さんと二人きりで過ごしたいなって』
……あれは反則だ。
あんなふうに誘われて、嬉しくないわけがない。
「……よし」
最後にもう一度だけ鏡を確認する。
スマホと財布を持って、玄関へ向かった。
今日は、いい一日にしたい。
できれば、橘さんにもそう思ってもらえるような。
そんな一日に。
*
待ち合わせ場所に着いたのは、約束の十分前だった。
駅前の時計を見上げる。
……早すぎたかな。
いや、遅刻するよりはいい。
そう思いながら辺りを見回していると、聞き慣れた声がした。
「朝倉さん!」
振り向いた瞬間。
俺は、思わず言葉を失った。
「……橘さん?」
「お待たせしました。早かったんですね」
そこに立っていたのは、いつもとは少し違う橘さんだった。
柔らかな色合いのワンピースに、薄手のカーディガン。
白に近いアッシュグレーの髪は、いつもより少し丁寧に整えられている。
小さなバッグを両手で持ち、琥珀色の瞳で俺を見つめていた。
……いや。
待って。
綺麗すぎないか?
「……あの、朝倉さん?」
「あっ、すみません」
慌てて我に返る。
「その……すごく綺麗で、びっくりしました」
「……えっ」
橘さんの頬が、みるみる赤くなった。
「そ、そんな……ありがとうございます」
「いや、本当に」
「……もう。朝からそんなこと言われたら、照れちゃいます」
そう言いながらも、嬉しそうに笑ってくれる。
……よかった。
ちゃんと口に出して。
「朝倉さんも、今日の服、似合ってますよ」
「本当ですか?」
「はい。とっても素敵です」
……今日、何度鏡を見たか分からないけど。
その苦労が全部報われた気がした。
「じゃあ、行きましょうか」
「はい!」
歩き出そうとしたとき、橘さんが少しだけこちらを見た。
「あの……」
「はい?」
「……手、つないでもいいですか?」
「もちろんです」
俺が手を差し出すと、橘さんは嬉しそうにその手を取った。
指先が触れて、ゆっくりと重なる。
それだけで、胸の奥が温かくなった。
「……ふふっ」
「どうしました?」
「今日は、結衣が真ん中にいないんだなって」
「ああ、確かに」
いつもは結衣ちゃんが真ん中で、俺と橘さんの手を握っている。
今日は、二人だけ。
「結衣ちゃん、おばあちゃんのところ楽しみにしてました?」
「はい。昨日からずっと、何をして遊ぼうか考えてました」
「ははっ。可愛いですね」
「母も張り切ってました。今日は一緒にお菓子を作るそうです」
「それは楽しそうだ」
「……だから今日は」
橘さんが、つないだ手に少しだけ力を込めた。
「私も、朝倉さんとの時間を楽しみたいです」
「……はい」
俺も、その手を握り返す。
「俺もです」
*
デートは、想像していた以上に楽しかった。
街を歩いて、気になったお店に入って。
雑貨屋では、橘さんが可愛い食器を見つけて足を止めた。
「これ、リアンで使ったら素敵でしょうね」
「確かに。橘さんのお店に合いそうです」
「でも、ちょっと高いですねぇ……」
値札を見て、二人で苦笑いする。
昼食は、少し落ち着いた雰囲気の洋食屋に入った。
俺はハンバーグ。
橘さんはオムライス。
「朝倉さん、ハンバーグお好きですよね」
「はい。かなり好きです」
「ふふっ。覚えちゃいました」
「橘さんはオムライスですか?」
「はい。家で作るのも好きなんですけど、お店のオムライスって、なんだか特別な感じがして」
「分かります。卵が綺麗すぎますよね」
「そうなんです!」
そんな話をしながら食事をする。
特別なことをしているわけじゃない。
でも、目の前で橘さんが笑っている。
それだけで、いつもの街が少し違って見えた。
食事を終えたあとも、二人でのんびり歩いた。
途中、小さな公園を見つけてベンチに座る。
「……今日は、楽しいですね」
橘さんがぽつりと言った。
「はい。俺もすごく楽しいです」
「なんだか、少し不思議です」
「何がですか?」
「こうして朝倉さんと二人で出かけていることが、です」
彼女は、つないだ手を見つめながら微笑んだ。
「少し前までは、想像もしていませんでしたから」
「……俺もです」
初めてリアンに入った頃。
こんな日が来るなんて、考えもしなかった。
「でも、よかったです」
「……何がですか?」
「橘さんと出会えて」
思ったままを口にすると、彼女は驚いたように俺を見た。
それから、ゆっくりと笑った。
「……私もです」
しばらく、二人で並んで座っていた。
風が吹くたび、橘さんの髪がふわりと揺れる。
その横顔を見ながら、俺は思った。
……好きだなぁ。
何度思っても、足りないくらい。
*
夕方。
空が少しずつ茜色に変わり始めた頃、俺たちは帰り道を歩いていた。
「……今日は、本当にありがとうございました」
橘さんが言う。
「こちらこそ。すごく楽しかったです」
「ふふっ。私もです」
そう言って笑ったあと、彼女は少しだけ黙った。
何かを考えているようだった。
「……橘さん?」
「あの、朝倉さん」
「はい?」
「……このあと、お時間ありますか?」
「ありますよ」
「その……」
彼女は一度、視線を落とした。
そして、少し勇気を出すように顔を上げる。
「……朝倉さんのお家に、行ってみたいです」
「…………えっ?」
一瞬、頭が真っ白になった。
俺の、家?
橘さんが?
「……だめ、ですか?」
「い、いや! 全然だめじゃないです!」
慌てて首を振る。
「ただ、その……あんまり面白いものとかないですよ?」
「ふふっ。別に、面白いものを見に行きたいわけじゃありません」
「……そうなんですか?」
「はい」
橘さんは、少し照れくさそうに笑った。
「朝倉さんが、普段どんなところで過ごしているのか……知りたいんです」
「…………」
……そんなこと言われたら。
断れるわけがない。
「……じゃあ、行きますか」
「はい!」
嬉しそうに頷く橘さんを見て、俺は心の中で叫んだ。
……部屋、片づけておいてよかった!
*
「……ここが、朝倉さんのお家なんですね」
玄関で靴を脱いだ橘さんが、少し緊張した様子で辺りを見回した。
「はい。まあ、普通の部屋ですけど」
「ふふっ。なんだか緊張します」
「……実は俺もです」
思わずそう答えると、橘さんが小さく笑った。
俺は彼女をリビングへ案内した。
「適当に座っててください。何か飲み物持ってきますね」
「あ、ありがとうございます」
冷蔵庫からお茶を取り出して戻ると、橘さんは部屋の一角をじっと見つめていた。
「あの……朝倉さん」
「はい?」
「そちらが、お仕事をされている場所ですか?」
「ああ、そうです。家で仕事するときは、だいたいあそこですね」
リビングの隅に置いたデスク。
二台のモニターとキーボード。
資料やメモが少し積まれた、俺の仕事場だ。
「すごい……。画面が二つもあるんですね」
「プログラム書いてると、意外と便利なんですよ」
「ふふっ。朝倉さんがお仕事してるところ、初めて見ました」
「いや、今は何もしてないですけどね」
そう言うと、橘さんは楽しそうに笑った。
それから、ふと何かに気づいたように足を止める。
「……あれ?」
「どうしました?」
橘さんの視線の先には、デスクの横に置いた小さな額があった。
「あれって……」
「ああ」
俺は少し照れくさくなって、頬をかいた。
「結衣ちゃんが描いてくれた絵です」
そこには、三人の人間が描かれていた。
真ん中に、小さな女の子。
その両側には、大人が二人。
三人とも笑っていて、手をつないでいる。
以前、結衣ちゃんが俺にくれた絵だった。
「……飾って、くれてたんですか?」
橘さんの声が、少しだけ小さくなった。
「はい。せっかくもらったんで」
「……こんなところに」
「仕事中、結構目に入るんですよ」
俺は笑った。
「なんか、疲れたときに見ると元気出るんですよね」
橘さんは、何も言わなかった。
ただ、額に入った絵をじっと見つめていた。
「……橘さん?」
「あっ……ごめんなさい」
振り向いた彼女は、少しだけ目を潤ませていた。
「……嬉しくて」
「え?」
「結衣が描いた絵を、こんなに大切にしてくれてるんだなって……」
俺は、何と答えたらいいのか分からなくなった。
別に、特別なことをしたつもりはなかった。
もらったとき、すごく嬉しかった。
だから、飾った。
ただ、それだけだった。
「……俺にとっても、大事な絵ですから」
そう言うと、橘さんは目を細めて微笑んだ。
「……ありがとうございます、朝倉さん」
「いえ。こちらこそ、ですよ」
「……え?」
「俺、結衣ちゃんにあの絵もらったとき、本当に嬉しかったんです」
もう一度、絵を見る。
小さな女の子が、俺と橘さんの手をつないでいる。
「……あの中に俺も入れてくれたんだなって」
口にしてから、少し恥ずかしくなった。
「……なんか、うまく言えないですけど」
橘さんは、ゆっくり首を横に振った。
「……ちゃんと伝わってます」
そう言って、俺の隣に立つ。
しばらく、二人で絵を眺めていた。
やがて、橘さんが小さく口を開いた。
「……朝倉さん」
「はい?」
「私、今日ここに来られて、よかったです」
「……まだ何もしてないですよ?」
「ふふっ。そうですね」
彼女は笑った。
そして、そっと俺の手を握った。
「……でも、もう十分嬉しいです」
俺は、その手を優しく握り返した。
*
それから、二人でソファに座って話をした。
仕事のこと。
リアンのこと。
結衣ちゃんが、おばあちゃんの家で何をしているだろうかということ。
気づけば、外はすっかり暗くなっていた。
「……あ、もうこんな時間ですね」
時計を見て、俺は言った。
「本当ですね」
「そろそろ、送っていきましょうか?」
そう尋ねると、橘さんは少しだけ黙った。
それから、つないでいた手を握り直す。
「……あの」
「はい?」
「……今日は、まだ帰りたくないです」
「…………」
心臓が、大きく跳ねた。
橘さんは、俯いたまま続ける。
「結衣は、今日は母のところに泊まっていますし……」
「……はい」
「だから、その……」
少しだけ顔を上げる。
頬は真っ赤だった。
「……もう少しだけ、朝倉さんと一緒にいたいです」
俺は、すぐには返事ができなかった。
嬉しかった。
でも、それ以上に、ちゃんと大切にしたかった。
「……橘さん」
「はい」
「俺も、一緒にいたいです」
彼女の瞳が、少しだけ大きくなる。
「……でも、無理はしないでくださいね」
そう言うと、橘さんは小さく笑った。
「……無理なんて、してません」
そして、俺の手を両手で包む。
「私が、そうしたいんです」
「…………」
……ああ。
本当に。
この人が好きだ。
俺は、そっと彼女の頬に手を添えた。
「……橘さん」
「……はい」
「キス、してもいいですか?」
彼女は少し驚いたように瞬きをした。
それから、恥ずかしそうに微笑んだ。
「……はい」
ゆっくりと顔を近づける。
彼女も、そっと目を閉じた。
そして。
初めて、唇が重なった。
ほんの短い時間だった。
けれど、離れたあとも、心臓の音がうるさいくらい響いていた。
「……橘さん」
「……はい」
「……好きです」
彼女は、少し潤んだ瞳で俺を見つめた。
「……私も、大好きです」
そう言って、俺の胸元に顔を寄せる。
俺は、彼女をそっと抱きしめた。
しばらく、二人とも何も言わなかった。
ただ、互いの温もりを確かめるように寄り添っていた。
やがて、彼女が小さな声で言った。
「……朝倉さん」
「はい?」
「……今夜は、ずっと一緒にいてもいいですか?」
俺は、その言葉にゆっくり頷いた。
「……もちろんです」
もう一度、彼女を抱き寄せる。
その夜。
俺たちは初めて、二人で朝を迎える約束をした。
*
カーテンの隙間から、朝日が差し込んでいた。
「……ん」
ゆっくりと目を開ける。
見慣れた天井。
いつもの寝室。
けれど、何かが違った。
……温かい。
腕のあたりに、柔らかな重みを感じる。
なんだろうと思って視線を下ろすと。
「…………」
そこには、橘さんがいた。
俺の身体にぴったりとくっついて、小さく丸まって眠っている。
白に近いアッシュグレーの髪が、枕の上にふわりと広がっていた。
片手は俺の服を軽く握っていて、頬は胸元に寄せられている。
「……すぅ……」
小さな寝息。
穏やかな寝顔。
そして、時々わずかに動く唇。
「…………」
……え?
何、この天使。
いや、待て。
可愛すぎないか?
昨日まで、こんな光景が自分の人生に存在するなんて想像もしてなかったんだけど。
俺は天井を見上げた。
……落ち着け、俺。
昨日のことを思い出せ。
ちゃんと覚えてる。
夢じゃない。
橘さんとデートをして。
初めて家に来てもらって。
それから……。
「…………っ」
思い出した途端、顔が熱くなった。
いやいやいや。
朝から心臓に悪すぎる。
そっと隣を見る。
橘さんは、相変わらず気持ちよさそうに眠っていた。
……こんな顔、するんだな。
いつもは結衣ちゃんのお母さんで。
リアンの店長で。
俺より少し年上で。
しっかりしていて、優しくて。
でも今は、俺の服を握りながら、安心しきった顔で眠っている。
そのことが、なんだかたまらなく嬉しかった。
俺は起こさないように、そっと髪を撫でた。
すると。
「……んぅ……」
橘さんが小さく身じろぎした。
そして、さらに俺のほうへくっついてくる。
「…………」
……ちょっと待って。
それは反則だろ。
俺はもう一度、天井を見上げた。
(……好きだなぁ)
本当に。
どうしようもないくらい。
「……あさくら、さん……」
不意に、小さな声が聞こえた。
「……え?」
橘さんは、まだ目を閉じている。
どうやら寝言らしい。
「……ふふ……」
幸せそうに笑って、また静かな寝息を立て始めた。
「…………」
……夢の中でも、俺のこと呼んでくれてるのか。
それが嬉しくて、思わず笑ってしまった。
「……おはよう、橘さん」
聞こえないくらい小さな声で呟く。
すると、彼女のまつげがゆっくりと動いた。
「……ん……?」
琥珀色の瞳が、少しずつ開いていく。
「……あさくら、さん……?」
「はい。おはようございます」
「……おはよう、ございます……」
まだ眠そうな声。
それから数秒。
橘さんは、俺の胸元に頬を寄せている自分に気づいたらしい。
「…………えっ」
ぱちり、と目が開く。
「……あっ……!」
みるみるうちに顔が赤くなった。
「ご、ごめんなさい! 私、こんなにくっついて……!」
慌てて離れようとする彼女の手を、そっと握る。
「……俺は、嬉しかったですけど」
「……え?」
「もうちょっと、このままでもいいですか?」
橘さんは、真っ赤な顔のまま俺を見つめた。
そして、小さく頷いた。
「……はい」
再び、俺の胸元に頬を寄せる。
俺はその背中に、そっと腕を回した。
しばらく、二人とも何も言わなかった。
ただ、朝の静かな時間が流れていく。
やがて、橘さんがぽつりと呟いた。
「……あの、朝倉さん」
「はい?」
「……一つ、お願いしてもいいですか?」
「もちろん」
彼女は少しだけ顔を上げた。
「……私のこと、名前で呼んでほしいです」
「……名前?」
「はい。もう……恋人ですし」
照れくさそうに笑う。
「私も、朝倉さんのこと……名前で呼びたいです」
俺の心臓が、大きく跳ねた。
「……じゃあ」
一度、息を吸う。
「……星莉奈さん」
「…………っ」
彼女の頬が、さらに赤くなった。
「……はい」
「……俺のことも、呼んでください」
星莉奈さんは、恥ずかしそうに目を伏せた。
それから、俺の胸元に額を寄せて。
小さな声で、囁いた。
「……翼くん」
「……はい」
「……ふふっ」
顔を上げた星莉奈さんが、嬉しそうに笑う。
「なんだか、すごく照れちゃいますね」
「俺もです」
「……翼くん」
「はい、星莉奈さん」
「……もう一回、呼んでください」
「星莉奈さん」
「……ふふっ」
彼女は幸せそうに笑った。
それから、俺の胸元に添えていた手を少しだけ動かして、顔を上げる。
白に近いアッシュグレーの髪が、さらりと頬にかかった。
そして。
琥珀色の瞳で、俺をじっと見つめる。
少しだけ首を傾げて。
上目遣いのまま、柔らかく微笑んだ。
「……翼くん」
「……はい?」
「大好きですよ」
「…………っ!」
……待って。
今のは、ずるい。
そんな顔で。
そんな声で。
そんなこと言われたら。
俺はもう、どうしたらいいんだ。
「……俺も、大好きです。星莉奈さん」
なんとかそう返すと、彼女は嬉しそうに目を細めた。
そして、また俺の胸元に顔を埋める。
「……ふふっ。幸せです」
俺は、そっと彼女を抱き寄せた。
「……俺もです」
窓の向こうでは、いつもと変わらない朝が始まっている。
けれど、俺にとっては。
きっと、一生忘れられない朝になった。
腕の中の彼女が、もう一度小さく俺の名前を呼ぶ。
「……翼くん」
「はい?」
「……呼んでみただけです」
……ああ、もう。
何、この天使。
**――第24話・完**
第24話「名前で呼んで」をお読みいただき、ありがとうございます!
今回は、翼と星莉奈にとって大きな一歩となるお話でした。
初めての二人きりのデート。
初めて訪れる翼の部屋。
そして、初めて一緒に迎える朝。
翼の仕事机に飾られていた結衣の絵は、以前、結衣が三人で手をつないでいる姿を描いたものです。
何気なく飾られた一枚の絵ですが、星莉奈にとっては、何より嬉しい贈り物だったのではないでしょうか。
そして、ついに二人の呼び方も変わりました。
「朝倉さん」と「橘さん」から、「翼くん」と「星莉奈さん」へ。
名前が変わっただけなのに、二人の距離がぐっと近づいたように感じますね。
それにしても、翌朝の星莉奈は少し甘えん坊でした。
翼が心の中で「何、この天使」と思ってしまうのも、仕方がないかもしれません(笑)。
これからは恋人として、そして結衣を含めた三人として、どんな日々を重ねていくのでしょうか。
二人の新しい日常を、これからも温かく見守っていただけたら嬉しいです。
次回もよろしくお願いします!




